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435話

「やっぱり恭輔さん何かしてますよね」

「何を?」

「いや、なんかこう・・・吸い取ってません?」

「マジでなんの話だ・・・?」


再び何の連絡も無しに来たヨミ。

その顔は前より深刻だ。玄関でファーって感じにしっぽを振っている。


あのデカい亀に出会い、宝玉をもらってから3日経った。

あの巨大な亀だ。当然の如く俺以外もその存在に気がつく。

だが、何の痕跡も残さずに亀は消えた。

あれだけ巨大なサイズの生き物がいたというのに、足跡すら残っていない。

地面の中を探ろうとも何もない。


あの亀、移動自体は地面の中を移動しているのだが、その移動において、周囲に全く影響を与えないのだ。

どれだけ地面の下で暴れようと、地上にいる俺達には全くわからない。

地震は起きない・・・かけらも揺れない。

だから、あの存在がどこにいったか・・・社会的には不明と言うことになっている。

どこからともなくあらわれて、消えていった何か・・・ダンジョン発生以降、ダンジョン以外で大きく世間を騒がせた、ある意味で貴重なニュースだった。


ちなみに、俺は場所がわかっている。

ハクコちゃんが感知した結果、それにひっぱられて俺に知識が流れてきてわかったから別に調べたわけじゃない。

今は黄山にいるみたいだ。まぁゆっくりしてるんでしょう。


さて、ヨミに話を戻そう。


「吸ってるってどういうことよ」

「これ見てください」

「これ・・・ユニちゃんの角じゃん」

「はい。どう思います?」

「どうって・・・うん?脆くね?」

「ええ、そうなんです」


これでも十分に硬いんだが、いつもヨミが加工してくる角に比べると柔らかい。

まぁ脆いというのは言いすぎか。多少しなるくらいだから、この方が加工しやすくていいかもしれん。


「これはこれでいいもんじゃん」

「ええ。ええ。我ながらいい出来で・・・ってそうじゃないんですよ」

「うん?」

「これ、私が意図して作ったわけじゃないんですよ」

「はいー?」

「まぁ作り方をかえたわけじゃないんですけど・・・」


角を纏めて置いておいた場所に、偶々一本だけ突き刺さっていた物があったらしい。

偶然つみかさなった物が崩れたらしいが。

とにかくそれをある日確認すると、今俺が持っている角のように出来上がったらしい。


これを見て、他の角も全部突き刺してみたところ、全部同じものが出来たらしい。


「・・・じゃあそういうやり方なんじゃないの?」

「違いますよ。地面に刺しただけでこんなになりませんよ」

「あ、そうなの」

「はい。これ、私が使っている魔力を抜く結界以上に魔力を抜かれているんですよ」

「そうなるとこうなると」

「そうなりますね」

「・・・別に良くね?」

「いや大問題ですよ!!」

「はぁ・・・」


いまいち何を言いたいのかわからん。

地面に角を刺して魔力が余計に抜けたのなら、それはそういうものなんじゃないのか?

魔力が地面に流れただけだろうし。


「そう。それですよ」

「はぁ」

「魔力が!地面に!吸われてるんですよ!!」

「・・・は?」


・・・どういうこと?


「普通、魔力は自分が流さない限り外には出ませんよね?」

「うい」

「ですから、自分の意思を持たない角は魔力を外に出せません」

「それをお前の結界でやってるんだよな?」

「そうです。それが、地面に刺しただけで魔力が流れていくんですよ?」

「・・・魔力が実は地面に流れるって性質を持つのは・・・ないか」

「それは恭輔さんが一番わかっているでしょう」


まぁそれはそうだな。

俺が『ガイア』・・・『土魔法』を持っているから、もしそういう性質が魔力にあったらわかる。

逆に、地面にそういうのがあった場合でもわかる。


つまり、何かが原因で、地面に魔力が流れていると。


「さっきからそう言ってるんですけどね」

「ほー・・・んで。それがどうしたの」

「・・・んー?実感してもらった方がいいですね」


玄関先で話すぎだな俺達。


ヨミが庭に行きましょうと言うので、一緒に行く。

庭に出ると、ヨミは軽く結界で地面を掘り返す。


「ここに手をつっこんでください」

「はぁ・・・」


言われたとおりに穴に手を入れる。

入れた時にヨミに手を埋められるが・・・あ?


「・・・抜かれてる?」

「でしょ?」

「ああ・・・流れるんじゃなくて、抜かれてる」


なるほど・・・これは、やばいな。


「俺達に流れている魔力を勝手に抜くことができる存在・・・または減少が起きている?」

「はい。まぁ地面の中に入ってないと抜かれないのでいいんですけど・・・」

「これ、地表にある魔力が薄くなってるのんか」

「それどこか、空気中にある魔力まで薄くなってるんです。何かに引っ張られてるみたいで」

「・・・集めてる・・・違うな。食ってる」

「・・・」

「別にしたくてしてるわけじゃないな・・・本能的な行動・・・でもこの規模は」

「恭輔さん!」

「あ・・・すまん」

「いえ。実は何かわかるんじゃないかって思ってやらせたんで」

「おい」


それが目的か。


まぁいい。

問題はこの魔力を吸ってるやつ、または物が何が目的でそれをしているかだ。


「それはわかりませんか?」

「わからん」

「むー・・・生き物か、物質化は」

「多分生き物だ。意思があるのはわかった」

「生き物・・・また変なのが出てきてる?」

「かもな・・・いや、地面ならあいつか?」

「あいつ?」

「いやなんでもない。・・・俺の方で調べとくか?」

「お願いできます?」

「わかった」


地面って言うと、なんかあの亀が思い当たるが・・・ヨミには言わない方がいいな。

・・・てか、なーんか違和感あるんだよな。






















「ガウ?」

「いんや・・・この宝玉。ハクコちゃん作れる?」

「ガウ~」

「2か月か・・・え、それだけで作れるの?」

「ガウ」

「いひーハクコちゃんやっぱりすごいねぇうりうり」

「グル~」


ハクコちゃんを撫でてあげると、喉を鳴らして嬉しそうにする。可愛い。


亀から貰った宝玉。

俺が触れたら一気に俺の中に神力が流れて来るだろう。

これを使えば、俺は一気に強くなるが・・・タイミングを間違えると駄目だな。

『真化』込みで使うこと前提だから、出来るなら『真化』が全開で発動している時が望ましい。


てか、強化っていうのかこれ?

いや強化ではあるのか・・・。


「ガウ?」

「何でもないぞ~」

「ァゥ~」


全身を使って戯れる。やわっこい。


この宝玉・・・いや、玉で渡されるかはわからんが、似たような物はまた増える予想。

今度会いに行く鱗の持ち主。あれから似たような物を貰うのだろう。

てか、なんでそいつに最初に出会っちゃダメなんだ?

渡すだけなら、どちらが先でも良いはずなんだけど・・・


「・・・未来の俺が何かしてるのか?」

「ガウ~」

「あいあい」


だけどそんなことしたら余計に反動が強くなるしな。

いや、もう色々やってるからいいのか?未来が決まった方向に向かうのに、それを変えようとした時、元の道に戻そうと反動が来る。

だけど、その決まった方向から逸れない程度の行動なら反動は起きない。

最初にやった行動・・・未来のハクコちゃんとフィニちゃんが起こした改変で1回目。。

その後に未来の俺が過去の俺を呼んで2回目。


このうち2回目は、未来の俺が反動を相殺して利用した。

だけど、1回目は未来の俺が気がついてなかったから反動はそのまま・・・何かが近いうちに起きる。

それが、俺がフミを殺すことになる出来事に影響を与えるのは間違いない。

なにせ、そこが一番重要だからだ。そこの決まった道を通れば、フミは死んで、未来と同じになる。


逆に言うなら、そこ以外はどうでもいいのだろう。

だからこそ。あの亀とかを未来の俺は成長させられたんだろうし。

・・・じゃあ、この宝玉を渡しても未来は変わらない?だったらなんで俺に?

いや、もう何かが起きるのは確定で、それは恐らく未来の俺が経験した物よりひどいことになるのだろう。

それを踏まえた上で、さらに反動を強くするのを覚悟して、過去に介入する?


それをすることが、未来の俺にとっていい事・・・過去を変えることになると?

さっぱりわからんな。

そもそも何が起きるか自体がわからん。現状俺だけでは対策出来ない・・・俺は何も出来ない状態だ。

未来の俺にまかせっきりになっているし、気になることは多くある。

未来の世界に来たロラちゃん。そのロラちゃんと同じ存在であると言った人型。


・・・・・・・・・


「・・・考えててもしょうがないか」

「ガウ?」

「いや、今はとりあえず、出来る限り強くなるしかないなってな」


未来のハクコちゃん達に止められたが、それはもはや意味がないだろう。

なにせ、未来の俺はハクコちゃん達の行動を失敗だって思ってるみたいだし。

一応暴走があるから、そこには気を付けていかないとな。


先ずは、神力の操作に慣れること。


「ハクコちゃん煙だして」

「ガウ~」


もわもわと、室内が黄色の煙に包まれる。

それと同時に、俺の腕とハクコちゃんの全体に煙が集まる。


徐々に固定化され、物質になる。

ここからだ。ここからさらに一歩前に・・・


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