432話
僕ももふもふに囲まれたいです。
アメショーがいい
「恭輔恭輔恭輔!!」
「うぇい・・・何朝っぱらから」
「くぅ~ん」
「ほれ、毛づくろい中だったルミネの顔を見なさいよ」
「いやんなこと言ってる場合やないわ!」
「うん?何かあったか?」
「ダンジョンがねっさんで埋まっとる」
「ほぁ!?」
「・・・わふ?」
「「「「「「「「「「「「「ちゅー!!」」」」」」」」」」」」」
「いや多い多い」
「「「「「「「「「「「「「ちゅ?」」」」」」」」」」」」」
「一斉に返事すな」
流石に喧しいぞ。
『悪魔化』の事に関して、ねっさんに説明して、ヨミからアドバイスを貰ったりした日の次の日。
ねっさんは早速聞いたことを実践し始めたようだ。
それにしたって埋めすぎでは?
階段降りたら全面ねっさんしか見えない。
「これが本当のお前しか見えないと」
「やかましいわ・・・いやなんでこうなっとるん?」
「わん?」
「運動不足とかではなくてね・・・」
フミとルミネに昨日の事を説明する。
ルミネはわかってるのかわかってないのか、そもそも聞いているのか聞いてないのか。
増えてるねっさんの1匹と顔を見合わせて首を傾げている。
まぁ普段から見ているねっさんの『分身』だけど、あんまりにも多いからそら不思議に思うわな。
心なしか、いつもの分身より粗いというか・・・ドットというか。
目とかなんかデフォルメキャラと言うか・・・ちびキャラと言うか。
「・・・これはこれで可愛いのでわ?」
「・・・まぁ可愛いわな」
「わん!」
「ちゅ!」
「うーん可愛い」
これはこれであり・・・いやそこじゃないな。
本物のねっさんはどこだ?家の中にいないのはわかってるんだけど。
「ちゅっちゅちゅ?」
「あらねっさん」
「おお、本物はちゃんとねっさんや!」
「わん!」
「・・・ちゅ?」
声だけでは判断できないな。
見た目はちゃんとしているネズミだから一目でわかるけど。
俺は魔力とか『テイム』とかの関係で見た目同じでも判別できるけど・・・それはクオリティの低い分身だからだしな。
実際ヨミの分身とユニちゃんの本気分身は見分け付かないしな。
あ、いや。ユニちゃんは分身いても本物が俺に寄ってくるからわかるわ。
それにしてもねっさん。増やしすぎじゃね?
「今何匹いるの?」
「ちゅー・・・ちゅ?」
「・・・スゥー」
「もうねっさんだけでええんちゃうかな」
何千匹って?桁事増えてるじゃんか。
「そんなに増やせたのか?」
「ちゅー」
何々?
元々使っている分身のクオリティを70%とする。
そこからさらに出来を悪くして、現在20%。
そこからさらにニホリに頼んで『強化』してもらって数を増やす。
結果、4桁に届くと。
「5割落とすとこんなになるんか」
「ちゅ?」
フミがデフォルメねっさんを抱える。
心なしか、反応も押さないというか・・・高い高いすると両手を振って喜ぶのよ。
本物のねっさんにやっても首傾げてなにー?って顔するだけだけど。
「これもしかして、見た目の出来を落としてるのか?」
「ちゅ!」
「まぁ確かに見た目は必要ないしな」
「普段もこれでええんとちゃう?」
「ちゅ?」
「いや、その分普段使いの方を体力に回せばええやんか」
「ちゅー!」
それだー!といって、もう一体分身を増やそうとして・・・
「・・・ちゅ?」
「いや数出してる状態では無理やろ」
「ちゅ~//」
「てか、ねっさん今何してるの?」
「ちゅ?」
「いや、数だけ出しても意味ないでしょ」
「ちゅっちゅ」
「はい付いてきます」
ねっさんの分身に埋められている道を、分身達を踏まないように慎重・・・いや飛べばいいのかこれ。
ねっさんとフミとルミネを抱える・・・いやフミは跳べるでしょ。
「いやそしたらねっさん達吹き飛んでまうし」
「ああそれもそうか」
それなら仕方ない。
全員抱えて飛ぶ。目的地は40層のボス部屋。
例の爆発の聞かない鎧を着ているあの亡霊武者です。・・・あれ、亡霊侍だっけ?
まぁいいか。名前なんてどうでもいい。
40層までワープ部屋も利用して一気に移動。
部屋の扉は空いていた。
本来ならボス部屋に誰か入ると閉まって開かなくなるんだけど・・・
ねっさんの分身達が大量にいすぎて閉まってない。
中にいるのにまだ入り切ってない判定になってるのかこれ。じゃあボスも出てこないんじゃ・・・
「「「「ちゅー!!」」」」
「ああ出てるのか」
「へぇ。これで出るんやね」
「わん?」
「怖くないルミネ?」
「わん!」
俺が抱えているフミに抱えられているからだろうか、全く怖くないそうです。
そらそうだよな。ぶっちゃけこの状態ならほとんどの階層はただのアトラクションにしかならないし。
ちなみにフミはお姫様抱っこしてるからね?当然だけど。
・・・てか。
「「「「「「「「「「ちゅー!」」」」」」」」」」
「■■■■■■■■■!!!!????」
「何この状況」
「ちゅ」
「ねっさん達が突っ込んでは振り払われとるな」
「・・・わん?」
「ちゅ?」
多分これ・・・能力の為なんだろうけどさ。
振り払われるときにダメージを食らうから防御面は強くなるでしょ?
纏わりついている個体もいるから力強くもなるしな。
そして亡霊武者に入って向かうから早くもなると。
「いやこれはいいのか?」
「ちゅー?」
「いやそうなんだろうけどさー」
分身とはいえ、いくらデフォルメされてるとはいえだ。
ねっさんが吹き飛ばされるのは心が痛いのですが。
ねっさんは突っ込んでるのはもっと出来の悪いのって言うけどさ。
って、うん?
「・・・何これ」
「ねっさ・・・ん?」
「・・・わん?」
「」
「喋れもしないのか?」
「ちゅ!」
「もしかして指定した行動しかできない?」
「ちゅ!」
「共有はセロ・・・ではないのか」
「ちゅ」
ゼロにしちゃうと経験にならないしな。
いやそれにしてもこれ・・・ネズミって言うかただの灰色のブロックだよ。
レゴブロックで作った動物だよこれ。もはや分身でいいのか微妙なラインだよこれ。
完全に別の生物だぞこれ。
そして、ここの階層だけでなく他の階層でも似たようなことをしているらしい。
特に敵対してこない子がいる階層・・・精霊狼と象。そして赤いスライムがいる階層ではみんなに協力してもらって似たようなことをしているとか。
あっちは加減して倒さないようにしてくれるから、1体で何回も経験が出来ていい感じと・・・
「それねっさんの負担すごいんじゃない?」
「ちゅ?」
「あれ?」
「なんでや?」
「ちゅー?」
一応倒されたって経験は共有があるんじゃと思ったが、そうでもないらしい。
俺が聞いていた普段の分身達は、何か変な物を見つけた場合は視界を共有、或いは報告が来るって感じだった。
だが別にそこの情報を共有しなくてもいいらしい。
自分とのつながりがある。何かしらの共有があるのなら、関係ない経験でもちゃんと力になるんだとか。
昨日ヨミに聞いたんだとかなんとか・・・
「俺知らないぞ」
「うちもやな」
「ちゅ」
「・・・お前メールうてるの!?」
「わん」
「え?ニホリ?」
「ああ、ニホリは雪ちゃんに電話しとるんのを横から借りたんか」
「ちゅー!」
・・・昨日大変なことになりそうってのはこれのことだったか。
「俺の勘も捨てたもんじゃないなー」
「・・・まぁ放置でええんかねこれ」
「ちゅ」
「わん」
「ういうい。まぁねっさんはとりあえず庭にいてね」
「ちゅー」
本体が下にいて何かあっても対処できないからね。
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