425話
「うーうー♪」
「オイシー♪」
「本当にごめんなさい恭輔君」
「良いですよこれくらい」
本当に走って近くのケーキ屋に買いに行きました。
ニホリ自分で作った方が美味しいの出来るんじゃないの?とは思ったけど、それはそれ、これはこれらしい。
お店で買った物、それはそれで美味しいそうです。
まぁケーキぱくついてるチーム人形幼女はほっておこう。
俺は俺で仕事・・・まぁ見るだけなんですけど。
ちなみにケーキ買いに行っている時は三崎さんとフミが見てくれたから問題ないです。
「・・・こうやって見ると、やっぱり魔力量の差すごいっすね」
「あ、恭輔君から見てもそうなんですね」
「ええまぁ・・・俺から見て?」
「えっと・・・恭輔君から見たら私達もそんなに変わらないかなって」
「まーその辺は確かにそうですけど」
俺が100だとすると、三崎さんん達が5で他の人たちは3とかそれくらいだ。
ぶっちゃけ誤差だ。確かに。
それでもちゃんと差があるのはわかっているのだ。てか、それくらい出来ないと魔力感知的には精度が良くない。
その差でモンスターの種類とか判別できることもあるしな。
・・・てか、こうして改めて見ると、なんで海外の冒険者は魔力が低いんだ?
魔法スキルを持っている人も何人かいるって資料に書いてあったんだけどな・・・
「なんでです?」
「いや私に聞かれても・・・」
三崎さんも知らないそうだ。
これは非常に気になることだ。
俺は魔法スキルと言ったけど、正確には魔力を使うスキルは他にもたくさんある。
ニホリの『強化』だったり、ねっさんの『分身』だったり。
スキルスクロール自体が貴重なものだとしても、手に入ることには入るのだ。
なにせ1から10までの階層でタイムアタックすれば何回かに一回は手に入るわけだし。
「あ、それなんですけど、恭輔君どうやってあんなに速く倒せたんです?」
「・・・え?」
「いや、3層くらいまでならいいんですけど、冒険者なり立ての時は厳しいですよあれ」
「・・・うん?」
「・・・あれ?」
何かがかみ合っていない気がする。
俺の時って確か・・・コロちゃんがマッハでネズミを狩りつくしたのが最初だっけ。
スキル『高速移動』が手に入ってすぐだったけど、あれで無双した。
・・・あーそうか。
「ネズミとかもぶっちゃけキツイんです?」
「まぁぶっちゃけると大変でしたね・・・」
「あれくらいなら銃使えば簡単なような」
「あ、銃使うとタイム記録残らないんですよ」
「え」
「だから素手か武器を持つんですけど・・・最初だとどうしても」
「慣れてないから難しいと」
「はい。恭輔君みたいに運よくスキルを手に入れられないと短時間での決着は難しいですよ」
これは怪我をしないように戦うってことが前提にある場合らしいが。
それでも3分以内で勝つと言うのは難しいらしい。
特にゴブリンとかが出てくると、先ず怪我しないように戦うのも一苦労。
オーガなんてもはやそんなこよ考えてられないレベルらしい。
第一回募集で冒険者になった人たちは三崎さん達が着いてたからタイム報酬はなし。
その代わり負ける心配はなし。だからスキルは少ないが、その分無茶が出来る。
だから能力は高いそうだ。進んでいる階層に比べるとスキルの数は少ないが。
まぁ言われて見ると少ないか。
魔法スキル持ちは2人だけ。他のスキル含めても4人だけらしい。
三崎さん達がそれぞれ2つ以上スキルを持っているのを考えると、やっぱり少ないな。
「恭輔君は多すぎません?」
「俺はタイム報酬かなり貰いましたし。後他の子は元から持ってますし」
「そうなんですよねー。実際そういう面では『テイム』持つと楽ですよね」
「三崎さんはバン君以外は普通の動物ですけど」
「ええまぁそうなんですけど・・・それでも普通の人より全然強いんで」
「まぁみーちゃん何か上の階層じゃ敵なしでしょうね」
「虎ですからね・・・」
コロちゃんだってスキル無しだって問題ないくらいだし。
そのコロちゃんより体の大きいみーちゃんなら余裕でしょうね。
「そういえば、アリシアってどうしてるんです?」
「ヨバレタ」
「おう。アリシアってダンジョンで戦うの?」
「タタカウ!」
「え」
「う」
「あはは・・・そこらへんの石とか浮かせて飛ばしたりですけど」
「・・・ニホリさん?」
「う!」
絶対に戦わないぞと言う強い意志を感じる。
フミさん。何か言ってあげなさい。
「ん~?・・・まぁええんちゃう?」
「おいおい」
「うちは戦力過多やしなぁ・・・あ、でも運動はせえ」
「・・・う~」
「シナイノ?」
「しなんですよこれが」
「浮いてばっかりやからなぁニホリは」
「ケンコウニワルイ!!」
「う!?」
ニホリが崩れ落ちた。
こいつ、海で遊んだ時にも同じようなこと言われてなかったか?
雪ちゃんも体力ついてきてるし。そろそろいい加減運動させないとな・・・
「う、うーうー!」
「・・・アリシアより動けないだろお前」
「う」
「走るとばてるしなぁ。家事やるんとはちゃうで?」
「う・・・」
「ゲームデウンドウ!!」
「うん?ゲーム・・・ああ、まさか例のあれですか。三崎さん買ったんですか?」
「はい。アリシアが留守番してても暇にならないように」
「良く買えましたね」
「偶々買い物の途中で見つけまして」
リングで運動するあれですね。ニホリ用に買うか。
ああーでも今も在庫なかったりするって話だしな・・・
まぁゲームならニホリもやるでしょう。
人形だから太ったりとかそういうのはないけど、何故か謎の体力はちゃんとあるみたいだからな。
事実アリシアとニホリだと持久力に差があるし。地道に運動しないと体力は付きませんと姉ちゃんも言ってた。
「あれ?でも恭輔君もダンジョン出てくる前って大して運動してないって聞きましたよ?」
「あの運動バカの姉基準で考えないでいただきたい」
俺は俺で適度にしてたのだ。
主にコロちゃんと。
「大体想像つくわ」
「後は野良猫とか・・・近所の鳥とか・・・」
「それ運動じゃなくて戯れることが目的ですよね?」
「そらもちろん」
何かのついででもいいんですよ運動なんて。
特にアスリート目指すとかじゃない限りはそれでいいと思う。
何かのついで・・・楽しくできるのならそれが一番いい。
ゲームだって要するに運動するための口実だしな。楽しければ延々と走ってるだけでもいいのだ。
・・・楽しければな!!!
「俺は運動が目的だと動けなくなるので・・・」
「ああなんとなくわかります。それ自体が目的だとどこで終わりにするってのがないから嫌になりますよね」
「そうそうそれです」
「確かにそういう明確な目的がある方が続くと思いますよ」
「自衛隊的には?」
「いや、あそこは鍛えることが目的なのである意味限界までですよ?」
「絶対に俺は向いてないっすわ」
まぁわかりきっていたことだけど。
カメラの先では、藤岡さんが日本の冒険者のダンジョンでの基本的な動きについて解説している。
日本は絶対に先頭は強い人・・・この場合は藤岡さん達がいる。
急にモンスターにエンカウントした場合に備えるためだ。そして問題ないと判断したら新人に任せる。
ここまでは、割と他の国でもやっていることだ・・・変わってるのはここから。
その階層で、新人だけで戦えるとリーダーが判断した場合、階層を走り回る。
その映像が流れると、少し会場がざわつく。
「・・・やっぱりあれおかしいんですかね」
「普通やらないみたいですね」
「効率いいのに」
「まぁ普通危ないわなこれは」
「そうなの?」
「上の階層にはおらんけどなぁ・・・下には出会い頭に殺しにかかってくるやつもおるし」
「集団で固まってるのもいるな」
「そういうんにばったり出会ってもうたら、急に対処できんやろ?」
「・・・いやぁ」
「あ、恭輔は例外や」
「なんで」
魔力でモンスターの場所感知できる上に攻撃効かんのは例外に決まっとるやろとフミは言う。
確かにそうだな。だって不意打ちにならないんだもの。
藤岡さん達は『硬質化』みたいな防御手段がないから、感知は出来るけど少し危ない。
「三崎さんも例外やで~」
「え!?私も!?」
「やってアリシアもおってバン君もおってと手数に事欠かんし。まず三崎さんより速いの多いやん?」
「・・・言われてみれば」
「モグ三兄弟とか、ハクコちゃんなんて見たことあるけんどあれで感知系スキルとか魔力感知しとらんのズルやろ」
「あれは元々の能力だからなぁ」
土竜も虎も、そら野生で生き抜くだけの能力がある。
その為に必要なのは、不意打ちを回避するための能力だ。それが優れている個体程、野生では生き残れる。
それがダンジョンで戦うことで鍛えられ、能力が伸びる。
そら・・・ダンジョン内での不意打ちくらい余裕で回避できるわな。
「洞窟型なら曲がり角。草原型でも草むら注意するだけ・・・余裕だわな」
「ホンマ野生の動物てどうなっとるんや」
「規格外モンスターのお前が言うのか」
「やって。うちらは所詮その階層とダンジョンって環境に特化しとるからなぁ」
「多様な状況に対応できないと?」
「せや。雨も降らんからそういう知識もない。食べ物に困ることもないからそういう知識もないしなぁ」
個体の能力って点ならモンスターの方が絶対に上なんだが、そういう面を見れば確かに野生動物の優秀さも見えるな。
適応力っていうのか?その力は確かに野生動物の方が優れているな。
もちろんフミみたいな例外はいるが・・・これは本当に例外中の例外だしな。
「あ、そろそろ恭輔の動画の時間ちゃう?」
「・・・俺寝てていい?」
「シゴトスル!!」
「うぇーい」
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