420話
感想で話数が飛んでいると指摘されまして投稿する前のデータを確認したところ話数の設定がバラバラになっていたようで一話分抜けていたそうです。
本日3話目になってしまいますが割り込み投稿で修正させていただきます
それだと神力追えないんじゃ・・・
「あ、ちゃんと使えるのなら問題ないのだわ」
「持ってないけど?」
「借りれるのなら一緒でしょ?」
「まぁそら・・・」
「それに、やろうと思えば何でも出来るんだから、そっちの練習した方がいいのだわ」
「ほー・・・まぁじゃあやるか」
「・・・聞かないの?なんであなたが彼女を殺してしまうか」
「大方の予想は付いてるよ」
さっきも言ったけど、また暴走するんだろう。
それも、前回の比ではないくらいに。
フミも言っていたが、前回の俺は『真化』が発動してなかった。
それは自分の意思というものがない状態で、目の前の敵と戦うだけ・・・それも、繋がった地球の記録を見て、神力を使って技を使っていた。
これは、唯々知識を垂れ流しているのと変わらない.
強力ではあるけど、効果的じゃないから対処なんていくらでも出来た。
問題は俺自身。
『真化』がないから、耐久力は『硬質化』頼り。
それでは、フミの本気の攻撃に耐えられない。だが手加減するには手数が多くて厄介。
それがあの時の俺だ。
じゃあ、仮に『真化』が発動していたらもっと簡単に止められたかと言うと・・・無理だ。逆に止められなくなる。
「高速でレベルアップ。『真化』特有の慣れの早さ。あなたのセンスも考えると・・・20分も戦えば彼女を超えられるわ」
「それは前の話だろ。神力を理解して、持っていたとすればもっと早くなる」
「そうね。あなた特有の力を発現させたら・・・私も殺せるわ」
「・・・お前って、実は戦闘出来ないのか?」
「出来なくはないって感じだわ。一応魔力自体も持ってるから、あの子より少しだけ強いけど」
「十分だわ」
あの子とは、今も下でニホリと喋りながらデザートでも食べているであろう人型の事だ。
あれの戦闘力はフミ以上、全開で『真化』が発動した状態の俺とほぼ一緒。
それと比べてちょっと強いってのは・・・明らかに過剰戦力と言うかなんというか。
「それで?聞かないのは暴走するのがわかっているから?」
「違う」
「じゃあなぜ」
女神の目は鋭い。
俺がフミを・・・それも他の多くの命を奪うことになるとわかっているのに、冷静だからだろう。
・・・そもそも、暴走とは違うかもしれない。
暴走と表現したのはそれ以外に言いようがないから。
「・・・自分から制御手放したんなら、やることは一つしかないんだよな」
「・・・え?」
「ん?知ってるんじゃないのか?」
「い、いや・・・私が知ってるのわ、貴方が暴走するってだけよ」
「ああ、うん・・・未来の俺って、間違いなく俺より強いんだよ」
神力と自前で持っている段階で核が違う。
制御の精度も段違いだろうし、それに伴い様々な能力も上がっている。
そんな俺が、暴走しないと勝てないと判断した敵がいる・・・またはいたってこと。
「『真化』の発動段階をある程度固定できるなら・・・」
「暴走した方が強い?」
「ああ。間違いなく強い。地球の知識を自分の意思で引っ張り出せない以上、俺は神力を自由自在には使えない」
その時点でもうな。
ハクコちゃんの鎧は確かに強い。
形状の変化。身体能力の上昇。鎧自体の防御力の高さ。
それにあわせて、自分の理性ありで戦うってのはそら強いさ。
だが、暴走状態でありとあらゆる攻撃が可能になるのなら・・・
それも、一撃一撃の重さは恐ろしいことになるだろう。
「ちょいとこれ見ろ」
「うん?」
女神が俺の手のひらに目を向けると同時に、黒い何かが生まれる。
「・・・そこまで出来るようになったのね」
「今出来るようになったんだ」
神力を扱う上で、力の応用ってのがどういうものかもわかった。
出来る応用と、出来ない応用の差も。
今やったのは『土魔法』と神力の合わせ技。
手に触れている部分のわずかな範囲の重力を操った。
「元々出来ることなら、神力でブーストして使えるみたいだな。やっぱり」
「あなた本当にどういう発想してるのかしら?」
「神力を使うには強い意志が必要なんだろ?」
「または繋がりのある存在の力を使うことね」
「使いにくいのなら、調整すればいいと思ったんだよ。まぁ、今できない範囲の事まで出来るようになるとは思わなかったけど」
ある意味で当然だ。
使いにくいのなら、使いやすくすれば良いと思ったのだ。
なんで魔法スキルと混ぜたかは・・・何かしら神力に影響を与えられそうな物があればいいと思ったから。
神力に影響を与えられれば、似たような力に変化させるのは簡単だと思ったんだ。
結果的には成功。
だが、少し上手く行きすぎた。
俺の予想では、本当に少し・・・それこそ指のサイズくらいのコントロールだと思ったんだがな。
想像以上に出来た。手のひら全体まで操れるとは。魔力自体はそこまで使ってなかったんだけどな。
ハクコちゃんから借りた神力の残りを使っただけでこれだから・・・本格的に借りたら制御できる自身はない。
「だから、暴走させるんだ。暴走すれば無意識に加減出来るからな」
それも殺すが壊さない程度の加減が。
「・・・それくらい、強力な何かがいるってこと?」
「そういうこともあり得るな」
「ありえないわ」
「・・・いないから?」
「ええ。今の地球上に、そんな存在はいないわ」
それは俺も分かっていることだ。
だけど、暴走するきっかけは別にいいんだ。
・・・なんで、フミを殺すことになったかが問題だ。
「それが暴走なんじゃないの?」
「違う。敵と戦うのに暴走するのと、あんたとフミを殺すのは理由が違う」
「・・・どういうこと?」
「だって、『真化』発動してても止められるだろ?」
「それは・・・そうね。止められるわ」
「そして間違いなく止めようとする」
「勿論よ。あなたは必要だし・・・」
「・・・確か、時を超えて過去を変えると、反動が大きくなるんだって?」
「・・・まさか」
「じゃなきゃ説明付かないだろう・・・」
その反動の対象は・・・多分俺だ。
俺が暴走した程度で女神は殺せない。そもそも『真化』を発動させても人型と同程度。
その上で暴走したらそら女神の力も超えるだろうが・・・それでは足りない。
フミ、ヨミ、人型、女神。そして鱗の持ち主と、それと同程度の地上にいる何かもその場にいるかもしれない。
それだけの実力者たちを前にしたら、『真化』暴走の状態でも足りないだろう。
「後半の2体が来るっていうのはどこかから」
「来るでしょ。間違いなく」
俺にわざわざ神力を理解させたいのは、戦わせたいからだろう。
戦力を増やしたいのか、何かしらの理由で俺が使わないといけないのかはわからんが、間違いなく奴らも近くにいる。
てか、そもそも俺が戦う相手だって・・・!?
「は?・・・」
「どうしたの・・・?って、何この干渉!?」
・・・どういうことだろうか。
俺は、自分の部屋で女神と話していた。そのはずだ。
なのに、なんで俺は外のベンチに座っているんだ?
そして、なんでこんなにも・・・人の気配がないんだ?
『そら、いないからなぁ』
「!?」
『よ。こういう時は・・・初めましてでいいのか?』
気がついたら、横には一人の大人がいた。
くたびれたコートを羽織り、力なく横に座っている。
こいつは・・・俺だ。
『はは。やっぱり見てわかるよな・・・まぁ当然か』
「・・・呼ばれたのか?」
『ああ。俺が呼んだ。時間を超えるってのは面倒だな・・・あいつら、よくこんなのやったよ』
「あいつら・・・?」
『ハクとフィニだよ。まぁ・・・それだけ心配かけたってことだろうけど』
「・・・俺に何があった」
『うん?大体わかってるんじゃないのか?』
「それは過去を変えた反動アリの話だ。お前の時は、それはないはずだろ」
『・・・そうだな。俺も、そう思ってた』
「は?・・・いや。もしかして」
『ハハハ。最悪だよな・・・俺が、フミを殺すのはどうしても確定事項らしいぞ』
未来の俺に、何かが起きた。
そしてその結果、俺は自分の大切な者を失った。
だからこそ、過去を変えようと思った・・・俺はそう考えたのだ。
過去を変えること自体が、自分自身の発想だと。
じゃあそれが違うとどうなる。
ハクコちゃんとフィニちゃんの独断だったら・・・?
「あの子達が俺のところに来ること自体が・・・そもそもの切っ掛け?」
『鶏が先か卵が先かみたいな話になるんだろうが・・・そうみたいだな』
「俺は・・・何やってたんだ!!」
『・・・何も。何もしてないよ。出来なかった』
「は?」
『俺が動けば、それこそ本当に取り返しが付かなくなる・・・あの子達が引き起こす反動なんて目じゃないくらいの災害が起きるぞ』
「ハッ!人間ほとんど滅ぼしたのより上ってか」
『上だよ。ここら辺にいないだけで、遠い所にはまだ一杯いるしな』
「それも殺すと」
『流石に俺じゃないだろうがな・・・時間を超える方法って知ってるか?』
「あ?いきなりなんだよ」
『質問に答えろ』
「・・・『神威』を使うってのは知ってる」
『それ以外では?』
「いや知るわけないだろ」
『じゃあ時を歪める方法は?』
「それはまぁ・・・アニメとかゲームの方法でいいなら」
重力と時間の関係だ。
それを理解出来るんなら・・・まぁ時間の流れを操ることも出来る。
「だけど、俺そんなの出来ないぞ?」
『俺が出来るからいいんだよ。てか、俺がお前を呼んだのはそれだし』
「はい?」
『ちょっと時空を歪めてな』
「え、何簡単に言ってくれてんのこの人」
『お前のいる時間軸の所まで俺いるの空間を歪めて、お前の時代の地球に干渉。そこからお前に繋げて、こっちに引っ張ってきたんだ』
「・・・それは・・・いいのか?」
『問題ない。これで過去を変えられるわけじゃないし・・・てか、そもそもこれの反動はもう支払ってるし』
「・・・やばい混乱してきた」
『ハハハ。やっぱりまだ無理か・・・よし、じゃあちょっと休憩にするか』
「うん?」
『コロ』
「コロちゃん?」
この時代の俺ってちゃん付けしないのか。
大人の俺がコロちゃんを呼ぶ。
次の瞬間。神力が迫ってくる。速い・・・!?
目の前に現れたのは見上げるほどに大きい大狼。
だが、それでもわかる。
この子は・・・コロちゃんだ。
『ワン?』
『よしよし・・・ほら、懐かしいだろ。だいぶ前の俺だ』
『・・・ワフ!?』
『大丈夫大丈夫。ちゃんと細工したし。変わんなきゃ問題ないんだよ』
「・・・」(ウズウズ
『・・・我慢できないみたいだから頑張れ』
『???ワプ!?』
「・・・は?体埋まるんだが??????」
『前の俺って、他人から見るとこうなってたのか・・・』
やばり・・・コロちゃんがもふい・・・すごいもふい・・・
「唯でさえ天使だったコロちゃんが神になってたか・・・」
『いや、まぁ確かに神なんだけど・・・』
「・・・ふーん」
『ああ興味ないっすかそうですか・・・やばいな俺』




