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418話

神力の煙に包まれて、わかったことがある。

やはりこの力、自然の物ではない。

ああいや、自然っちゃ自然なんだけど、そう言うことじゃなくて。

魔力と違って、この力はそこらへんには存在しないということだ。

魔力だってダンジョン外にはなかったが、一応ダンジョンの中にはある。

それがダンジョンが発生したことで魔力が少しづつ外でも感じられるようになった。これが原因で、寄生型精霊が生まれるのだがそこは一旦置いておく。


それに対して神力。

これは今のところ限られた生物から出ないと感じることができない。

単純に神力の絶対量が少ないから感じられないだけ・・・とも考えられるが、そうではないだろう。

煙として空中を漂っているのに、全く馴染む気配がないのだ。

カーペットやベットと言ったものはもちろん。部屋にあるサボテンにも馴染まない。

魔力の場合は、少しずつだが馴染んでいったような感じだったのにだ。


事実、コロちゃんには全く煙が反応してない。

周囲を漂ってはいるが、何の反応もなし。

触れない・・・そして感じれない。

だが俺には違う。時間が経過していくにつれ、段々俺の周囲の煙が濃くなってきた。

相変わらず俺もそこに力があることしかわからないが、恐らく神力自体が濃くなっているようだ。

ハクコちゃんも俺の様子を見て、訝しんでいる。自分が何もやってないのに、何故こいつの周りに集まるのかと。

・・・もう少し、様子を見てみよう。

















「恭輔~ご飯出来た・・・ってなんやこの状況!?」

「ワフ」

「ガウ~」

「・・・」

「ちょ、薄い薄い恭輔!!」

「・・・お?」

「あ、戻った」


うん?何をフミは慌ててるんだ?


「いや、今めっちゃ薄くなっとったけど」

「・・・髪の毛が?」

「いや体が・・・」

「は?」

「気配も薄くなっとたし、魔力はそのままやったけど」

「・・・え、マジ?」

「ワン」

「ガウ」

「コロちゃん達が引っ張っとったのに無視やったし・・・」

「えぇ・・・俺が?」


マジか?全く分からなかったんだが・・・


神力に包まれていたのは大体1時間くらいだったみたいだ。

その間、俺を満たしていたのは万能感。

何でも出来ると思うほどの力と、それを実際に可能にするだけの何かを感じていた。


今は・・・ダメだ。全くない。

でか、神力の煙もないな。


「どれくらいで煙は無くしたんだ?」

「ガウ~」

「30分前?・・・ってことはそれくらいから気がついてなかったと」

「ワフ?」

「・・・段々力が強くなってるのに薄くなってく?」

「どういうことや?てか、恭輔また変な事してたんやな?」

「・・・スゥー・・・いや、待て。違う」

「なーにが?」

「・・・ごめんなさい」

「後でお話や」

「ぅぃ」


怒られます・・・


いや、それもそうなんだけど今はあの感覚を解明しなきゃ。


「ハクコちゃん煙少しだけとか出来る?」

「・・・ガウ?」

「それ必要なん?」

「絶対に必要。もしかしたら俺の暴走状態の事がわかるかも」

「なっ!?・・・うーん。そう言うことなら」

「ありがとう。ハクコちゃん頼んだ」

「ガウ!」


ハクコちゃんの周りに本当に薄く煙が出てくる。

その煙に、とある確信を持って触れる。


「・・・ワフ?」

「え?触れるのが変なん?」

「ワン」

「さっきまでは触れてなかった・・・どういうことや?」

「・・・やっぱりか、ハクコちゃん、こんなの無意識に使えてたのか」

「ガウ?」

「いや、まだ正確じゃないけど・・・こんなか?」


煙に触れている部分を・・・固めるイメージ。

自分の中の力を動かすのではなく、外側の力を手繰るように・・・


ゆっくりとだが、形になる。

それは、ハクコちゃんが纏う鎧と同じ印象を受ける籠手となる。


「ほぉ!?」

「ワフ!?」

「ガ!?」


皆が驚くが、無理もないだろう。

ハクコちゃんは、自分と同じ物を俺が纏ったことに対して、

フミとハクコちゃんは、目の前に現れた鎧の力の塊・・・その余りに大きく強い力に対して。


「あ・・・ありえへん。いくら恭輔でもこれはアカン」

「・・・クーン」

「・・・ガウ?」

「理解できたわけじゃないけど、なんとなく動かせる気がしてな」


今やったのは、ハクコちゃんが出した神力の煙を俺が動かした・・・それだけだ。

魔力の場合、他人の物は空気中に浮いてても動かせない。

あくまでも他人のだから、自分では操作の権限がないってことだ。


だが、神力は違う。

誰が持とうと、何に宿ろうと、神力は共通。

・・・包まれていて、違和感は覚えていたのだ。

なんでハクコちゃんとあの鱗から感じる力に差を感じないのかと。

確かに神力の密度には差があった。だが、それはハクコちゃんと鱗の持ち主との実力差のせいだ。

魔力の差とはまた違う。

魔力はもっと、生物ごとで個性的だ。

持つ魔法スキルや生きてきた環境。その他さまざまな条件で魔力には個性が生れる。


だが、神力にはこの個性が全くない。

魔力は色とりどり。神力は白一色。違って見えるのは、光度の差というのがわかりやすいかな。


「だから、俺でも動かせると思ったんだけど・・・」

「・・・ガ、ガウ?」

「引かないでくれます?」


包まれただけでそんなことわかるの?って言われても、わかったんだから仕方ないでしょ。


「でも、差がないだけでなんで使える思たん?」

「いや、そこは勘なんだけど・・・万能感を感じてたあたりで、あの感覚には覚えがあるなって」

「覚え・・・?」

「暴走状態の時。あの時は戦ってるっていうことしか覚えてなかったけど、同じ感覚だったんだよ」

「・・・万能感は感じてたっちゅうことかいな」

「てか、だから色々出来たんだと思う」


フミは、俺の暴走時には多種多様な攻撃をしてきたと言っていた。

多分・・・俺はあの時神力を使っていたんだと思う。

万能感は、恐らく本当に万能だからこそ感じているものなのだろう。

それを感覚でわかっていたからこそ、俺はそう感じることが出来た・・・ただ、疑問は残る。


「暴走時には、誰の神力を使ってたんだ俺」

「あ・・・そういやせやな。地球は神力ないん?」

「・・・ないって思ってたんだけど、この分だと持ってるのか」


女神の用意していた範囲を飛び越え、地球そのものに繋がっていたのがあの時の暴走状態。

自分の許容量を大きく超えて干渉された結果が例の暴走だ。

フミが見たって言ってた、女神の力の源・・・それが神力であることは間違いない。だけどそれは、恐らく未完成の代物。


母なる大地の力は、所詮人間と神には使えない。あの女神が言った言葉だ。

だからこそ、神力を自分なりに再現して使っている。それが女神。


「なぁなぁ恭輔」

「うん?」

「地球は魔力だけやと思うんだけど」

「お?理由は?」

「やって、元々ダンジョンが作られた理由は、地球に魔力が溜まりすぎた結果なんやろ?」

「そうだな」

「じゃあ神力あったらおかしない?恭輔の話やともっと大変なことになっとると思うんやけど」

「あー」


そういえばそうだな。

うん?となるとなんで俺はあの時神力を使っていたんだ?

地球には神力はない。だけど俺はあの時地球と間違いなく繋がっていた。

・・・わからん。


「・・・ガウ」

「ん?」

「ガウ」

「は?別の形に?いいけど・・・」


再びハクコちゃんが出してくれた煙に触れて神力操作する。

形は・・・そうだな、なんとなくナイフでいいか・・・


「あれ」

「ん?」

「・・・ワフ?」

「ガウ」


形が定まらない。あれ、なんでだ。

固定出来そうで出来ない。煙のままで実体に出来ない。


「なんで・・・フン!!・・・あれー?」

「なんか条件あるんかな?」

「実際に見たことのある形だけとかか?」

「ガウ~」(フルフル

「ん?違うの?」

「ガウ」

「・・・は?神力の形を知っている物だけ?」


・・・え、どういうこと?


ハクコちゃんの言葉に首を傾げていると、いつも通りの気配が背後に。


「その力って、何でも出来る割に融通が利かないのよね」

「女神おっす」

「ふふふ。こんばんわ」

「こんばんわ」

「あ、今日は人型も一緒なんやね」

「ニホリちゃんからご飯誘われてたの」

「いつのまに!?」


本当にいつの間にそんな話に・・・

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