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415話

めっちゃ長くなりました

「恭輔さん。最近何か変な事しました?」

「いきなりなんだお前」

「いや、どうにも色々変でして」

「はぁ」

「空気中を漂う魔力の流れがおかしいと言うか、何かに引っ張られてるっていうか」

「???。まぁよくわからんけど、最近は何もしてないぞ」

「・・・ニホリちゃん本当ですか?」

「う」

「何故ニホリに聞いた」

「いや、こう言うことって本人には自覚ないこと多いじゃないですか」


失礼なやつだ。

イルカなどと話せることを確認し、その後も定期的に同じようなことを繰り返すこと早1週間。

何やらうちに来たヨミに出合い頭にそんなことを聞かれたのだが。

しかも何か信用されてないっていう。なんだなんだ。何があった。


魔力が引っ張られてるって何。


「それは私の感覚なんですけど。どーにも変というか・・・」

「全く俺わかんないけど?」

「う?」

「半ば勘ですから。お姉様も特に何もないって言うと思いますよ?」

「・・・じゃあ勘違いじゃね?」

「だといいんですけど。うーん気になる」


マジで悩んでるんだな。

でも、勘ってバカに出来ないのは俺がよく知ってるからな。

俺の場合は勘と言う名の知識の逆流なんですけど。


「・・・まぁ何もないなら帰りますね?」

「あら珍しい」

「うー?」

「今日は雪ちゃんとケーキを買いに行くんです!」

「ああそう」


自分の違和感は後回しですか。
















「すまん恭輔。いきなりだがお前海の中でどれくらい活動できる」

「本当にいきなりの事だけど最大で30分」

「なが」

「聞いといてなんだ」


本当になんだ。


「実は、太平洋のこのあたりでこんな写真が撮られてな」

「おん?」


だからデスクの上に地図何て広がってたのか。

そしてそれと一緒に見せられた写真。海中に見える巨大な影を写した写真だ。

これはクジラとかじゃない。しいて言うなら蛇か?

だけど・・・このサイズは本当か?


「合成とかじゃないのか?」

「調べた限り、その線はないらしい」

「てかこれどうやって撮ったの」

「ヘリだ。知り合いが港の漁師と話していた時に聞いた話でな。確かめに行ったらってことだ」

「・・・これ。ダンジョンに出てくる蛇よりでかいけど」

「ああ。幸い一枚撮って戻ったそうだ」

「懸命だわ」


明らかに尋常なサイズではない。

勿論。何もない普通な生物って事もありえる。

海底ってのは、結構神秘的な生物が多い。

サイズが大きいのはいるな。ダイオウイカとか、シロナガスクジラとか。


だが、この影はそういう形をしていない。

余りにも大きくて、全容がわかっていないが長いのだ。


「・・・え、まさか」

「そうだ。調べに行けるか?」

「これダンジョン・・・関係・・・ありそー」

「ああ、寄生型精霊の事もある」

「・・・寄生されて生まれた新種ってか」

「ああ。魔力の有無は当然わかってない」

「持ってても、俺達なら対応できる。ないなら無いで問題ないと」

「そういうことだ。頼めるか」

「OK。おもしろそうだし行ってくるわ」

「頼んだ」


連れて行くのは・・・まぁ最低限かな。
















同行するのはフミ、ポヨネ、すらっぴ、そして精霊召喚担当としてピッちゃんだ。

海中で戦闘できるメンバーだけど連れてきた。他の子達は戦えないからな。


現在の俺はがっつり潜水装備。

30分ってのは、魔法でもなんでもありの状態で普段の装備で戦える限界時間だ。

酸素は・・・まぁ無理やり水の無い空間を作れるからな。

でも潜水装備をしていた方がいい。水中スクーターも用意してもらったから、体力を使わずに移動できる。

まぁ基本は結界張って動くからマジで緊急時の装備だ。


フミ達は何もしていない。

ピッちゃんは潜らないし、ポヨネは結界がある。すらっぴは水の中での呼吸には困らない。

フミだが・・・どうするんだ?


「うち?ポヨネに結界張ってもらうわ」

「え、じゃあ俺も張ってほしいんだけど」

「うーん・・・やめた方がええで?戦いずらいと思うし」

「そうですね。あれって結局周りの空気が変わるので、恭輔さんの戦い方だとお勧めできませんね」

「と言いますよ?」

「お姉さまと私の周りの空間を隔離するんです。だから周囲の物体に対して魔力の干渉しにくくなるんです」

「あー・・・じゃあダメだわ」

「魔力の通りも悪くなるからなぁ」


俺の魔法で最も効率がいいのは地面に干渉して地形を変えて攻撃すること。

魔力から生み出すことも出来るが、あれはあれでな。

一から作り出すのと、最初からある物を利用するのだとどっちが速いかってことだ。

万が一に備えるのなら、後者が出来る方がいい。


フミとポヨネの攻撃手段は環境を利用した攻撃って見たことないから出来るってこと。

そうなると、すらっぴもダメだな・・・てか、うちの魔法組は全員ダメだわ。

魔法って基本環境に干渉して攻撃する方が楽だし。

生み出すのは自由度もあって威力は高いんだけど、どうしてもラグが生れる。

このラグはどうしても無くせないみたいなのだ。

俺がいくら練習してもある程度早くなってからその点に置いて成長がなくなったからな。

これはちゃんと俺がやってる魔法講座で教えている。一種のゴールだしな。

うちの子達に関しても同じだったから、これはほぼ確定情報。


さて、じゃあそろそろ潜るか。

日本の陸を離れ、南鳥島をさらに東。

先ず飛行機で3時間程移動。南鳥島に着いたら船で移動でさらに数時間。

既に周囲には何も見えない状況だ。


「ここらへん?」

「ああ。頼んだぞ」

「OKOK。行ってきまーす」


全員で海に飛び込む。

体力温存のため、行きだけは船で送ってもらうと言うことになっているから、親父を乗せた船はこの後島に戻る。

帰りは飛ぶ。全く最近飛ばなくなってるけど俺飛べるんです。


「・・・」

「恭輔動けるんか?」

「・・・」(グッ

「ぴっぴぴー」

「にゃ」

「ぐぅ」


ピッちゃんは召喚をここでやってそのまま船にいる。


ここからは、完全に俺達だけだ。

フミとポヨネ、すらっぴは問題なさそう。

ふーりんちゃんとカルちゃんはちょっと動きづらそうだ。水の中って状態で戦うのは始めてだからな。

一応、ここに来る前にプールで練習はしたが、海は常に不規則に流れている。それに慣れるのには時間がかかるだろう。


「・・・」(サ

「わかったわ」

「じゃあいったん広げますね」


ポヨネの結界が広がる。

広がった空間には水が全くない空間が出来上がる。

そこに入って、ようやく普通に呼吸できる。


「ふー・・・息しずらいわ」

「そらそうやろな」

「うわぁ。海って綺麗なんですね」

「ぴ~」

「ふーりんちゃんカルちゃんそっちはどうだ」

「にゃ!」

「ぐぅ!」


海外である檻みたいな入れ物に入って海の中を見学するあのイメージ。

なんかゲームでその状況でサメに襲われるのあったような気がするわ。


海中は真っ暗だ。そこはまず見えないし、目の前も俺たちの持っているライトのみが光源となっているのみ。

太陽の光が届かない深度まで一気に来たな。結界の防護が無い場合はまず陸の生物では生きることは出来ないだろう。


・・・それにしても、何か妙だな。


「何がや?」

「生き物が少ない。普通このあたりでこの深さならもっと魚いてもいいんだけど」


前に見たことのあるドキュメンタリー番組の映像とかじゃもっと一杯いたんだがな。

まぁあれは番組向けに編集されてるだろうし、映える映像を選んでるんだろうから、常にあれほどとは思ってないが・・・

それにしても少なすぎる。一匹もいないなんてあるか?


だが魔力は感じない。

精霊に寄生されて生まれた生物は、生まれた時から魔力を持っているから、今の時点で感じないなら・・・

だがあの巨大な影は明らかにおかしいしな。もう遠くに移動されたか?

でもだったら他の所でも発見情報があってもおかしくないしな。


「何かが通ったか?」

「ちゅーか。ホンマに暗いんやな。ほとんど何も見えへんわ」

「・・・ポヨネ、もっと下に行けるか?」

「待ってください。耐えられるように強化するんで・・・」


ここじゃわからないな。せめてもう少し海底に近づければ・・・


「フミは何か感じるか?」

「・・・さっぱりやな」

「お前らは?」

「ぴぴ?」

「にゃ?」

「ぐぅ?」

「セロっぽ顔だなそれ」


わかりやすいなおい。


ポヨネの準備が出来たので、さらに深い所に。

さらに暗くなっていくが、それでも生物はいない。


やっぱりおかしい。本当に何もいない何て、この広い海と言えとそんなことあり得るのか?


「・・・なんやろ、嫌な予感してきたわ」

「ぴ~・・・」

「・・・恭輔さん。これ以上はダメです」

「わかった。ここから移動しよう」


どれくらい下に下がったのだろうか。

結界で足場を作っているから上下の間隔はわかるが、もしなかったらと考えるとぞっとする。


フミ達の嫌な予感も気になるが・・・


「・・・ふーりんちゃん。動ける?」

「にゃー」

「すまん。頼んだ」

「にゃ!」


ふーりんちゃんが結界の外に出る。

物理現象を基本的に無視できるふーりんちゃん達精霊。その中でもふーりんちゃんは飛びぬけている。

なにせ自分の姿を自由に変えられるのだ。水圧がいくら高かろうと問題ない。


水の中で動きにくいってのは・・・まぁあれだ、猫だから・・・。

カルちゃんは物理型だから水圧気にするんだよな。多分効かないんだろうけど。


するすると水の中を泳ぐ・・・泳ぐ?飛ぶ?

・・・移動していくふーりんちゃんはあっという間に姿が暗闇に消えた。

なんだろうか、俺必要だったか?


「俺も精霊呼べるようにならねぇかな」

「ん?なんや、欲しいん?」

「便利そうだしなぁ。召喚した精霊の視界共有とか出来るみたいじゃん」

「ピッちゃんの場合死んでますけどねそれ」

「ピッちゃんだしなぁ・・・すらっぴは出るな」

「ぴ!?」

「暗いんだから迷子になるでしょ。迷っても還れるふーりんちゃん達じゃないんだから」


そう、海のところで怖いのはそれだ。

海底ってのは、基本まっくら。

そして、水圧で鼓膜が破れた場合どうなるか。方向感覚がなくなるのだ。

自分では上へ上へと思って泳いでも、実は下に行っているなんてことはザラだ。


そうでなくても、全く光の無いこの状況。

少しでも俺達を見失ってしまえばあっという間に合流できなくなるだろう。

俺の場合は地面に・・・この場合海底に干渉すればどっちが下かわかるから何とかなるけど・・・まず普通に水圧で潰されて死にます私。


「てか、隔離してるのにふーりんちゃんの魔力は感じるんだな」

「それはこっちがそういう風に設定してるからですよ」

「ん?じゃあ魔法も普通に使えるんじゃないか?」

「もろくなってもいいならしますけど」

「このままで」

「そこまで万能じゃないんですよ私のは。自由度が低いって言うか」


なるほど、ヨミの出来る限界が今の状況か。


「それに、感じるのってそこまでシャットアウトするのも難しくないんです」

「そうなの?」

「えっと・・・窓閉めてても強風なら音でわかりますよね。そんな感じです」

「あー。閉まってるからこちらからは風を体で感じることは出来ないってことね」

「そういうことです。それをしようとするとあみあみにすればいいんですけど、そうすると水が入ってくるでダメです」

「へー!結構常識的な設定なんだな」

「まぁ私はって感じですけど」

「・・・ヨミは?」

「無茶苦茶やってきますよあいつ」

「あいつ」


あいつ呼ばわりかよ・・・あ?


「ふーりんちゃん?」

「え?・・・あれ?消えてる?」

「ううん?・・・いや、おる・・・おお?おらん?」

「なんだこれ・・・」


魔力を消えては出てくる。

ふーりんちゃんの魔力が感じ取れたり感じ取れなかったりしている?

なんだこれ、何か魔力を遮る何かに妨害されてるみたいじゃないか。

これと同じ現象だと、対象より大きな魔力を持つ物が近くにあると、その対象の魔力を感じにくくなったりってのはあるけど・・・

だけど、それなら俺達が先にその大きな魔力に気がつくはずなんだが。


「場所は・・・結構下だな」

「・・・うーん。ダメですね、やっぱりいけません。これ以上は完全に防げなくなっちゃいます」

「じゃあダメか・・・」


どうにかしてその場に行きたいんだが、結界の限度にいるからこれ以上は下に進めない。

どうするか・・・・

そうして悩んでいると、結界の下から巨大な猫の耳が・・・!?


「おお!?」

「なー」

「・・・深海で見るふーりんちゃん(巨大)怖いんやな」

「ぴ」

「ぐぅ?」

「にゃー」

「あ、大きくなって運んできたと・・・運んできた?」


ふーりんちゃんが大きくなって持ってきた物。

それは大きな鱗だった。俺の身長の倍以上はある。

それだけならまだいい。問題は、それから感じる何か。


魔力ではない。だがそれがそこにある。圧倒的な力・・・その欠片が、剥がれた鱗に残っている。


「なんやこれ!?海ってこんなんおるんか!?」

「うわ、ダンジョン以外も割と魔境なんですね・・・地球怖い」

「ぴー!!」

「ぐぅ?」(コンコン

「あ、こらこらあかんよ殴ったら。恭輔に怒られるで・・・恭輔?」


知っている。俺はこの力を知っている。

これは・・・あの子達の持っていた力だ。


未来から来たハクコちゃんとフィニちゃんから感じていた何か・・・


「ッッッ!?・・・嘘だろ。これが神威なのか!?」

「は?恭輔?」

「待て待て、何だこの大きさ。剥がれた鱗でこれ?」

「恭輔~わかるように説明してや~」(グイグイ

「は?・・・あ、ああ・・・うん」


『神威』が放つ力・・・そして、『神威』を持つ生き物が放つ独特のオーラ。

これは未来のあの子達から感じたものと同じものだ。

あの子達は、今の彼らの体を借りて時間を超えて俺に会いに来た。だからこそ、感じる力は微量で会った。

だが忘れない。忘れるわけない。そもそも、既存の生物と大きく異なるその違和感を。

そうじゃなきゃ、俺が見ただけであの子達の違いに気がつくはずがない。


だけど、このサイズの鱗を持ち、明らかにハクコちゃん達とは核が違う『神威』を持つ生物なんてあり得るのか?

寄生型精霊が地上に生まれるのは、魔力が地上にある程度回ってからだ。

つまりはここ数か月の話。どれだけ早く生まれてもその程度でしかない。

何が元になったらこうなる。

いや・・・元は関係ない?近いからこうなった。


ああそうだ。それだ。また流れてきた。

そしてこの鱗の持ち主は既にここの付近にはいない。

今なら追えるが・・・


「・・・ダメだな。帰るぞ、それは持ってくぞ」

「え?もういいんですか?」

「せや。もうちょい探せばもっと見つかるかもしれへんで?」

「いや・・・まだダメだ。刺激すると手に負えなくなる」


鱗から感じる力を元に考えても、最低でもフミ以上。

最悪、直接戦闘能力では人型を超えている可能性すらある怪物だぞ。


・・・あ、いやマジか。

これと似たようなの、もう一匹いないかこれ。


しかも、何か地上に出てね?

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