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414話

「うー!」

「「「ぴよー」」」

「・・・ぴ?」

「ああやってみると、ニホリも普通の女の子だよなー」

「せやなぁ。今のニホリ見たらただの幼女やで」

「・・・母さん用に一枚パシャリ」

「う?」

「「「ぴよ?」」」

「こっちみてー」

「うー」

「「「ぴよー」」」


可愛い。


ペンギンの雛は、大人と比べるとモフい。

非常にモフい。毛玉みたいなんだよね。大人はそれに比べるとしゅっとする。


それは体温調節とか色々あるんだけど・・・まぁともかくだ、雛は可愛い。大人も可愛い。

一枚と言わず何枚も写真を撮ったところで、こちらの本題に入りましょう。

イルカとは出来たからな。こっちの方が楽かも。

てか、地味にペンギンってあんまり会ったことないってだけで普通に話せるかもしれないな。


ニホリに雛を抱えてきてもらい、近寄ってもらう。


「う!」

「「「ぴよ?」」」

「・・・あれ、聞こえない?」

「・・・何も言うとらんのやないの?」

「あー・・・え、マジか」


この子達今『ぴよ』って言ったってこと?まじ?


「・・・」

「・・・」

「・・・」(サ

「・・・」(ピョコ

「・・・こんにちわ?」

「ぴよ!」

「ああ、聞こえたわ」


良かった良かった・・・いや、やっぱりさっきぴよって言ったのかこの子。

うん。てか一発だったな。

なんでだ?陸上で生活する動物だからか?水の中にずっといるわけじゃないしな。普通の動物判定なのか。

・・・・・・


「それはそれとして持ち帰りたい」

「ダメや」

「う!」

「「ぴよ!」」

「そんなー」


まぁこのあたりは基本的に出来るのがわかっていた種類だから驚きはない。

話したことないだけであれなんだよね。

恐らくだが、現時点で海生哺乳槌とかあのあたりは全部話せると思う。

水中を主な生息場所としているような種類の動物も、意思疎通のやり方はわかったからこれも出来るだろう。

後でサメとかで試すことになっているが、まぁこれはいい。


問題は、これが俺の認識が変わったことにより出来るようになったのか。

今までも出来ることは出来ていたが俺が話そうとしてなかっただけか。


この違いによっては、俺が話せない生き物も出てくるだろう。

俺が話そうとしなければ出来ないわけだし・・・これは当たり前か。


ただ、認識の違いでこれが変わるのなら違う。

何でも出来るはずだ。本当に何でも。

後話せない生き物って言うと・・・虫か?それに言語の壁も越えられてない。

問題は、俺がそれを越えることがどうすればいいのかなってことだけど。


うーん。虫って何考えてるかわからないし、言語はもっとまずいな。

俺がそういうイメージを持っているだけでダメかもしんないしな。

・・・可能性があるのは、魔力でやった意思疎通のやり方を人間や虫でもやるってやり方なんだけど。

あれ、多分方法としては違うんだよなぁ。

今こうやってペンギンの雛と話した感覚と、先ほどイルカと話した感覚が違うのだ。

あっちはコミュニケーション・・・触れ合うって感じ。

こっちは会話なのだ。普通に。やはり俺自身が声に出して話すってことを会話と思っているからだろうか。


それに、あの魔力で意思を伝えるやり方・・・俺じゃなくても出来るよなあれ。


「うん?どういうことだ?」

「受け取りが出来ないだけど、渡すのは出来ると思うんだよなぁと」

「・・・あ、それもそうやな。魔力で伝えるのは出来るわ」

「う」(コクコク

「何?そうなのか?」

「だってあれは俺の能力関係なしだしなぁ。魔力に自分の意思を込める練習すれば出来るし」


俺以外の人間が、過不足なく動物相手に自分の言いたいことを伝えられるってのは大きいかもな。

だけど、逆は出来ない。

イルカの意思やペンギンの雛の意思を聞いたのは俺個人の能力であり、魔力は関係ない。


「・・・次は他の人で試さないと駄目か」

「あ、魔力の運用がちゃんと出来る人が良いから。出来るなら藤岡さん達の誰かが良いかも」

「うん?そうか」

「可能なら姉ちゃんで。俺の事見てたから感覚掴みやすいだろうし」

「わかった」


こういうことは、フミとニホリじゃダメなのは面倒だよなぁ。

二人とも普通に喋れちゃうし。

フミは元からだけど、ニホリは俺の影響かな?













その後も、何種類もの生き物たちとコミュニケーションを試した。

結果はすべて出来たと言える。

まぁ返事が遅かったり、そもそも反応が鈍いのもいたりするし。そもそも思考能力の差で気持ちしか伝わらないのもいたのだが。

完璧に、すべての生物と完全なコミュニケーションをするのは無理ってことだろう。

少なくとも、今の俺では。


だが、水の中でも話せるってのは大きな収穫だな。

多分だけど、近いうちに使いそうだし。

・・・はて、なんでそう思ったんだ?


「ガウ」

「ハクコちゃん?」

「・・・」(スリスリ

「お、おお?どうした?」

「・・・グル」

「・・・???」


ハクコちゃんが・・・何か変だな。なんだこれ。

何かを感じていて、それに不安を覚えている?なんだ?この周辺に何かあるのか?


「・・・いや、何もないか。本当にどうした?」

「・・・」(グイグイ

「おおう。熱烈な抱擁だ」


何か甘えてくるなぁ・・・


















「何?またか?」

「はい。今月でもう4隻目です」

「・・・事故ってことはないんだな?」

「残骸も残ってないんです。それに、偶然近くを通っていた漁船の乗員の証言もあります」

「・・・海中にダンジョンがある可能性か」

「そして、その中からモンスターが外に出ている可能性すらあります」

「・・・これは、どうなるかな」


その手に握られた写真には、海中を漂う巨大な影が映し出されていた。














地の底で眠る何かは、既に気がついている。

自分がもうじき動かなくてはいけないと言うことを。


海の底で漂う何かは、既にわかっている。

自分が、もうじき戦わなければいけないということを。


そうしないと、全てが終わってしまうと言うことを。

神に連なる我々が、やらなければいけないと言うことを。

でなければ・・・


だから待つのだ。

白と赤を従える者を

神に近づく・・・そして超える可能性を持つ彼らを。

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