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406話

忙しすぎて予約投稿すら忘れる始末

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・ぴぴ!」

「きぃ!」

「クゥ!」


すらっぴ、バトちゃん、ふーちゃんの攻撃が俺に向かって飛んでくる。

それを構えた槍で撃ち落とす。

突くように使っていては間に合わないと判断し、槍を回転させる。

前方からの魔法を全て撃ち落としたと思ったら、背後から音。風を切り裂く音だ。

背後を見ずに跳びのく。跳んだ俺にさらに炎を追撃が来るが、それは槍を振り下ろし霧散させる。


水の球は薙ぎ払い、風の刃は突いて相殺、炎に対してはさらに大きく薙ぐことで火花すら当たらぬように散らす。

次々に撃ちだされる魔法を、槍と体捌きで躱し続ける。

グルグルと、槍が止まることはない。

そんな動きが10分続いたところで・・・


『・・・よし、終了だ!』

「ふぃー」

「ぴっぴ!」

「ききー!」

「クゥ?」


魔法が止まった。

すらっぴとバトちゃんはすごいすごい!喜んでいるが、ふーちゃんはもういいの?と不完全燃焼みたいだ。


『槍の状態はどうだ?』

「・・・いいね。特に変形してないし、使ってて軽いのがいい」

「ぴ?」

「ああ、ふーちゃんの炎でも変形しないのはでかいな」

「クゥ・・・」

「ハハハ。本気だと俺が消し炭になるからやめて」


そこだけはマジ。


『ふむ。おおむね成功かな』

「これ傑作だぜ。貰っていい?」

『どうせ一本は実戦データ用が必要だしな。そのまま使ってくれ』

「いえい」

『それにしても、これが量産できるとはな・・・』

「それだけ、ユニちゃんの角がすごいってことだな」

『まったくだ』


そう、今やってたのはユニちゃんの角を使って作られた槍の耐久力実験だ。


ヨミがこそこそと集め、加工してそれを研究所に渡す。

それがさらに加工されて、槍になった。

先端の金色に煌めく角が美しく、槍全体がほんのりと魔力を帯びている。

使用されている角以外の材料も、すべてダンジョンで手に入った物を使っている。

魔力の通りが良く、軽い金属。


『これを剣にした場合はどうだと思う?』

「しなりが必要なら向いてる」

『ふむ・・・固さを求められる武器は不向きか」


ダンジョンで採れた鉄鉱石。それをインゴットにすると、面白い特性があることが分かった。

魔力を通しやすくなる目安としての数値は存在する。ポヨネが鑑定で見た時に見えるやつな。

浸食率だったか浸透率だったかそんなやつ。

あれが高ければ高いほど魔力を込めやすくなる。そして、その数値を持つ素材を加工スキル・・・『鍛冶』とかを持っている人間が手を加えると、さらにその数値が上がる。

そして、最近見つかったとある鉱物をインゴットにするとだ、面白いことに、何故か柔らかい金属になるのだ。


柔らかいと言っても、ぐにゃぐにゃ回るわけではない。木のようなしなやかさを持つと言った方がいい。

そしてこれ自体が軽いので、非常に扱いやすい代物になっている。


「蒼鉄鉱石だっけ。随分すごいな」

『性質は鉄に似ているが、鉄より加工しやすく軽い』

「これで鋼とか出来るんじゃない?」

『ちょうど今試行錯誤の最中だ。ダンジョンで手に入った他の金属と組み合わせたりな』


まるで蒼い鉄鉱石。だからわかりやすく蒼鉄鉱石と呼ばれるようになった。

それを用いた槍だから、先端部分以外は深い青色になっている。

見た目もかっこいいし、まぁギリ及第点な武器なんじゃないかと思う。

あ、俺が使うって意味でね?


他の人たちが使うんなら問題ない。

俺の場合は、ユニちゃんの角は問題ないが他の部分が壊れる。

『硬質化』しても、元の耐久力が低いから多分すぐに壊れちゃうしな。


まぁ・・・近接戦をする人。

魔法や他のスキルを持っていない人が使う武器としては十分すぎるだろう。

そもそも魔力を少し帯びているから、物理攻撃が効かない精霊のようなモンスターでもある程度はダメージは与えられるだろう。

槍っていうのもいいな、非常に初心者向きな武器と言える。


問題はあれだね、ユニちゃんの角の加工が大変ってことかな。

魔力をヨミの結界で抜くのに最短1月。一度に何本も大量に加工出来るからある程度はいいんだがな・・・

この先、冒険者が増えたら絶対に足りなくなる。

日本だけならまだいいが、海外からも手に入れようとする人は来るだろう。

そうなると、また面倒なことになる。


「でも発表せんわけにもいかないのがなぁ」

『仕方ない。こういうことは公表していかないとな』

「武器くらい自分の国で作れっての」

『仕方ないだろう。『鍛冶』スキルなんて持っている人間、日本にしかいないんだから』

「スキルがんばって取れよ」


1から10を回れよ。一回でも10層超えると駄目だけど。


まぁそんなわけだ。

『鍛冶』スキルの保持者でないと、武器や防具を作った際に効果が出ない。

その結果は実は前に公表されている。

そもそも武器になる前にインゴットになるわけだしな。

そして、今回作られた槍は、十分な性能があるとわかった。

ユニちゃんの角と、ダンジョンで手に入る蒼鉄石が必要だから、今のところ日本じゃないと手に入らない。

てか、うちの研究所じゃないと手に入らない。

つまりは?うちの研究所に問い合わせ殺到。手に入れるためにまた面倒ごとが来ると。


さらにはうちのユニちゃんが関わっているから、猶更面倒なことが目に見えている。


「また何か言われるのか・・・」

『まぁうん。あれだ。ちゃんとこっちで止めるから』

「あ、でも何か言われたら言えよ?脅すのが速いってのは大体わかったし」

『最低な事学んでんな』


だってそうでしょ。


俺がハクコちゃんを助けた件も実はそうだ。

研究所一つが地に沈んだ。それを一瞬で行った俺の力。ようやくそれをちゃんと理解した人間も多い。

今までは、俺の出す利益を見て好きにさせているという認識の人間は割と多かった。


まぁ所詮はダンジョンで録画した戦闘動画だけでしか俺を見ていない。

実際に人間と・・・人間に対してその力が振るわれたことがないから、危機感に欠けるのが多かったのだ。

だが、それがひっくり返った。

俺が、一匹の動物の為だけに出した被害が大きすぎた。その力が、もし自分に振るわれたら?

ようやくだ、ようやく俺の脅威について、完全に理解させることが出来たのだ。

それがあるからこそ、俺は罪に問われない。


もちろん表に出ると都合の悪い事になるってのもあるが、それでも一切のお咎め無しってのは普通はないだろう。

親父達など知っている身近の事情と知っている人間がいくら黙っていても、俺が関わっているなんて少し考えればわかる。

そもそもだ、俺が潰した研究所は国の事業に関われなかった企業が金を出して活動していた研究所だ。

国が黙認していたからこそ、ほぼ私有していたダンジョンにも入れたし、研究も出来た。

だから、国のお偉い人もそこでどんな研究がされていたか、知っていたはずだ。

それが、俺がキレる内容であるということは・・・どうだろうな、その認識もなかったかな?


まぁともかく、内容を把握していたのが大事なのだ。

知っていたなら、それを妨害しそうな人間で、研究所を一瞬で潰せる存在・・・

それは俺しかいない。

明らかに狙ったかのように研究所のみに出た被害。

ハクコちゃんに関わっていた人間のみが死んだ。


そして、新たに俺の管理下に入った白い虎・・・どう考えても役満だ。

バレない方がおかしい。

これに関しては気がついたの最近なんだがな。

そして、考えた。ばれているのに何で何もないのかと。

んで、考えた結果。それを思いついた。察しているであろう親父達があんまりにも変わらないから、そこにたどり着くまでに時間がかかったけどな。


「そう考えると親父達も大概だな・・・」

『何か言ったか?』

「ナンデモアリマセーン。ご飯タイム入りまーす」

『おう、そのまま帰ってもいいからな』

「うぇいうぇい」

「ぴぴ!」

「うん?かつ丼?好きだねぇ。バトちゃんとふーちゃんは?」

「き!」

「クゥ!」

「スゴイ解釈一致な希望をありがとう」
















「ユニちゃんユニちゃん」

「??」

「実は角ってもっと長いの出来たりは・・・まぁ無理だよね」

「??」(ギュン

「ほあ!?」


ワンチャンユニちゃんの角で剣とか出来ないからなぁとか思い、聞いてみたら伸びた。

めっちゃ伸びた。俺の身長くらいに伸びた。


「・・・え、なにこれ」

「!!!」(フンス ポロ

「ああとれた・・・」


え、その角伸縮自在・・・?え、ええ?

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