38話
二日続いてますが予約投稿であらかじめやっておいただけっていう。
五人分の魔法がワイバーンに殺到する。
一撃一撃は狂化オーガやトロールを軽く屠れる威力を持っている。
しかし。
「やっぱ避けるか!」
「「「「ちゅちゅちゅ!!!!」」」」
「ガァァァ!」
「「「「ちゅちゅぅぅぅl」」」」
飛んで回避したところにねっさんの分身による突撃が行われる。
しかし、飛んだ時の風圧で吹き飛ばされて終わってしまう。
この高度だとコロちゃんでも届かない。
飛行速度を考えても俺の『飛行』やニホリ達でも追いつかないだろう。
「だったら迎え撃つしかないか」
「クゥ!」
ふーちゃんの幻術で俺たちの数が増えたように見える。
全部で三組の幻影が少し離れた場所に出現した。ねっさんの分身たちもそれぞれの幻術の近くに潜んでいる。
待ちの体制だ。これなら本物の俺たちのところに来なくても足止めできる。その瞬間があればコロちゃんなり、俺なりの攻撃が届く。
「・・・降りてこないな」
「うー」
空に飛んだまま、降りてこないのだ。もちろん火のブレスをはいて攻撃はしてくるのだが、俺の壁か、みんなの魔法で撃ち落とせちゃうので脅威には今のところなっていない。
事態が膠着してしまったのだ。
「どうするよ」
「うー!」
「そうだな。降りてきてほしいな」
「る?」
「ピッちゃんでも追いつかないでしょ。あれ、車より早そうだけど」
俺の飛行もせいぜい自転車くらいの速度しか出ないし。ニホリ達もそれくらいが限界だ。
コロちゃんが陸上なら追いつける速度だな。
「狙ってみるか?」
「クゥ」
「まぁ早いけど。何もしないわけには・・・」
「ぴ!」
「任せて?」
すらっぴが俺たちから離れて前に出る。何をする気だ?。
このままだと、一人のところを狙われるだけだ。
「ぴー!」
「撃ち落とすのはこっちで?ふーちゃん頼めるか?」
「クゥ!」
「俺はいざって時の防御壁の準備だけしとく」
「ワン」
「そうだな。最悪コロちゃんに回収してもらうから」
こちらの準備は整ったかどうかの時に。ワイバーンが動きを見せた。
すらっぴに向けて高度を下げてきたのだ。ブレスの来る前動作だ。
「・・・今!」
「クゥォ!」
ワイバーンの放つ火球をふーちゃんが相殺する。
その瞬間に
「■■■■■■■■!!??」
「何が起きた!?」
「ぴっぴっぴ!」
自慢げなすらっぴがこちらに戻ってくる。
急にワイバーンが落ちてきたのだ。それも、何か悲鳴のようなものを上げながら。
その巨体が地面に落ちる。受け身もとれず、大きなダメージを負ったようだ。
よく見ると、羽にいくつか穴が開いている。
「もしかして、本当に狙った?」
「ぴ!」
「ハハハ。マジかよ・・・」
すらっぴは急降下してくるワイバーンの羽の膜を狙って打ち抜いたのだ。すらっぴの魔法の一つに水鉄砲の要領で使ってる魔法があるのは知ってるけど、それか?
「ぴーぴ!」
「テレビでやってたのを見て覚えたぁ?」
「ぴ!」
「水圧を高めて貫通力と飛距離と速度アップ・・・」
知らん間にパワーアップしてる。変に凶悪化してる・・・。『溶解液』の影響もあるのだろう。そうじゃなきゃ翼膜とはいえ、貫通は出来なかっただろう。
「グルルルルル」
「ムっちゃにらんで来とる」
「ぴーぴー」(ピョンピョン
「煽るな煽るな」
「ワン」
すらっぴは完全に調子に乗っているようだ。まぁ手も足も出ずに飛ばれるままだった敵を地面にたたき落したのだから乗りそうなものだが。
そこを俺が抑えてたら、コロちゃんが前に出てきた。
「お前も何かある感じ?」
「ワフ」
「・・・お任せしまーす」
コロちゃんも切り札があるようだ。一体何を・・・。
コロちゃんのスキル構成的に、工夫で威力が上がるとかはないと思うんだが。
「ワン!」
「うお!速い!」
「うー!」
ここ最近では間違いなく一番速いスピードを出している。ワイバーンも目で追えていない。
ただ動きが妙だ。いつもより敵から距離を取りながら動き回っているように見える。
敵を警戒してるというよりは、助走の距離を残している感じか?。
「ワォンワォンワォン!!」(ブンブンブン
「回った!?」
「う!?」
完全に相手の視界から外れたその時に、高く速度そのままに相手に向かって大ジャンプ。その後、空中で回り始めた。
「え!?何が起きてるの!?」
「う!?うっう!?」
「ぴ~」
「きき~」
「なんでそんなに余裕なの!?」
ワイバーンに向かって高速で回転しながら高速で向かっていくコロちゃん。
『魔刃』も発動しているようで、魔力の刃をいくつか纏いながらの突撃だ。
・・・もしかしてこれ、このまま切る的な?。
「■■■■■■■■」
「羽ごと逝ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うぅぅぅぅ!?」
コロちゃんが全身魔刃状態で突っ込む。そこに回転の速度と元々の速度をプラスしている。
勢いが増した刃がワイバーンの翼の片方を切り落とした。
「え、待ってバトちゃんも何回ってんの?」
「ききききききききき」(グルグルグルグル
「うー」
バトちゃんも回転攻撃ですか。
バトちゃんは『風魔法』を纏いながら回転している。流行ってんのか。
回転のまま、勢いをつけて風の刃を高速射出。残ったワイバーンの羽に当たり、何の抵抗もなく羽は落ちた。
「・・・最初の苦戦と緊張は何だったのか」
「・・・うー」
「クゥ?」
「・・・そうね」
ま、まぁ。楽な分にはいいか・・・。
でもなんかこう。いろいろ覚悟してきてた分がっかり感というか、力抜ける感じがすごくて・・・
「え、あととどめだけ?」
「ぴ!」
「ワン!」
「き!」
「ガァ・・・」
「可哀そうになってきた」
ここまで強くなってたのねみんな。てか三匹?。
「・・・とどめ刺すか。一斉に攻撃で」
「ぴー!」「ききー!」「ワン!」「クゥ」「ちゅー」「るー」
「・・・う」
なんか活躍した子以外のメンバーが力抜けてるんだけど。
「恭輔!大丈夫だったか!?」
「・・・ダイジョウブデシタ」
「怪我は・・・ないようだな」
「よかったぁ。みんな無事なのね!」
「ソウデスネ」
「・・・恭輔どうした?」
「・・・覚悟って無駄なんだな親父」
「ワフ!」
「あらコロちゃん。今日は頑張ったの?ならご馳走ねー」
「・・・るー」
「なんか・・・一部疲れ切っているような」
「寝るわ」「ちゅー」「クゥ」「るー」「うー」
「本当にどうした!?」




