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405話

察してください

きっかけは、俺が改めて姉ちゃんのチームメンバーと会った時まで遡る。


本来の予定では、姉ちゃんたちは今日は休日。

つまり、訓練も無しでとりあえずここの施設を楽しむ・・・はずだったらしい。


ただ、全員やる気満々・・・まぁそういう人を冒険者を採用したから当たり前なんだけどさ。

だから全員で運動することになったらしい。

とは言っても、軽いものだ。流石にいきなり普段通りのはしないとのこと。


そして姉ちゃんをチームメンバーである佐々木さんが見つけて、俺もフミを頭に乗せて運動場についていくことに。

外にある運動場では、佐々木さんと姉ちゃん以外の2人が待っていた。

女性2人だ。佐々木さん、この中だと黒一点なのか。


確か採用の男女割合は半々だ。

丸山さんのところは男性オンリー。姉ちゃん所1人。藤岡さん三崎さんのところも1人ずつ。

特に深い理由はないらしく、くじ引きでそうなったそうだ。

すごい確率だなそれ。


ここからがおかしいのだ。

話の流れで、俺も軽く運動するってことになったのはまだいい。

そこからなぜか、姉ちゃんが俺に勝負を挑んで来た。

・・・???


「いや本当になんで」

「だってあんたとは戦ったことないじゃない」

「ないけどさ・・・」

「嫌がる理由がないならいいじゃない。ほら、構えて構えて」

「ハァ・・・」


こうなったらこちらの話は聞かないな。

俺が今まで姉ちゃんたちと戦わなかった理由は、実力差があったから。

今でもあるんだが、今はまだ俺が手加減できるくらいになったら。今はいいのだ。


まぁ面倒なことは面倒なのだが・・・


仕方なく構える。

とは言っても、俺から仕掛けることはないから、軽く魔力の動きを確認するくらいでいい。


「あ、本気で来ていいから。壊れても地面なら直せるし」

「クゥー舐められてるわね」

「そらそうよ」


『真化』も発動しなくていいだろ。

発動するとやりすぎちゃいそうだ。ただでさえこの間の一件でレベルが急上昇してるのだから。

・・・暴走の一件から、考えて戦うのはこれが初めてか。


「行くわよ!」

「かもーんッ!?」


姉ちゃんの脚に不思議な魔力の貯まり方を察知。

直観に身を任せて上体を逸らす。

マズイ、止まると当たる。


次々に何かが飛んでくる。

バク転をその場で行う。すると着地の瞬間を狙われるから、地面から棒を生やして支えにして回転する。

すると棒をへし折られたから、体を捻って飛んできた攻撃を全て回避する。


「うそぉ!?」

「・・・あっぶね。『衝撃波』か」

「なんで避けられるのよ今の」

「発射タイミングは魔力の貯まり方で、実際に躱すのは空間がゆがむからそれを見てるんだよ」

「不意を打たれても出来るのそれ」

「出来なきゃ当たってるっての」


やばいやばい。

無色透明の攻撃はやはり危ない。


姉ちゃんがしたことは単純だ。

開始と共に、俺に向かってスキル『衝撃波』を撃ちだしてきたのだ。

衝撃波として魔力を撃ちだす攻撃。これは何かしら自分が動かないと出来ないようだな。

だが、それを見てから動くと遅いだろう。嫌な予感がしたので、速めに動いたが正解だったな。


最初に顔に1発。回避されたから腹に2発。

その後数発連射で、棒を破壊。

最後に乱射とも言うべき攻撃があった。


食らっても大したことはないのだろうが、間違いなく俺を吹き飛ばすくらいの勢いはあったな。


「決まれば一方的に終わるのになぁ」

「ああ、まっすぐしか飛ばないんだ。走ってれば当たらんな」

「そもそも初手で全部見切られたの初めてなんだけど」

「鍛錬たりないんじゃなーい」

「ムキ~!!」

「ほれほれ、次々」

「上等よ!一発は当ててやるわ!!」














衝撃波は、要するに物凄い速さで弾が飛んでくるのと同じだ。

だから、撃ち落とせる。

俺は腕から蔓を生み出し、鞭のように振り回して衝撃波を撃ち落とす。

『硬質化』込みなら、威力的にも負けない。

俺の硬質化は、硬度は上がるがその柔軟性は失われない。

てか、それがなくなると俺自身が動けなくなっちゃうしな。


姉ちゃんの『衝撃波』

思ってはいたがかなり使い勝手がいいみたいだな。

魔力の消費量の割りに威力は高い。それに連射性能もいいと来た。

連射するのにタイムラグもほとんどない。

これは姉ちゃんの工夫なのだろうが、頑張ればここまでになるってことか。


だが、かれこれ30秒もこのままだ。いい加減終わらすか。

足を地面に叩きつける。


「ほれ!」

「なぁ!?」


姉ちゃんの足元に木を生やす。

突然生えてきた木に、姉ちゃんは思わず後ろに飛びのく。

つまり、衝撃波の連射が止まる。

その隙に、さらに地面から蔓を伸ばして姉ちゃんを拘束する。

どうも腕や足以外からも衝撃波は撃ちだせるみたいだ。蔓をどうにかしようと体中から衝撃波が飛んでいる。


だがどうにもならない。

確かに蔓に当たれば少しは緩まるが、他の部位が完全に極まっているから、抜け出せるわけない。


「はい俺の勝ちー」

「ああー!手も足も出てない!!」

「てか出されても困るんだけど」


何レベ差があると思っとるんだか。


「でもまぁ、いい線行ってたんじゃない?スキルも使い方上手かったし」

「一発もかすりもしないのに言われてもね」

「そらあれよりひどい弾幕を見たことあるしな」

「くぅ~・・・遠いわね」

「精進あるのみ~・・・てか、俺に一矢報いたいなら相馬さんに武術習った方が速いんじゃね?」

「あー、あんたまだ近接戦苦手なの?」

「苦手って言うか、どうにも技に対応出来る気がしないんだよ」


自衛隊の格闘技術とか、かなり優れていると思うし。

俺は身体能力で無理やり押し切れるし、『真化』で学習能力自体も高いんだけど、既に俺より優れた技術を持つ人と組手すると負ける。

実際、俺の動きに制限を掛けた状態で戦った時には相馬さんに負けている。


ていうか、いい加減姉ちゃん下すか。

するすると蔓が地面の中に戻っていく。

地面から生やした蔓は、初めからそういう風に作れば時間で消えていく。

庭に植わっている木なんかは俺が特に考えずに生やしたから消えないが、ちゃんと考える・・・具体的には、蔓に込めた魔力がなくなると消滅すると言った感じに魔法を使えば消えていくのだ。


「便利ねその魔法。うちの庭とか手入れしてんの?」

「してるしてる。最近の俺の仕事だし」

「へぇー成長促進とか?」

「それもあるな」。ある程度実績が出来たら、これだけで食っていけそう」


季節関係なしになんでも生やせるからな。

植物園とか俺一人で出来るし。

いや、コロちゃん達いるから動物園・・・?


姉ちゃんは蔓から解放されると、少し俺と話したのちに見学していたチームメンバーの元に。

・・・メンバーってか、部下になるのか。

彼らは俺たちの戦いを見てどう思ったか、多分それに関する感想を聞いているのだろうな。

そして自分でも活かせそうな物は活かせと。


・・・いや、スキルの応酬だったから特に活かせそうにないんじゃね?


「恭輔の動きはお手本にできるやろ」

「お、フミ」

「お疲れさん恭輔」

「そんなお手本に出来るか?」

「攻撃をかわす時の隙の少なさは見事やったで」

「ほうほう・・・まぁお手本になれたならいいか」


フミが頭まで登って来た。

一応フミを知らない人たちがいるから、喋らないようにしていたらしい。

俺の耳元まで来て、こそこそ喋っている。

それに合わせて、俺も小さな声で喋ってるけど。

傍から見たら、俺は飼っているペットと戯れているってだけしか見えないだろう。


ぶっちゃけみーちゃんとかバン君には会ってるみたいだから、フミも大丈夫な気がするけどな。

ふーちゃんとかは・・・ああ、あの子あの時普通の状態だったか。尻尾増やしたりはしてないな。

いつかはうちの子達もお披露目・・・はしなくてもいいかな。

会う機会があればでいいでしょ。













その後、俺達は施設から家に帰って来た。

予定通りそこに泊る予定の姉ちゃんたちはあのままあそこで訓練をするらしい。


「いやぁ、なかなかええ場所やったな」

「また旅行でも行くか?」

「ん~・・・どうせならみんなで行きたいなぁ」

「おー・・・まぁがんばるわ」


ユニちゃんしーちゃんたちとなると・・・あれかな、雪ちゃんに聞かなきゃ無理かな・・・

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