402話
少しだけ短い
「魔力吸収とレベルアップ以外で強くなる方法なんて知らねぇ・・・」
「うー」(グッタリ
「お手上げや~」
「何も浮かばないです・・・」
「・・・家に帰ってきたら全員倒れてる件について」
「ただいまー」
「おかえり」
「う!」
リビングでフィニちゃん強化育成計画を考えていたが、まるで何も浮かばず。
元々レベル上げ以外で強くなる方法として知っているのが魔石の魔力吸収しか知らないからな。
それ以外で工夫出来ないかと思ったが、どうしても浮かばないんだよなぁ・・・
それでも何とか一つ絞り出したが、それは今やってることの延長戦上の話だ。
ふーちゃんに炎の扱い方を習っているように、ハクコちゃんに『神威』と『天啓』の使い方を習うのだ。
あの煙の鎧が『神威』によるものか、そうでないのかはよくわかっていないがな。
ハクコちゃん自身も、何を使ってああなったかわからないらしい。本能的に使えるから使ったらしい。
だが、それを踏まえても『神威』か『天啓』を使えるようになることは重要だ。
未来から来たあの子達の事もあるしな。強くなったらラッキーくらいに考えている。
まぁそんなんだから、別のもっとちゃんと強くなれそうなものを考えなきゃなって話でな。
「そんなわけで何も浮かびませんでした」
「あらあら~」
「うーん。魔力を食べる性質がそんなところに影響するとはな」
「ユニちゃんとハクコちゃんがそんなことないから、逆にもうわかんねぇ」
ユニちゃんハクコちゃんフィニちゃん。
この3匹は全員が寄生型精霊の影響で生まれた子達。
にも関わらずだ、ほとんど共通点がない。
成長が速いとかとういうのは基本的に共通しているのだがな・・・
魔力を食べるってことを、フィニちゃん以外しないのだ。
俺の推測では、生まれるまでに魔力を吸収していたかどうかで分かれていると思っている。
フィニちゃんは卵の時に俺たちの空気中に出た魔力を吸収していた。
だがユニちゃんは恐らくそれをほとんどしていない。ハクコちゃんも同様だろう。
だが、もしかしたら卵生の動物は魔力を吸収するようになるとかそんなことの可能性もある。
ともかく、フィニちゃんが特別な性質を持っているのか、それとも同じ条件の子なら同じようになるのか。
これがわからない。わからないからこそ、手の打ちようがない。
現時点で、魔力を吸収する方法は使えなく、この先も使えないであろうという。
そうなると、結局はレベル上げになってしまうのだが・・・
「フィニちゃんちっさいからなぁ」
「まだ赤ちゃんですものねぇ」
「おかしいんだけどな」
生まれて一月・・・くらいになるのかもう。
成長が速いってのもあるが、未だ掌サイズ。インコの子供くらいの大きさしかない。
炎美鳥は、全長で軽く2メートルを超えてくるそうなので、ペース的には遅い。
ユニちゃんが生後2、3か月で今のサイズに・・・大人サイズになったから、それを考えると遅いってことだ。
大体あと1、2か月で2メートルを越えるってことになる。
流石にそれはなぁ・・・
「てか2メートルになったらどこで寝るのお前」
「チュン」
「シュルちゃんと一緒?・・・オミちゃん泣くな」
「チュン?」
「あの子割と親バカやからなぁ・・・」
基本自分が狩りとかで外に出てない時はずっとフィニちゃんの事可愛がってるしな。
俺とか触ろうとしても羽根で隠されるし。
さっきまで遊んでたでしょ!といった感じで。
いやまぁ・・・愛されてるのはいいことなんですけど。
「はぁ・・・まぁいいか。最近なんかあった?」
「急な話題変更だなおい」
「うー!」
「私も~!」
「じゃあうちはルミネ達見てこよかな」
「あ、私も行きます!」
「お前はどうする?」
「・・・チュン!」
「ういうい。多分庭だぞ」
「チュン!」
フィニちゃんの話は、一端やめ。これ以上進展なさそうだし。
俺は親父に近況を聞く。
ニホリと母さんは台所へ。フミとポヨネはルミネ達を見てくるらしい。
フィニちゃんはふーちゃんの所に行って特訓する!と言って飛んでいった。
むー・・・あんだけやる気あるんだから、何とかしてやりたいな。
まぁ一旦は話題を切り替えることも大事だろう。
「何が聞きたいんだ?」
「そうだな・・・新しい方のダンジョンってどうなってる?」
「新しい・・・もう2か月くらい経つんだがな」
「まだ2か月っしょ」
「ダンジョンの歴史から見たら十分だろう」
そうともいうな。
新しいダンジョン・・・俺が知っているのは、藤岡さんが率いているチームが10層を越えたことは知っている。
「ん、そのあたりか。まぁあんまりだぞ」
「あら。他の所は越えてないの」
「丸山さんのチームが越えたな。残りの2チームは、素材回収をメインに周っているみたいだからな」
「ああ、そういう違いはあるんだ・・・姉ちゃんが素材回収?」
「そうだな。あれでいて、結構目利きは出来るんだぞ?」
「何を見るのさ」
「お前はポヨネがいるから気にしないだろうが、ダンジョン内で採れる物にだって質の良し悪しはあるからな」
「上手く採れるかとかもある感じ?」
「当然だろう。その点において、あいつはかなりうまいぞ」
「へぇ~」
そこは大門ぱうわーな気がするが、ちょっと意外だったな。
姉ちゃんそういう細かい事苦手なイメージあったけど。
三崎さんは、テイムしている子達を率いてダンジョン中を隅々まで探す方がメインになっているらしい。
人間の感覚ではわからなくても、動物やモンスターなら発見できるものもあるだろうと。
チーム全体としても、その方針を守りつつ戦うから、戦闘力自体は結構高めになっているらしい。
「そういえば、普通の階層での宝箱も結構出てきているんだよな」
「やっぱりあったか」
ちなみにだが、藤岡さん達はボスを倒してスキルスクロールを手に入れたタイプだ。
俺からしたら、そっちの方が常道なんだがな。
宝箱の発見は、今の時点で三崎さん達のチームがトップらしい。
これは人間より高い探索能力を持つ動物たちの影響が大きいらしい。
「木の中に埋まってたり、明らかに地面が盛り上がってたり。色々あるみたいでな」
「洞窟型だったら、行き止まりにあったりしてな」
「ありそうだなそれ・・・今見つけてるのは草原型と森林型の階層だな」
「あれ、山とか砂漠とかは」
「まだ長いこと活動できるような装備を持たせてないからな。てか、砂漠型は10以降だぞ」
「・・・やべぇな。覚えてないんですけど」
「まぁお前は基本的に前の方にしか今は行かないからな」
「魔石の効率考えたら、明らかにこっちの方がいいしな」
「それに関しては大変うちは助かっているんだが」
それでも魔石以外って意味なら、明らかに新しい方が実りがいいからなぁ
まぁ良い所はあるわけだし。使い分けだろ。
その後も話を聞くと、どうやら新しいダンジョンに出てくるオークや一部のモンスターから手に入る肉は検査が終わって食べられるようになったらしい。
それも、ちゃんと美味しいんだとか。
なんか、こういう話を聞くとあれだな。去年の8月を思い出す。
まだダンジョンが出てきて間もないころの、発見が次々に出てくるこの感じ。
階層も先に進めば進み程、変わった物が見つかったり・・・
今の俺だと、流石に毎回毎回それは厳しいからな。
環境も厳しくなってきている。モンスターの強さ自体は問題ない・・・とは言い切れないが、それでもまだ対応できている。
だが、80層を経験した身からすると、全く足りていないのが現状だ。
俺のレベル・・・急速に上昇した結果、今Lv236までになっている。
これで足りてないのだがら、驚きを通り越して何も思わないわ。『真化』込みなんだがなぁ・・・
なんというか、気が遠くなる話だ。
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