表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
419/567

395話

急展開

あの後もう何回か同じ魔法を使って貰い、感覚を掴んでもらった。

おかげで最初よりはかなりマシになっただろう。スライムとか、コウモリくらいなら倒せるんじゃないだろうか。

ただ当てればの話だ。命中率はマジで想像力・・・まっすぐ飛ぶとか、誘導されるとかはもっときちんとイメージしないと見当違いな方に飛ぶ。

こればっかりは練習だ。


俺は俺で、自分のレベルが足りてない事。

正確には、ハクコちゃんやフィニちゃん。そしてもう何匹か同じような子がいるのに備えるため。

その為にレベル上げを行うことにした。

今までもしてなかったわけではないが、正直『真化』込みで考えると、今の階層は効率が良くない。

悪くもないが、正直微妙だ。

感覚的にはこのままだと微妙に間に合わないというか。今日明日の話ではないんだけどさ。


だから、ちょっとズルをする。

本当はちゃんと探索して、一から発見するってのが俺の好み・・・楽しみでもある。

だけど、そういうこと言ってられない事情。うちの子達に関わるのだ。

ならば、その程度のこだわりは捨てて見せよう。


何をするか。

とっても簡単だ。


フミに、下の階層まで連れてってもらうのだ。















「着いたで!」

「相変わらずひどい環境ですね~」

「そらうちだってこんなとこぉ来たないわってレベルやし、恭輔大丈夫?」

「ああ、まだ問題ない」


俺達が探索で回ったのは60台の階層。

そして、フミに連れてきてもらったここは80層。

フミの生まれた階層を超えて、さらに下に。フミの知る中で、戦う上で最も苦戦し、強くなれる階層だ。


「正直、お勧めはせんよ?」

「ここ本当に無限沸きですからねぇ」

「それに厄介やし・・・ほんまにやるん?」

「やるよ」

「ああ、ダメや目がマジや」

「こうなると止まりませんね・・・結界だけしっかり張っときます」

「頼むわ。うちも手ぬけんなぁ」


連れてきたのはフミとポヨネだけだ。他の子達は無理だと判断した。

コロちゃんでも、ここは無理・・・てか、普通に危ないし、やらなくていい事だしな。

これをやるのは俺だけでいい。


フミは自分の生まれてた階層から下に向かった経験がある。

100層までは向かってないが、自分が苦戦しない範囲では下に向かっているのだ。

そのフミが、他の階層を差し置いてここが一番と言ったのには訳がある。


「お、もう来よったわ」

「うわぁ・・・多い・・・」

「やってくるわ」

「気を付けてな!」

「わかってるよ」


単純な数、そして質。

その2つが綺麗にバランスがいい場所がここなのだ。


階層の環境は、アリの巣穴の様に入り組んでいる。

そして、奥から来るのは黒い体色の人型。

ポヨネ曰く、エンドデーモン。そしてデスストーカーと呼ばれる死神のようなモンスターの2種類が存在する。


ガタイの良い、まさに悪魔と言わんばかりの見た目のエンドデーモン。

複数種類の魔法を使いこなし、さらには近接戦もこなす。

何より数が多い。気を抜くと囲まれるのは間違いない。


デスストーカーはさらに質が悪い。

なにせ普段は姿が見えず、攻撃の瞬間のみ姿を現す。

しかもこちらの背後に出てくる。その時まで気配も感じれないから、感知は不可能。

倒すにはサイズの一撃を食らう寸前でのカウンターのみ。


そして大前提として、こいつらは単体でもティラノくらいなら軽く狩れるということ。

普通なら、こんなところは来ないな。てか来たくないな。

ただ、それだけで辞める理由はない。


エンドデーモンの群れに向かって鉄の槍を放つ。

いくらかは迎撃されるが、それでも数本は頭を貫通することに成功する。


するとエンドデーモンから魔法が放たれる。

いくつもの属性の魔法が飛んでくる。道が一瞬で光で塞がれた。

それを、壁を張る・・・ことは出来ないので狙って撃ち落とす。壁を張ると、完全に視界がふさがれてしまうので出来ないのだ。

自分に当たる軌道の物を狙って槍を当てる。自分の手にも剣を生み出して、躱しながら切る。

その途中で剣が壊れるが、壊れた傍から生み出して強引に隙間を作る。


魔法の弾幕を抜けたら、次は拳が迫ってくる。

籠手を作り、拳をいなす。

エンドデーモンが姿勢を崩した、いなすのと同時に、足元を凹ませたのだ。

その瞬間を逃さずにパイルバンカーで頭を打ち抜く。

それと同時に、背後からの気配に備えて体を硬質化させる。


「クッ!?」


デスストーカーだ。

パイルバンカーは威力の分反動も大きい。隙が出来るのを、こいつは待ってたんだ。

ダメだな、これは使えない。


俺を切りつけてきたデスストーカーは、俺の体を両断する気で振ったのだろうが、結果はジャケットを切り裂いただけに終わった。

体には傷一つついていないが、それでも衝撃が強い。


背後を確認しないで、背中から蔓を生み出してデスストーカーを拘束。

離脱される前に絞め殺す。感覚での判断だが、蔓に付いている棘が深く突き刺さりねじ切ることに成功。

再び、前方にエンドデーモン。魔法の弾幕が放たれる。

















「・・・今の恭輔じゃ、どうやっても5分もたんはずなんやけど」

「かれこれ15分戦ってますね。しかも、動きが鋭くなってますし」

「戦いの中で強くなるー!・・・をホンマにやっとるんやな」


最初の動きやと、無駄が多い。

止め刺すんに、バンカーみたいな火力は要らん。

いるんは確実に弱点を・・・頭を打ち抜けるだけの火力や。正直槍撃ちだすだけでもええ。


一回その隙で切られとるわけやし・・・めっちゃひやひやするわ。

『硬質化』なしやととっくに切られとる。


回避の方法はまだいい。全部を迎撃していたら間に合わん。

魔法の後に襲ってくるエンドデーモン自体をどうにかせないかんから、無理やり弾幕に穴開けないかん。

それを武器を振り回すことで成し遂げるんわ才能やな。あれは勘が鋭いとか、運がええとかで出来ることやない。


「早なっとるんよなんぁ」

「それに、魔力の上がり方おかしくありませんか?」

「レベルの急上昇・・・だけやないかな。多分『真化』が悪さしとるわ」

「悪さ?」

「勝手に体を最適化しとるんやろ。尽きることのないモンスターを、一切休まずに倒し続けるために」

「・・・それはある意味で恭輔さんの狙い通りですね」

「だから嫌なんよ・・・下手せんでも人間離れが進むだけやであれ」


人間には・・・いや、生物にには限界がある。

それはうちも変わらない。どこかしらに限界はある。

ポヨネも、コロちゃんんも、強くなるのには限界がある。


だけど、恭輔はそれがない。それを無くせる。

『真化』はその大幅な能力の上昇に目を奪われがちやけど、あれの本質はスキル保持者を変えることにある。

感情のままに強くなり、思う通りに越えてくる。

それは、もはや生物の範疇を超えている。

あってはならない。無限に進化する存在は。


今、また一段階壁を越えた。恭輔から感じる魔力の質が変わった。


「『土魔法』と『植物魔法』が変わったんやな」

「え?・・・本当だ。また上の魔法に」

「魔法てか、あれはそれそのものなんやろうけど」

「はい?」


魔法の枠を超えるんわ元からやったけど、統合までされるんか。


「・・・なんですかこれ。見えないんですけど」

「うん?・・・多分『鑑定』の限界を超えたんやな。そらそうなるわ」

「掠れてて・・・うん?『深・・・こ・・・』?」

「読まない方がええで。多分やけど」


あかんな。恭輔はレベルが足りてへん言うとったけど、急に上げるのもアカンのやないんか?これ。

明らかに様子がおかしい。恭輔の気配がだんだん薄くなっとる。

なのに感じる魔力や威圧感だけ膨れ上がっとる。

それに、使っとる魔法がおかしいような・・・?何か、熱くなっとる?

次の瞬間。恭輔の腕から火が放たれた。


「はい!?」

「ちょ、流石におかしいやろ!?」


持ってない魔法を使うんは流石におかしい。

どんな理屈やそれ。強くなるってレベルやないやろ!

アカン止めなだめや!これ以上は戻ってこれなくなる・・・??


「今何思たん?うち・・・」

「お姉さま!そんなことより止めないと!」

「あ、ああ。せやな」


ポヨネが結界を恭輔の前に張り、うちがその前に飛び出して一気にエンドデーモンの群れを一気に爆発させる。

その隙を狙って、後ろにストーカーが来るが、それを裏拳で消滅させる。

そして有無を言わさず恭輔とポヨネを担いで一気に80層を離脱する。


「恭輔さん!恭輔さん!!」

「・・・おあ?」


集中しすぎと使いすぎ、そして近づきすぎや。

そのせいで視点が戻っとらん。

ああもうまたや!これが恭輔の言っとったやつか!?こら厄介やわ。


よろしければ評価などお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ