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394話

「はいはい。じゃあ次は魔法の応用編に入りますー」

「はーい」

「もうなんですか?」

「ぶっちゃけ、基本的な魔法の使いかた以外は全部応用と言えるので」

「クゥ!」

「ふーちゃんもこう言ってます」

「いやわからないですから」

「クゥ~・・・」

「落ち込んだじゃないですか」

「私のせいですか!?」


2割くらいは藤岡さんのせいです。


俺の事情はともかく、頼まれたことはやらないといけない。

というか、むしろ今はこういうことしてる方が気分が変えられるからいい。


そんなわけで、魔法講座2回目。

前回は本当に基礎的な部分の練習方法を伝えて終了していた。

今回は、そこから実用的な魔法を使うための授業。

主にどういった魔法がいいか。どのようにしてそれを形にするかだ。


「まず前提として、魔法の使い方は人それぞれです」

「はい」

「ふーちゃんさんも全然違うんですよね?」

「全く違います。例えば、同じ火の魔法を持ってる藤岡さんとふーちゃんだと全然違います」


まず思い浮かべるイメージが違うだろう。


「藤岡さんはどんなイメージで魔法を使ってます?」

「・・・そうですね。火力を上げるならコンロのイメージですかね」

「火が青くなると火力アップみたいなことですね?」

「はい。そうですね」

「じゃあ誘導する魔法を作りたいときは?」

「ミサイルのイメージです」


これは自衛隊にいた藤岡さん特有のイメージかな。


俺が敵に向かって誘導される魔法を使う時は、動物のイメージになる。

無機質に動くのではなく、鷹や鷲のような鳥型にして。それが敵を追いかけるイメージだ。

ふーちゃんのイメージはすごい。なにせ炎がそのまま空中を飛んで良くとかいうわけのわからないイメージを持っている。

これはある意味で、物理法則を知らないふーちゃんだからこそのイメージだ。


「そんなわけで、先ずはどんな魔法を使いたいかを決めましょう」

「・・・どんな魔法がいいんでしょうか?」

「数に限りなんてないんで何でもいいですよ」

「えぇ・・・」


朝木さんが微妙な顔してるけど、ぶっちゃけそんな物だろう。

ゲームとか見たいに、特定の決まった魔法しか使えないとかそう言うことは一切ない。

確かに数が多くなればその分その魔法に慣れるのは遅くなるし、そうなるとクオリティは下がってしまう。


逆に言うと、それがどうにか出来れば何百と魔法を作ってもいいのだ。

まぁ想像力の問題でそんなポンポン魔法は浮かばないってのはあるが。


「でもまぁ確かにいきなり作れって言われても難しいですよね」

「はいはい!!」

「はい今井さん」

「大門さんとふーちゃんはどんな魔法を始めに作ったんですか!」

「・・・槍作ってた気がします」

「クゥ!」

「火の玉浮かしてましたそうです」

「ちなみにそれはどれくらいで使えるように・・・?」

「割と一瞬で」

「クゥ」

「手に入れてすぐって言ってます」

「・・・あんまり難しく考えない方がいいんですかね」

「ああ、その通りだと思いますよ」


逆にこれはありえないだろうとか考えてると魔法は使いにくくなると思う。

自分のイメージがクオリティに直結するから、知識が邪魔になるってのは大いにあるだろう。

だが知識がないと、イメージをつかみづらいという問題もある。


「だから一番必要なのは柔軟性ですかね」

「柔軟性ですか?」

「魔法だからなんでもありだな!って思えれば一発で解決しますよ」

「なるほど!やってみます!」

「あ、ここでやると危ないんで考えるだけで」


流石に研究所の部屋でやるのは危ない・・・てか建物壊れちゃうからね。


まずは30分時間を与え、魔法の形を考えてもらう。

その間にもいくらか助言をして、大体形になったあたりで場所を移動。

普段俺が魔法だったり、能力の検査だったりを行う広い場所に。

ここは実験室の一室なので、勿論別室には研究員もいる。魔法をメインで解析しているメンバーだな。

後は、魔石のエネルギー・・・魔力を研究している所も来ている。


そのせいか、普段俺が使ってる時は2、3人しかいないのに今日は10人くらいいる。

なんだお前ら。


見学人の多さで、若干朝木さんと今井さんが緊張しているが、こういった状況でも使えないと意味ないのでこのままやる。


「大丈夫です。全員かぼちゃです」

「こういう絵ってアニメとかで見たことあるんですけど・・・」

「ああ、悪質な実験されてる感じですよね。わかります」

「恭輔君軽すぎません?」

「いや・・・なんというか慣れました?」

「ああー」


俺藤岡さん達がここ来る前から実験動物みたいなところあるし。てかここって本当に見られてるだけだからなぁ。

すぐになれますよ。実際藤岡さんも最初はあれでしたけど数回で慣れてましたし。


「まぁ私たちは色々ありますからね・・・」

「いずれにせよ、魔法を持った以上はここ何回も使うと思うんで」

「はい・・・」

「頑張ります!」


朝木さんの方が緊張するタイプだな。

逆に今井さんはすぐに何でも慣れるタイプか。

まぁ今回は初回だ。その辺は加味していこう。


「じゃあ・・・朝木さんから行きましょうか」

「はい!」

「どんな魔法です?」

「えっと、大門先生の魔法を聞いて、同じのにしました!」

「じゃあ槍ですか?」

「あ、いえ。剣です!」

「ほお。じゃあお願いします」


剣と来たか。

俺が魔法で作るものとして槍を一番最初に思い浮かべたのは単純に作りが簡単だから。

だから最初は槍ってか銛みたいだったし、先端だけ尖らせて終わりだ。

それでも強度さえあれば十分なんだが。


俺達は念のために朝木さんから離れる。

イメージが崩れて、変な風に影響来ても困るしな。


朝木さんは、どうやら撃ちだす魔法・・・遠距離ではなく、本当に剣を作るだけの魔法を考えているようだ。

剣道の様に正眼に構えて・・・いるかのような姿勢になっている。

徐々に氷で出来た柄が生れ、5秒ほどでシンプルな剣の形に出来上がった。


「おお!」

「クゥ~」

「初めにしては上出来なのでは?」

「やった!」


うん。綺麗に出来てる・・・と言いたいところだが、まだまだ荒いな。

確かに表面は綺麗だが、中身がない。

想定した密度が甘いのかな。中に空気が入っている。

恐らくは軽く力を超えたら折れるな。


「後これ、本当に形だけですね」

「え?・・・あれ?」

「本当だ、切れない」


刃の部分に触れても、全く切れない。

押しても引いても全く切れない。ただただ冷たいだけ。

それに、手に体温で溶けてきている。これ、想定した氷って冷蔵庫のやつだな。


「なんか・・・しょぼい?」

「いいや。形だけも出来るなら十分ですよ。私は最初炎を出すことすら苦戦しましたから」

「え。そうなんです?」

「恭輔君と一緒にしないでくださいよ」

「・・・もしかして先生って」

「戦闘中に新しい魔法を思いついてすぐ使えるくらいには才能ありです」

「「うわぁ・・・」」

「それは結構最近の話なんですけど!?」


確かに最初から普通に使えたたけど。

いきなり使っても十分貫通出来たし切れてたけど。


それを伝えると、余計2人に引かれた。解せぬ。


「ま、まぁ朝木さんの当面の課題は、これを実践で使えるようにすることですね」

「そうすればいいんでしょうか」

「んー。硬度を上げたいならアドバイスできますけど、多分氷ならそれは向いてないしな」

「脆いからですよね」

「そうです。俺は土なんで無理やりでも圧縮するなりなんなりで硬くできるんですけど」


氷だと、脆さをカバーするのは難しい。

大きな氷塊を作るのならいいのだが、それが出来るようになるのはもう少し後の話だろう。

今の時点で出来るのは、先ほどの剣のような比較的シンプルで小さい物。


「だったら、先ずは剣の切れ味上げるイメージで行きましょうか」

「・・・ど、どうすれば」

「そこは自分で・・・と言いたいですが、一つヒントを。薄くしてください:」

「薄くですか?」

「はい、耐久力を無視して、とにかく刃として成立する薄さの限界を」

「薄く・・・」

「ああ、料理する時に自分で作った剣でやるといいですよ」


所詮氷だから野菜とか切っても衛生的だと思う。

魔力で作った氷が綺麗かどうかとか知らないけど。

切りにくい食材とか切れるだけの物が出来ればまずは合格点だ。


「んじゃ、次は今井さん行きましょうか」

「はーい!」

「薄く・・・ガラス?」


朝木さんが何か掴みそうだが、ずっと朝木さんばかり見てるわけにはいかない。


次は今井さんの番だ。

使用する魔法は『風魔法』

バトちゃんと同じ分、言えることも多いだろう。


「どんな魔法ですか?」

「えっと、シンプルなやつが良いと思って。かまいたちみたいな魔法を考えました!」

「おお。それはそれは」

「え?な、何か・・・?」

「いや、俺のテイムしてるこの中に同じような魔法使うのがいるんで」


まさかエアカッター的なやつか。

まぁ風の魔法となるとその辺になるのかな?俺自身は考えたことないからわかんないけど。


再び魔法を使う人以外は離れる。


今井さんは、人差し指を立てながら腕を上げている。

ちょうど天井を指さすような感じだな。その指先に魔力が集中している。

徐々に風が集まってきて、溜まったところで。


「えい!!」


一気に手を振り下ろす。

振り下ろしたと同時に、圧縮された風が撃ちだされる。

だが、途中で失速。用意された的に当たる前に完全に消えてしまった。


「あれ?」

「イメージ不足ですかね」

「うーん・・・感覚的になんですけど、もっと派手な感じのイメージ持ってませんでした?」

「あ、はい。もっとこう、ブワーって!」

「だからですね。イメージとスキルの強さが見合わなくてダメだったパターンですね」

「そういうのもあるんですか?」

「一応ですけど、後考えられるのは今井さんの魔力不足ですね。こればっかりはレベル上げるしかないですけど」

「どうやったら効率良く魔力を上げられますか?」

「気合で魔法使いまくってください」

「まさかの力技!?」


だってそうするしかないからなぁ。

魔法に関しては、敵の強さもあるけど、それ以上に使用回数が影響していると思っている。

実際魔法を俺より頻繁に使うふーちゃんとかは俺より魔力高いし。


「後もうちょい具体的なイメージが出来るようになれば完璧ですかね」

「アニメでもいいですよね?」

「何でもいいですよ?イメージできるなら何でも」

「何でもいいんですか」

「本でも漫画でもゲームでも」

「・・・それは一般的には偏っているのでは?」

「それは言ったらおしまいなんです。後全然違いますので」

「・・・そうですか」


藤岡さんあんまりサブカル文化に関わってない人だもんな。

そういう人からしたら全部同じに見えるだろうが、実際は全く違うもん。


人によっては、漫画は読まないけどアニメは見るとか、逆も大いにある。

俺はゲームが多いかな。それでもイメージはだいぶ違うだろう。

MPのあるゲームの印象が強い人は魔力管理が上手い・・・とかあればいいな。


俺以外そういう人いないからなぁ。

丸山さんはオタクよりだけど、あの人魔法持ってないし。

今井さんに期待かな?
















「あ、暇な研究員捕まえてオタク談義していいですからね?」

「いいんですか!?」

「大体オタクしかいないんでここ」


分野はそれぞれだけどな。


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