385話
クラフトピアやってると時間がなくなる
「朝木千尋です。よろしくお願いします!」
「今井三奈です!サインください!」
「ないです」
「そんな!!」
さて、現状どうした物かといったところなんだが。
親父に言われた魔法講座。
あっと言う間に当日に。そもそも言われた日の3日後だったがな。
藤岡さんのチームの2人で、朝木さん男性今井さん女性。
2人とも感覚的には10層を超えられないくらいの実力と見える。あ、古いダンジョンの方ね。
だがスキルを手に入れたってことは、少なくとも新しい方のダンジョンの10層は越えられるくらいの実力はあるってことだろう。
そうじゃなきゃ連れてかないだろうし。
うん。まぁ教えるのはいいんだわ。そこが問題じゃなくてな。
「なんでいるんすか藤岡さん」
「いえ、ついでにいいかなぁと」
「えぇ・・・」
今更何を聞くことがあるのかって言う。
悪いことじゃないけど、これはこれで緊張するな・・・
朝木さんは緊張してるのか静かめ。
今井さんは何故かサインを強請られたが、なんでだろうな。俺の話を藤岡さんがしてたって言うのなら・・・嫌それでもわからんな。
「実際なんでなんです?」
「だってあの本を書いたのって大門さんなんですよね?」
「本・・・?」
「ダンジョンの攻略本ですよ」
「あー」
「世界で一番ダンジョンに詳しい人何ですよ!?サイン欲しいじゃないですか!!」
「わっかんねぇ・・・」
「慣れてください。私も言われました」
「えぇ・・・」
もはやサイン欲しいだけなのではという。
うん。もういいや。ツッコンでても終わらんだろうし。朝木さんに悪いし。
・・・それにしても緊張してるみたいだな。
「大丈夫ですか?」
「・・・だ、大丈夫です」
「ダメだ。行けふーちゃん!」
「クゥ!」
連れてきてよかったふーちゃん。
うちの魔法組の中で一番外に出しても問題ない子。ちょいとわんぱくだが。
普通の動物だしな。見た目は。そんなわけで連れてきた。
実際わかりやすいタイプでもあるっていうのが大きいのだが。
今朝木さんに嗾けた。結果はどうなるか。
「うわ!?」
「クゥ?」
「え?狐?・・・ええ?」
「あ、うちの子何で触って大丈夫ですよ」
「・・・可愛いですね?」
「まぁそいつでも見て落ち着いてくだせぇ」
朝木さんの緊張の理由は俺だろうからな。
前に一回だけ戦ってるところを見せたことがあるが、その時の影響だろう。
これに関してはすぐにはどうにもできないが、ふーちゃんという癒しがあれば慣れることは出来るだろう。
まぁ後数回これやるからその時でもいいんだけど。
「ちなみに魔法の先生でもあるんでよろしく」
「「え」」
「うん。そうなりますよね」
うんうんって藤岡さん頷いてるけど、魔法歴って意味ならほぼ同歴でしょう。
確か今は無き中級ダンジョンの初探索の時くらいに覚えたんじゃなかったっけ?
研究所の一室を借りておこなう魔法講座。
この様子も録画されており、内容次第では他の国に教材として貸し出されるのだとかなんとか。
よし、朝木さんもふーちゃんを見て少し落ち着いたようだ。
早速始めよう。
「まず、お二人って魔法自体は少しは使いました?」
「えっと、家で少しだけ」
「私もです!」
「じゃあ発動は出来たってことで?」
「大丈夫です」
「大丈夫です!あ、私もふーちゃん?触っていいですか?」
「良き」
「クゥ~」
「可愛い!!」
めっちゃ媚びうるじゃんこの子。
ちなみに朝木さんが『氷魔法』今井さんが『風魔法』だ。
汎用性の高い『風魔法』に関してはまぁいいとして、俺も初めて見る『氷魔法』はどうした物か。
「んじゃ、手に少しだけ魔法を出してくれますか?」
「「はい!!」」
「あ、ついでに藤岡さんもお願いします」
「わかりました」
そして俺も出すか。俺は・・・どっちだそうか。わかりやすいのはどちらも変わらんから、動かせて面白そうな植物でいいか。
俺の腕から蔓が伸びてくる。周りから見たら袖からにょきにょき蔓が生えてくるっていう不思議現象が目の前に。
「あ、出来ました?」
「はい。できましたってええ!?」
「すごい!!」
「今そんな風になってるんですね恭輔君・・・」
良い反応です朝木さん。
むしろ驚かなさすぎでしょ2人。腕から蔓生えてるんですよ?体から植物生やした人間が目の前にいてそれ?
・・・いや。今はいい。
朝木さんは製氷機で作る氷みたいな形の物を複数。
今井さん掌から扇風機の弱風が出てる。時々勢いが変わっている。
藤岡さんは青色の炎が小さく揺らめいている。おお、色の変化が出来るようになってる。
「そして何故ふーちゃんも出してる」
「クゥ?」
「競争じゃありません」
誰が一番出せるかとかそういうんじゃないです。
尻尾増やして9個出したのは見事なんだけどさ。ほら、朝木さんまた驚いてるから戻して戻して。
見た感じ、自分の持っている魔法に属性で自分に近い印象の物をイメージにしているんだな。
製氷機とか。見た感じの魔力は大したことない。
威力の程は魔力に比例する部分もあるだろうから、今の時点で見るべきものではない。それでも効率はわかるな。
「・・・そうですね。朝木さんは今の時点では合格で、今井さんは実はもっと強い風のイメージありますね」
「そんなこともわかるんですか?」
「感じる魔力の量と出てるものに差がありすぎるんです。多分。アニメとかそこら辺の派手な魔法のイメージがあるのかと」
「あ、そうです。もっと竜巻みたいなのばぁーって」
「それを無理やり掌サイズに抑えて、さらに周りのこと考えて無意識に抑えてますね。だから勢いが安定しないんです」
「おお!」
「最初からもっと弱いのを想定してみればいいんじゃないですかね」
それこそ扇風機が良いだろう。ちょうど涼しいくらいの風が出せるようになればコントロールとしては合格だ。
「扇風機扇風機扇風機・・・」
「・・・藤岡さんも聞きます?」
「お願いします」
「いや言うことないんですけど」
強いて言うならそれを数出せれば完璧かな。
色を変えるが温度は変えないっていうのに意識を集中してるのはわかるが、そのせいでややコントロールが雑だ。
魔力の流れが時々乱れるから、そこを熟せば完璧だろうか。
「結構あるじゃないですか!?」
「一発芸にするなら完璧です」
「一発芸・・・」
「クゥ?」
「ふーちゃんは魔法より『変化』な?」
「・・・クゥ」
いつになったららフミに合格点を貰えるのやら。
「ちなみに、今の俺の魔力の動きって見えますか?」
「・・・そもそも見方がわかりません」
「ん?・・・あ、そうか。えっとですね」
俺も初めから魔力が見えていたわけじゃないんだった。
魔法を得て、魔力の流れを体で感じ、ある程度操れるようになって見れるようになったが。
感覚を俺が掴んでるから、それを伝えれば行けるはずだ。
物は試し、やってみましょう。
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