381話
あらすじに少し分を追加。
「・・・」(ジロ
「・・・」(キョトン
「・・・」(グルグル
「・・・」(グルグル
「・・・」
「・・・」
「・・・」(スンスン
「・・・」(スンスン
「・・・セーフ」
「うー!」
みーちゃんとハクコちゃんの初対面。なんとか挨拶出来たな。
ハクコちゃんからしたら虎って初めてみるだろうから、なんだこの色の違う自分って感じでもうちょい警戒するかなって思ったけど杞憂だったか。
まぁコロちゃん達とは比較的早く打ち解けてたし、やっぱり人間かそうじゃないかってデカいみたいだな。
事実みーちゃんの飼い主である三崎さんには今も警戒してるみたいだし。
「絶妙な距離感でみーちゃんのお尻嗅いでる」
「見事に近づけませんね・・・」
「まぁしゃーないんすけど。母さんですら時間かかったんで」
「ええ!?」
驚くよねそら。あの母さんだし。
だが確かに今までよりはマシになっている。
今までのハクコちゃんなら知らない人間がいた時点でみーちゃんの事を気にしなくなるはずだ。
警戒心マックスでそこまで集中できないんだな。それが確かに三崎さんからある一定の距離は保つがそれでもみーちゃんを優先している。
うむうむ。いい傾向だな。
「それにしても周りにおもちゃ浮いてるんですけど・・・」
「ああ、テンション上がってますね。思ったより好感触なのか」
「そういうのなんですかあれ?」
「まだ子供なんで、ちゃんと制御できてないんですよ」
「はぇ・・・結構大きいですけど」
「ユニちゃんと同じですし。ほら、フィニちゃんも」
「フィニちゃん?」
「あれ?言ったことなかったでしたっけ」
「なんかすっごい増えてる・・・」
「「「「「わん!!」」」」」
「後動けないんですけど」
「遊べって言ってますね」
子供特有の怖い物知らずですよ。なんにでも人見知りするのも子供って言えるけど。
三崎さんの脚元は今ルミネの子供たちで覆われている。
肝心のルミネは俺の膝の上だから、これでフィニちゃんが来れば新顔勢ぞろいだな。呼ぼ。
「フィニちゃーん」
「・・・・チュン!」
「ええ!?燃えてますよ!?」
「いつも通りです。ほら挨拶」
「チュン!」
「あ、これはどうも・・・」
右の翼を上げてコンニチワ!だってさ。挨拶もちゃんと出来てなんていい子なんだ・・・。
三崎さんはフィニちゃんの摩訶不思議な姿に驚きを隠せないようだが。
「この子も、ユニちゃんと同じ・・・?」
「そうです。寄生型精霊が、動物に寄生して生まれる子です」
ある程度、この件に関しても推測をたてている。
恐らくだが、子供を妊娠している状態の母体に憑りつかないとこの子達の様には生まれない。
お腹の中に子供、或いは卵がないと精霊が逃げる先がないからだ。
ではこの条件に満たない子に憑りついた場合どうなるか、恐らくは精霊の消滅で終わりだろう。
魔力を持っている存在の場合は既に例がある。魔力を絞りつくし、さらに糧を得ようと自分の魔力を人体に浸透させていく。
最終的にどういった影響が体に起きるのかは確定じゃないがな。木になる場合もあれば、違う場合もあるのではないだろうか。
「ちなみに卵の段階から熱かったんですよこの子」
「今は熱くないんですか?頭の上乗ってますけど」
「今は大丈夫なんですよねぇ。意識的に制御しているのか、無意識なのか」
「チュン?」
フィニちゃんは現在既に成長を始めている。やはりユニちゃん同様大きくなるのは速いな。
これはモンスターであるということからなのだろうが。
理屈を無理やりつけるなら、速く成長することですぐに戦えるようにするってところか。
まぁ本来のモンスターはその場でパッと生まれるから意味のない理屈だろうが。
フィニちゃん達とダンジョンのモンスターは、はっきりと別物と言えるからな。
「持ってみます?」
「持つ?」
「ああ、フィニちゃん手でこんな感じに包んであげると喜ぶんですよ」
「チュン」
「へぇ。じゃあいいですか?」
「はいどうぞ」
「チュン!」
優しくな!じゃないんだよフィニちゃん。
なんかノリノリの時のニホリにテンションに似てるな。
まぁ言葉の勢いとは裏腹にフィニちゃんはおとなしく持たれている。
フィニちゃんの炎は今はほんのりと温かいだけだから、持っている三崎さんも心地良いのではないだろうか。
「うわぁ。あったかい」
「・・・チュン?」
「ん?」
「チュンチュン」
「やかましい」
恭輔より柔らかいじゃないわ。
「そしてお前らなんだ」
「「「ハッハっハ」」」
「なにー?フィニちゃんばっかりズルイだと?しゃーねぇな。ルミネ一回持つぞ」
「わん」
あれ、後2匹どこに・・・
「「わんわん!!」」
「・・・ガ、ガウ?」
「ガウガウ」
「あっちに絡みにいったか」
あっちは・・・いーちゃんとすーちゃんだな。ハクコちゃんとみーちゃんに絡みに行ったか。正確にはみーちゃんの方だろうが。
実のところ、ハクコちゃんが苦手な物の中にはルミネの子供たちってのがある。
苦手というか・・・どうしていいかわからないのだろう。
あんまりテンション上がっちゃうと浮かしちゃうし。そこを制御してもハクコちゃんの力だと怪我させかねない。
そういう配慮をしないと危ないって子と触れ合うのが初めてだからな。
今も三崎さんの家でも自分より小さい子達と遊んでるみーちゃんは何の動揺も無しに来た子達に挨拶している。
ハクコちゃんはやはりどこかぎこちない。まぁうちにいると慣れてもらわないといけないんだが。
ちなみに小さいと言えばうちの子って大体ハクコちゃんより小さいんだがそっちは問題ない。
理由は単純。あの子達がハクコちゃん達より強いから。
遠慮する意味がないんだよね。今の段階で噛む力とかねっさんの方がハクコちゃんより強いまで・・・は流石にないか。
「ワン」
「クゥ!」
「ちゅ!」
「恭輔!」
「毛皮ーズ大集合・・・だと。てかフミは何してんの」
「いや、そういう遊びなんかと」
確かに今俺の膝の上はいっぱいだが別にそういう遊びじゃございません。
そもそもみんなを一斉には抱えられないわ。
あれ?一緒に来てるはずのバン君達はどうした?
「バン君たちは?」
「庭で他の事遊んどるで。アリシアもそっちやな」
「なる」
「恭輔さん」
「ん?なんです三崎さん」
「あ、あの・・・頬ずりとかって」
「していいですよ」
「チュン?・・・チュン」
「やかましい」
ほっぺも恭輔より柔らかいじゃないよ。
そういう面は性別の違いなんですよ。仕方ないんですよ
「てかフミだって柔らかいのでは?」
「チュン」
「あー」
「やって面倒見る時尻尾の方が喜ぶんやもん」
そういうことかい。




