376話
新しいダンジョンが出てからという物、前からあったダンジョンは世界的に見ても探索が進んでいない。
日本では俺くらいなものだし、海外も精々国に1チームあるかないか。
魔石のサイズと質は前のダンジョンの方がいいからな。それ目的で潜るのはいるが、大体ボスを倒して終わりで探索はされていないのだ。
だからこそ、俺が新しい階層を探索することに意味があるのだが。
例えば、モンスターの様子とかは結構重要で・・・
58層のティラノなんかも、その方面が好きな人にはたまらないだろう。
なにせ、モンスターと言えど恐竜だ。好きな人はどこまでも好きだろう。
だから、今いる63層も好きな人がいるのは間違いない。
「トリケラトプスさんじゃないっすか!!」
「うーうー!」
角!かっこいい!!
「ティラノの時より楽しそうですね恭輔さん」
「何を隠そう俺はトリケラ派だ」
「う!」
「ニホリもなんですか」
ニホリもトリケラ派のようだ。
いや、確かにティラノのまさに王者って感じは確かにかっこいい。
だがしかし、トリケラトプスの角にはかなわない。それにふだんはおとなしいが、やるときはやるって感じもいい。
その角に見合うだけの強さはあるって話だしな!!
「ふーん・・・でもここなぁ」
「そうですね・・・大人しい・・・」
「うん?どうかしたのか?」
「う?」
ニホリとポヨネが少し後ろに下がっている。
まるで巻き込まれないようにしている感じだ。
・・・まさか、トリケラトプス以外のモンスターが既に?
「あ、コロちゃんニホリの回収頼むわ」
「ワフ?・・・ワン!」
「う!?」
ニホリが首根っこ噛まれて速攻で持ってかれた。
場所はもちろんフミ達の後ろ・・・え、本当に何がいるんだ。
「いや、あれめっちゃ気性荒い遠距離型やで」
「は・・・ッッ!!!???」
後方から風を割く轟音。
巨大な質量の何かが高速で突き進んでくる音だ。振り返ったら間に合わない。
その場でしゃがみ込む。その瞬間。頭の上を何かが通った。それはフミ達の方に進んでいくが。
「よっと」
「お見事」
「・・・う!?」
「ワンワン!!」
「はぁ?何々!?!?」
フミの軽い声とは裏腹に、受け止めた際の音は重かった。フミは少しも動いてないけど。
ようやく後ろを振り返る。
すると、先ほど俺とニホリが見て喜んでいたトリケラトプスがこちらを向ている。
その個体には1本角がない。
「・・・もしかして」
「その通りやでー!あ、次もすぐやで!!」
「おお!?」
残った角の根元が爆発し、角が撃ちだされた。まるで砲弾だ。
それが回転しながら俺に向かってきている。
すぐさま全身を硬質化。意識を切り替えて『真化』の発動率を上げる。
「おおおおおおッッッ!!!えい!!」
「おおー」
飛んできた角を受け止める。
硬質化がなかったら受け止めるのは・・・出来ただろうが掌がボロボロになっていただろう。受け止めた角を見るとざらざらしてサメ肌のようだ。
これが高速回転しながら砲弾の様に飛んでくる。マジで殺意高いぞこれ・・・
何とか受け止められたが、少し下がってしまった。
フミはどうやってこれあんな軽く受け止めたんだか。
「あ、うちそういうスキルあんねん」
「マジか」
「後まだ来るで?」
「は?角もうない・・・」
生えてた。
「・・・ユニちゃんか己は!!」
「!!!」
キャラかぶりにユニちゃんもお冠である。
ようやく俺達と一緒にダンジョンに来れるようになったのにこれだ。
新しい方には一緒に良く行ってたが、ここにはあんまり一緒には来てないのだ。
急速に生えた・・・いや、再生か。再生された角が再度撃ちだされる。
こんなの毎回受け止められないわ。撃ち落とすか。
弾の速度という点では、俺がランスを撃ちだしても負ける。勢いの付いた弾。それもかなり硬い。
だが連射はそこまでのようだ。だったら問題ない。
ランス・・・それも通常のランスの10倍以上太い物。もはや柱なんだ。それを20本生み出し撃ちだす。
途中で相手も角を撃つが、途中で柱とぶつかりそのまま撃ち落とされる。
残った柱はトリケラトプスに全弾命中。当たった衝撃で土煙が舞うが、それが晴れた時には、そこには何も残ってはいなかった。
「・・・いや普通にこわ」
「相性悪いとなんも出来んで負けるからなぁ」
「ヨミとか最初すっごく苦戦してましたね」
「そういやそうやったなぁ」
「・・・ワフ」
「ぴ!」
「おお、やる気まんまんやな。恭輔ー!コロちゃんとすらっぴが戦いたいていうとるで!」
「ういうい・・・まぁ最悪割り込めそうかな」
危険な敵だが、どうにかできるだろう。
最初から準備しておけば角は撃ち落とせるし、最悪壁だって作れる。
まぁみんなでも十分勝てる相手だろう。相手自体が速いわけじゃないから、魔法組は安定だし。
しいて言うならねっさんが苦戦するか?相手との距離が離れてるから、分身達がたどり着くまでに狙われたら危ないが。
「!!!」
「え?ユニちゃんもですか?うーん・・・そうですね。私と一緒でもいいですか?」
「!!!」
「いい子ですね。じゃあ一緒に戦いましょう」
「え?ユニちゃんええの?」
「ええ。まぁ火力は足りないでしょうが、そこは私がカバーしますし。隠し玉もあるんですよ」
「おお。ユニちゃん下の階層での初戦闘やな」
「!!!」
それにしても何も残さないとは・・・あの角欲しいな。硬度的には十分だったから、加工して何かできないかなぁ。
後純粋にうちに飾りたい。良くないかあんなでっかい角あるの。かっこいいと思うんだけどな。
・・・よし、親父の分も取るか。それに研究所でティラノの時に喜んでた面子分も確保で・・・大体30本あればいいかな。
「!!!」
「・・・え、ユニちゃん戦うの?」
「聞いとらんかったんかい」
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