374話
そして歯に銀歯を入れて染みて機嫌が落ちてるのも僕です
「ワイバーン捕獲」
「うー!」
「ギャァァァ!!」
「・・・多分やけど放せ言うとると思うわ」
「じゃあ放すか。コロちゃん」
「ワン!!」
コロちゃんの魔刃でワイバーンの首が落ちる。
なんかフミがそうやないやろみたいな顔してるけど、本当に放しても面倒なだけだしな。
「流石に哀れやわ」
「フミが戦う時の方が可哀そうだから大丈夫」
「え」
「うーうー」
「ジャンプだけでワイバーンの空中機動に追いつくとか流石にね」
必死な顔からのこの世の終わりみたいな顔になってたからね。
さてなんで今更20層のボスなんぞ倒しているのかと言うとだ。
俺が色々ぶちぎれた結果、俺自身の強化が色々進んでしまった。
その結果、俺の持っているスキルたちも強くなった。
元々『土魔法』だった物・・・今は『真化』込みだと『ガイア』と言う名前になっている。ついにエレメントまでとれた。もはや魔法と言っていいのか微妙なライン。
そして『草魔法』から進化した『植物魔法』になった物も変わった。今は『グリーンエレメント』になっている。
植物だからプラントとかになると思ったのだが違った。
今はその『グリーンエレメント』を試しているのだ。
名前変わったから出来ることも変わっただろうという判断だ。
結果だけ言うと、今までの『植物魔法』の強化ってだけだった。
強化幅がおかしいことを除けば問題はないだろう。
ワイバーンと戦うのに、先ず大地から無数の巨大な蔓を生やす。
その蔓が高速でワイバーンに迫り、逃げ場を無くしてから捉える。今回やったのはそれだ。
生み出せる植物の質、量共に今までと比べ物にならないくらいだ。それに操作性もいいと来た。
今なら庭にあるなんちゃって果樹園もいい感じに出来るのでは?
てか、フミはいつまで悩んでんだ。
「いや・・・そんな怖いんかあれ」
「そうだな・・・マジ切れしたコロちゃんが高速移動しながら追いかけてきてる感じ?」
「・・・自重するわ」
「まぁモンスターだしいいんじゃね?」
「・・・ワフ?」
「うー?」
「・・・ワン」
「うー・・・」
かつての話だが、一度だけコロちゃんにマジ切れされたことがある。
原因は俺だし、普通に俺が悪いんだどな。
フミやニホリは見たことないからいまいち想像つかないだろうが、普段の温厚なコロちゃんが怒るって考えたらどうなるか。
ほら、普段怒らない人が起こると一番怖い的なあれですよ。
さてさて、やることも終わったし帰るか。
今日は本当に実験するだけで来たからコロちゃんとフミ、ニホリと俺しかいないし。
ハクコちゃんとフィニちゃん達は残った子が面倒見てくれている。
うちにも慣れてきたから、そこまで心配はしてない。
帰りはワープでさくっと。便利だなこれ。新しい方も最初から使えたらいいのに。
・・・それはそれでだめか。弱い冒険者が下の階層に行きたい放題になってしまう。
無駄に死人が増えると、それだけでダンジョン封鎖を~とかほざく連中が増えるしな。無駄なのに。
そもそも女神と人型のなんちゃって気遣いでこの難易度なのだ。ダンジョンなんて方式なのだ。
地球にたまった魔力を消費したいだけなら、もっと簡単な方法がある。
ダンジョンの様に地下に埋めるのではなく。モンスターを外で生み出すようにすればいいのだ。
そうすれば嫌でも戦わなきゃいけないし、倒されたモンスターの分は魔力を消費出来る。
・・・まぁそれだけでは何かしら問題があるから俺に何かさせたいのだろうが。
倉庫から出て庭を見ると、ちょうどお昼寝の時間だったのか、最近増設した昼寝スペース(木造の縁側みたいなやつ)にはハクコちゃんを含くめた猫たちが寝ている。
ハクコちゃんは大きいから、数匹は上に乗ってるけど。
「俺は果樹園(仮)を改造するけど・・・どうする?」
「う!」
「ワン」
「うちは先に洗濯物取り込んでくるわ」
「うぃ。後から来る?」
「んー?何かニホリが手伝うことないなら行こかな?」
「わかった」
それぞれにやりたいことをしに解散。
コロちゃんはルミネ達の様子を見に行くそうだ。
果樹園には住人がいる。
オミちゃんの巣は当然として、他にも小鳥たちが巣を作ってたする。
その木は避けて、他の木に試してみよう。
今までの『植物魔法』では大きくできるサイズに限界があったが・・・
「いやでかすぎ」
「キュ!?」
「チュン?」
「あ、君らいたのね」
オミちゃんとフィニちゃんが巣にいたようだ。
急激に伸びた木に驚いたようだ。まぁ自分の住んでいる家の隣の木が急激に伸びたらそら驚くよね。
「すまんね。ちょいと実験でさ」
「チュン?」
「あ、なるほど。食べてみるか」
フィニちゃんも時々ここの果物食べてたのか。
味は微妙だが、まぁ俺が練習がてら毎日魔法をかけてたからなくなるってことがない。
そのせいか、何か野鳥達が食べにくるんだよね。そうでなくてもいたけど。
近くにあったリンゴを2つ採る。
1つはオミちゃんとフィニちゃん用だ。
「いただきます」
「キュ」
「チュン!」
オミちゃん達用のはちゃんと小さくしてあげる。
俺は丸かじりだ。
・・・・・・?
「なんかこう・・・ほいひぃ?みたいな感じ?」
「キュ」
「チュン」
表現しにくい・・・いや、前に比べてたら遥かにいい。
今までは果汁はあんまりないし、甘みも薄かった。
今回のはそれらはちゃんとあるんだけど、歯ごたえというか、それがいまいち。ふにゃってしてるから、それにつられて味もぼんやりしてる。
評価しにくいなこれ・・・いや前に比べたら美味しいんだけど・・・
「ちょいと食べてみて」
「ちゅん」
近くにいた野次馬に小さくしたリンゴを食べさせる。
「ご感想は」
「・・・??」
「だよね」
首傾げられたわ。
うーん・・・魔法が成長したから少し美味しくなったけど、段階あがってこれ?
もっと劇的に変わると思ったんだけど・・・何かが足りてないのか?
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