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372話

少し短めです。きりが良かったので

白い虎・・・現実的にはホワイトタイガーと言うのだろうが、この子は違う。

なにせ自分の意思で周囲の物を浮かせたり、風の刃を飛ばしたりできるという。明らかにモンスターの能力だ。

テイムされた様子もない。間違いないだろう。


外で生まれたモンスター。その為に成長は速いが、心まで大人になるわけではない。

むしろ最初からひどい環境にいたのだろう。かなりの人間嫌いになっている。

母さんが近づけないほどには人間が嫌いだ。これは本来あり得ないとも言っていいくらいのことなのだが。


故に、近づけるのは現状だと俺だけになっている。

俺も近づくと威嚇されたりするけど、何されてもこの子の攻撃は効かないから近くにいれるってだけだ。

うちに来て1週間。近所の野良猫やコロちゃん達の説得もあり、なんとか近づいても魔法は飛んでこなくなった。

その代わりに手で離れろーされるけど。


「ワフ」

「マジか」

「ぴ!」

「すんません」


それは顔を近づけて何かしようとしているのがバレてるかららしい。

真に申し訳ない。


とにもかくにも、この子がモンスターであって、最近うちに来たとのは伝わっただろう。

ここで問題になるのは、この子がどんなモンスターか。

ポヨネとヨミの鑑定の結果、不明だった。

種族欄に名前の記載がない。『鑑定』は見れる内容に制限はあるが、何もわからないってことはないスキルだ。

それがわからないとなると、この子は新しい種族の子になる。

ロラちゃんの種族名を、かつて俺が決めたように。


「寄生型の影響だと、元からいる種族以外にも生まれてくるのか」

「そもそもなんでこんな一気に発見されるんや?」

「・・・多分。魔力が地上にも出てきたってことなんだと思う・・・けど」


どうしてそうなったのかわからない。

ダンジョンから魔力が垂れ流されているからなのか?

俺の感覚だと、魔力が濃くなっているという感覚は一切ない。フミでも感じれないとか言ってるから、この考えは微妙なところだ。

だけど、精霊の生まれる条件を聞くと、それしか考えられなくなる。

俺の周囲で生まれるとかならまだしも、なんで全く関係ないところで生まれるのやら。


「わかんねぇなぁ」

「ガウ」

「おうふいけず」

「よく1週間でここまで出来たわな」

「フミ達はちゃんと触れるじゃんかよー」

「そらうちらモンスターやしな」

「納得いかなねぇ」


普段ちょくちょく人間判定から外れる俺なのにこういう時は人間判定なのか。

おかげで全く撫でれないじゃないか。

いや、撫でることはできるんだけど、無理やりになるから嫌われちゃう。


文字通り、大門家の人間以外の皆は普通にハクコちゃんと接することができうる。

ニホリもだ。完全に人間以外しか近寄れなかった時期もある。


今だって俺が何かしないかずっと見られてるし。

・・・どうにかならんものか。


「んー?でも恭輔動物園の子には近づいた言われとったよな?」

「言われたな」

「・・・そやな。『真化』使いながらならいけるんちゃう?」

「『真化』?」


なぜここで『真化』・・・?


まぁフミの言うことだしやってみよう。

意識を切り替えて戦闘モード・・・はやりすぎか。ちょっとテンション上がったくらいに抑えてと。


その瞬間、明らかにハクコちゃんの俺を見る目が変わった。

警戒の目から、困惑の目に。

それもそうだろう。『真化』を発動するってことは能力が上昇して俺が人間から離れるってことだし・・・ああ、そういうことか。


「なるほど、これなら行けそう」

「せやろ?」


人間が警戒されるなら、人間やめればいいじゃない。

『真化』は一時的なものだが、それでも十分だろう。俺が普通の人間ではないと言うことを教えてあげればいい。


事実、今の俺を目の前にして、俺の存在を疑っている。

こいつはなんだと。


少しづつ近寄ってみる。

じりじりと距離を離されることはない。

だが先ほどより良く見られている。

・・・ふと思ったが、この子俺の魔力が見えてるな。そして、それ以外も見えている。

だから人間かそうじゃないかがわかるのだろう。そうでなければすぐに俺の事がわからないだろう。

ますます不思議な子だな。


「・・・」(ジリジリ

「・・・」(ササ

「・・・悪意見られとるで」

「マジかよ」


俺の毛の中に顔を埋めたい願望がバレた・・・?

あ、フミのところに逃げた。


「あ、もう恭輔!子供になにしとんねん!」

「(´・ω・`)」


悲しい・・・


だが人間の時よりマシだな。

嫌いな人間から、今はよくわからない生物Aくらいにまで昇格した。

俺の願望とよくわからないが重なって今は逃げられたか。フミのところにいったのは、本能的に俺が逆らえないのをわかっているのだろう。

まぁ怖いって感情がなくなったのはいいことだな。今もちらちらと俺の方を見てるし。

真の意味で近づける日も近いだろう。


「てか、恭輔あそこから連れ出した時見られとるんならそのせいとちゃうん?」

「あ」


あれ・・・普通にビビられてる?
















「そんなわけで、仲良くしたいんだけどどうすればいい?」

「にゃ」

「ニャー!」

「にゃ?」

「ニャーニャー!」

「そうなのかにゃん」

「・・・うー」

「・・・ガウ」


見られた。

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