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368話

「どんな感じよ」

『やはり不思議だな。こちらで見ると全身が燃えているように見えるな』

「ん、やっぱりか」

『だが魔力の反応は・・・そうだな、精霊に近いな』

「あれ、わかるようになったの?」

『ふーりんちゃん達に頼んでな。少しモニタリングさせてもらってたんだ」

「いつの間に」

「お前があの子達の事はピッちゃんに許可取ってって言うからだろ』

「・・・だから時々いなかったのか」


てっきりどこかに散歩にでも行っているものだと。


本日は研究所に久々に来ている。

来た理由はフィニちゃんの検査だ。ついでにフィニちゃんと同類と思われるユニちゃんも連れてきている。

これは珍しいことだ。移動が大変ってのがあるから、普段は連れてこれないからな。

ユニちゃんも普段あまり見ない景色にキョロキョロしている。やや興奮気味。

フィニちゃんは落ち着いている。てか、俺の手の中で寝てる。


検査・・・魔力の動きを見たりするんだけど、その結果はやはりというか、まぁ変な感じになっているらしい。

常に燃えている翼。その熱を全く感じていないかのようなフィニちゃん。

魔法による炎だって、出した本人でも熱を感じる。これはふーちゃんが教えてくれたことだ。

だが、フィニちゃんは全く感じていないそうだ。それどころか、ふーちゃんが出した炎にすら大して反応しなかった。

このことから、フィニちゃんには炎耐性・・・または高熱耐性とでもいうべき物があると思われる。

恐らくスキルとして持っていないだろうから、テイムしても見えないだろうけど。


「zzz・・・チュン?」

「あら、寝ててもいいぞ?」

「・・・チュン」


俺の声で起きてしまったみたいだ。

寝ててもいいよと言ったけど、起きるみたいだ。大きくのびーして、羽ばたき始めた。


「チュン!」

「おおー」

「!!」


羽ばたく度に火花が舞う。

オレンジ色の火花は、まだ幼いからか弱く、提灯花火の終わりの方にも見える。

だが、生きている活力に満ちている。何より美しいのだ。

ユニちゃんもこんなに近くで見るのは初めてなのか、その美しさに喜んでいる。


普通の動物なら火を怖がるものだが・・・まぁユニちゃんだしな。


『むむ。その炎。全く熱の反応がないな』

「あん?熱くないと?」

『ああ。触ってみたことは?』

「普通火を直接触ることなんてないだろ」

『それもそうか』

「・・・フィニちゃんフィニちゃん」

「チュン?」

「もうちょい近く来て」

「チュン」


手を差し出してその近くを飛んでもらう。すると俺の手に火があたるが、確かに全く熱くない。

火花の量が少ないというのもあるのだろうが、それでも全く感じないというのはおかしいだろう。

この子の炎が、熱を持っていないことがわかる。


「・・・だからと言って何っていう」

『いや結構大きなことなんだがな』

「ん?」

『フィニちゃんが、自分の意思で熱をコントロールしているってことはないか?』

「ああー・・・いやでも・・・熱?」


そんなに大きな範囲なのか?

それだとフィニちゃんは冷たい炎とかも出せることになるが・・・

この子の種族名は炎美鳥だと思われる。だから流石にそれはないと思うんだよ。

でも、生まれが生まれだから、普通の炎美鳥とは違うと言われてらそこまでだ。冷たい熱とか出せてもいいかもしれないが。


『本当にコントロールが出来ているのなら、火災現場とかで活躍できそうだな』

「消せるのか?」

『消せなくても、熱くなくなるだけでも十分なんだがな』

「ふーん」

『興味ゼロか』


興味ないわけではないが・・・そういう考えで育てる気がないだけだ。

警察犬の様に、この子達が消防で働くうえでパートナーとなるのならいいが。


俺がやろうとしていることは、最低限以外の人間の関与を無くす方法だ。

手に入れた物を売る人間と、ある程度の管理を行う人間。それだけの人間の関与で生きていけるようにすること。

ある意味で、動物を保護する施設と変わらないが。

俺の目標の場合は、保護できる数に限りがないことだ。その子達自身が自分たちの糧をダンジョンで手に入れる。

中には戦えない子もいるだろう。そういった子は、他の子達が補助をする。

動物たちで一つの社会を形成すること。大げさに言うと、それが俺の目的の形だろう。

・・・ようやく形になってきたな。


「そういや、ユニちゃんはどうなの」

『ユニちゃんか?そうだな、角の部分に魔力が集中しているな』

「あ、やっぱりそうなんだ」

『前に硬度を調べた時もおかしな数値になってたが、多分今はその時以上になるだろうな』

「その根拠は?」

『魔力量は増えてるんだろ?だったら、その魔力が溜まっている部分の性質がより強化されててもおかしくないだろう』

「なるほどその通りだ」


ユニちゃん特有の性質はそれなのだろう。

勿論身体能力だけを見ても普通の馬とかを軽く超えているのだが。これはレベルもあるし当たり前だな。

だが、角に魔力が溜まってて、起きている現象が角が硬くなっているだけとは考えづらいな。他にも何かあるんじゃないかと思うが・・・


「なんだろうな・・・」

『うーん。お前ら、何か思いつかないか?』

『えぇ!?うちらですかー?』


他の研究員にも聞いているのか。

俺の思いつく限り、ユニコーンと言えば角に毒を持っているということくらいか。

後は魔法の杖になったり、これは毛もそうか。

このイメージ。ユニコーン自体の事はもっと知っているが、角で起きそうなことに関係しているのはそれくらいだろう。


『やっぱり魔法の威力を上がるーとかじゃないっすか?』

『む。やはりそうなるか』

「だよなぁ・・・まぁ試せないんですけど」

『そうだよなぁ』


まず角取らなきゃいけないし。

ユニちゃんから角獲るとかそんなことできませんよ・・・『ゴトン』・・・うん?


「チュン!?」

「!!」(ムフー

「・・・お父様、嫌な予感がしています」

『そうか、とりあえず後ろ向け』


錆びついた機械かと言われても反論できないくらいぎこちなく振り向く。

すると地面には先ほどまでユニちゃんの額から堂々と伸びていた黄色の角が。ユニちゃんを見ると、額の部分の角が綺麗さっぱりなくなっている。

そしてユニちゃんめっちゃドヤ顔・・・!?


「取れんのそれ!?」

「??」

「初耳ですねぇ!?」

「!」


はぁ!?小屋にいっぱい置いてある!?毎日掃除してるのにわからないわけ・・・


「???」

「あのぐーたら犬何してんだ!?」


ヨミが回収しに来てたそうです・・・お説教確定



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