364話
昼一話夜一話です
「チュン!!!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・チュン」
「危ないから降りなさい」
飛べるようになったからって調子乗らないの。
オミちゃんの子供・・・炎美鳥というモンスターであるこの子。
生れて3日ほどで飛べるようになった。体は小さいが、これはおかしなことだ。だが出来ないと飛べないのに、肝心の体が出来上がってないのだから。
一応原理的には飛べるんじゃなね?とは考えている。
この子の体・・・特に翼の部分は魔力で構築されている部分が多い。見えている部分はほとんど魔力だろう。だから実際の大きさより翼が大きく見える。
この翼が飛ぶにあたり何かの補助をしているのではないかと思われる。
けどまぁまだ飛べるようになって数時間。不安定な部分はあるから、調子に乗らないこと。
「怒られるの俺なんだから」
「チュン?」
「フミとオミに怒られるの。もっと過保護にせぇって」
だから頭の上に乗らないでね?もっと大きくなったらいいから。
言うことはちゃんと聞いてくれる子なので、ちゃんと頭から降りて俺の手の上に。
その時に、何か堅いと思ったのか。嘴で俺の手を軽く突くのは許しましょう。実際硬いしね。
「チュン」
「まぁ・・・それだけ頑張ったんだよ俺。あと寝転んでごろごろしてもらえます?」
「チュン?」
なんでと首を傾げるが、嫌ではないようなので手の上でコロコロコロコロコロコロコロコロ。
いやマジか・・・やべぇ・・・かぁわいい・・・
「き!」
「んお。急に増えた」
「きき?」
「ん?癒しのひと時」
「きー・・・き?」
「マジ?頼むわ」
「きー」(コロコロ
バトちゃんも転がってくれた。やったー。
それにしても、うちにもまた一気に家族が増えたな。
ルミネとその子供たち。そしてオミとこの子。
これだけで一気に8匹増えた。元からいた子をと合せて・・・16?精霊含めると18で、ニホリとフミとポヨネを含めると21か。
うわ。めっちゃ大家族。
庭に入ってくる野良の子達は含めない。半分うちに住んでるような子もいるけど、その子達含めると無数とかになるし。
転がってたバトちゃんは、数回回転すると飽きたのか、止まってしまった。
そして、自分の止まり木に行って体を大きく伸ばした。
それで思い出しのか。この雛の名前について聞いてきた。
「きき??」
「なんでまだ付けないのかって?まぁ・・・本当なら生まれてすぐつけるんだけどな?」
そう、俺はまだこの子に名前を付けていない。
理由はあるのだ。この子、めちゃくちゃ頭がいい。下手すると、生まれた時のユニちゃんと比べると、現時点ではこの子の方が頭がいいだろう。
生れて3日なのにも関わらず、俺の言葉に返事をしたり、皆の名前を認識したり。
なら、自分の名前をちゃんと認識できるようになってから教えた方がいいかなぁと思ったんだが・・・
「でも確かにもうつけていいよな」
「きき」
「チュン・・・zzz」
「寝たから後でだな」
「ききー」
後オミに相談しないで名前つけると普通に怒られそうだしな。
それにヨミにも怒られるな。なに親に無断で名前つけとんねんって。ことこの子に関しては、ヨミが全面的にオミちゃんの味方だからなぁ。
とは言っても、寝てるだけなら他の皆の相談する時間が生れたと思っていいだろう。
雛を俺の部屋の雛の寝床に移して、バトちゃんに見張っといてと頼んでオミちゃんの元へ。
今なら多分どっかしら飛んでるだろうから、近くにいればいいんだけど・・・
「・・・ピィー!!」
「・・・キィー!!」
「あ、いた」
よかった、近くを飛んでいたらしい。
俺の指笛だとあんまり遠くまで聞こえないからな。精々が半径500メートルくらい。割と破格の距離にも聞こえるが、鳥同士が呼び合う時を考えると短いだろう。
2キロくらいにならんなかなぁ。
こちらに戻ってきたオミちゃんを腕に止まらせる。
本来なら俺にガードのようなものを点けるべきなんだけど、まぁ要らないよね。
「キュ?」
「いや、そろそろ名前をあの子につけようかなとな。それで相談」
「キュ?」
「今は俺の部屋で寝てるよ。バトちゃんが見張ってる」
見張ってないと、もしかしたら落ちちゃうかもしれないしな。
一応部屋自体は窓とか開いてないから家の中から出ることはないだろうけど。そういう意味の監視でもある。
だってまだ子供だもん。そら勝手に飛ぶよね。
オミちゃんは名前を付けると聞いたら、俺の腕から自分の巣に移動した。
俺も椅子を持ってそれに着いていき、そこで相談が始まった。
「まずさ、どんな子になってもらいたい?」
「キュ?」
「いや。確かにそれは俺が自分で決めてるんだけどさ、あの子はお前の子供じゃん?それにテイムする予定もないし」
「キュー?」
「ああうん。ルミネのとこは母さんが決めてたし・・・なんかあの子達それで納得してるし」
うん。あれは想定外だったよね。
俺が面倒見てる子だから。まぁ勝手に決めてもいいんだろうけど。
あの子に関しては話が違う。
オミちゃんが自分で育てると言い切った子だ。だったら、俺が勝手にないかをーというのは違うでしょ。
あと、テイムする予定がないって話だがここは状況によって変わってくる。
俺自身は、ルミネみたいな感じになるのが良いかなと思っているけど、あの子はモンスター。
テイムされてない状態で外に出してはならないみたいな法律とか決まっちゃったらその限りではない。または、親父がに言われたらそれもテイムしないといけないだろう。
「まぁだからお前の希望に沿ったような子になる名前を」
「・・・キュ!」
「え?シュルちゃんみたいに?」
「キュ」
「ああ、強くってことか・・・あの子雌だぞ」
「キュ!?」
そうなんだよね。シュルちゃん雌なの。あんな感じなのに性別はっきりとあるの。
モンスターで考えると珍しいパターンだよね。
まぁ勇ましいって印象はあれだけど、確かにシュルちゃんは強い。
ようやくフミのレベルが見えるようになった俺から見てもまだ追いついてないしな。その強さを目標に育ってもらいたいというのなら、いいんじゃないだろうか。
・・・もしかしてだけど、シュルちゃんが卵温めるのを進んでやってたのってもしかして雌の本能的な?
今度聞くか。番いとか用意した方がいいのだろうか。お見合いか?お見合いするか????
「キュ!」
「すまんすまん。そうだなぁ・・・強そうで、シュルちゃんっぽ名前かー」
どうせなら炎を連想させる感じの名前にしたいなって。
だがそうなるとシュルちゃんから離れそうだしな・・・
「何しとるんー?」
「キュ」
「フミか。今雛の名前を決めてたところでな」
「あー!うちも決めるー!」
「キュー?」
「うちのセンス疑っとるな?なかなかのもんやと自負しとるんやけど」
「キュ」
「任せとき・・・あ、そやそや。こんなんあったんやけど、温かくてよさそうやない?」
「キュ・・・」
「一瞬で話ズレたぞ」
ママ友の井戸端会議か何かか。
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