361話
感想に全部はお返事出来てないんですがちゃんと読んでますよー。
本文各時間を増やしたいのでどうしてもその辺が難しいのです。
いやそんなぽんっと生んでもらって・・・
急な産卵にこちらはパニック。むしろ母親のオオタカの方がはるかに落ち着いているくらいだ。
そのまま温め始めたからな!なんだそのやれやれみたいな動作は。
時間は進む。
時刻は既に夜中と言っていい。
本来なら、この時間帯に卵を産んでも見に行くべきではないのだが、ちょいと事情が特殊な子だ。
親父と母さんは既に寝ている。もちろんニホリ達も寝ているから、起こさないようにこっそりと庭に出る。
木々の中にあるいくつかの巣箱。
その中でも新しく大きい物にオオタカがいる。
「どうですかー」
「大丈夫かー」
「キュ」
オオタカも付近の動物たちが寝静まっているのを知っているのか、声を小さくしてくれた。
とりあえず、体調に問題はなさそうだが。
「魔力の流れは・・・問題ないかな」
「そやね。卵はどうなんやろ」
「んー・・・見せて?」
「キュ」
嫌だそうだ。まぁだよねっていう。
俺の事は大丈夫だと他の子たちに言われているし、自分も分かっているのだろうがそれとこれとは話が別だ。
普通生んだばかりの卵を見せたりってことはしないわな。
だけどそれはそれで困るわけで。時間を置いたからいけるかな?
「問題があったらまずいでしょ?お願い」
「・・・キュ」
しぶしぶと言った感じに少しだけ見せてくれた。
まぁ魔力の確認をおこなうだけだからそれで十分。てか、見ただけでそれ以外のところの判断なんて出来ないわ。
体から少しだけ見える殻の部分。
その色は赤に近いオレンジ色で・・・は?
「赤い」
「え?あかんの?」
「いや・・・こういうのも・・・いるの・・・か?」
「恭輔にしては不安そうやね」
「いや、ここまでのっていた覚えが・・・んん?」
少なくともオオタカの卵はこの色じゃないな。
てか、この卵なんだ。魔力が籠っているってより、周囲から吸ってる?
それになんか熱・・・ふーちゃんの魔力に近いというか・・・
「火魔法に近いのかこれ?」
「お、ほんまや。多分元から魔法持ちの種族なんやろ」
「それって魔力に出てくる物か?」
「出るで?恭輔やってすらっぴやってそういう特徴みたいんは出るしな」
「俺も?」
「まぁ恭輔の場合はいろいろわけわからんことになっとるんやけど」
それは俺のせいじゃないしなってこれはいい。
つまりなんだ。この卵の中。オオタカの子供は間違いなくオオタカではなく何かしらの魔法。恐らく炎魔法であろうを持っていることが確定と。
それ自体はいいが。周囲から魔力を少しづつとは言え吸っているのは何だ?
それに・・・
「・・・体温上がってるな。もしかして卵自体が熱いのか」
「キュ」
「とりあえず水持ってくる。フミ、もうちょい見れるか?」
「任せとき」
卵を産んだ直後ということもあり、体調は変化しているのだろうが明らかにそれ以上に体温が上がっている。
卵が発熱していると見ていいだろう。
これは、魔力と魔法を持っているモンスターだが、そのコントロールが全く出来ていないことが原因だろう。
外から吸収しているのは、多分一定量まで魔力を溜めないといけないということだと思われる。
熱が出ているのは、ため込んだ魔力が少しだけ外に出ているといった形か。
このままでは、母親が先に熱でやられてしまう。
今日は一日中見張ってた方がいいな。
日が昇り、魔力の吸収はまだ進んでいる。
幸いなことに、母親のオオタカは魔力があろうとなかろうと関係ない存在だからこれが何か悪いことを起こすわけではない。
俺とフミの場合は保有する魔力量の多さ的にこの程度なんて問題にならない。
そもそも勝手に漏れ出ている魔力を吸収させるだけでいいから、気にすることもないって感じなんだが。
問題は、母親の状態。
全く弱音を吐かず、卵から動こうともしない。当たり前なのだが、これが問題だ。
代わりとなる物はあるから、休むことも出来るのに一切動かないのだ。
何が何でも私が育てるのだという強い意志を感じる。
だが、それはそれ。これはこれだ。体調を崩ししてしまったら問題だ。だから、母親が動かなくても問題ないようにこちらで食べ物とか必要な物を全部用意して気を遣う。
それでも、やはり体温が上がりすぎているのは良くない。徐々にだが、弱ってきている。
いや、体温かこれ?・・・身近にいるせいで、魔力の影響を変に受けてるかもしれんな。
「・・・ダメだな。このままだともたない」
「どうにもならんの?」
「今ならどうにかなる。ただ・・・」
「あの子が動こうとせんのがいかんか」
「ああ。無理やりどかしたら、それこそ暴れるぞ」
ユニちゃんが生れた時。確か妊娠してから出産まで予定していた時期より速かったのだ。
だからこの卵も想定より早く生まれるとは思われる。
けど、だからと言って今すぐ生まれるわけではない。恐らく、この中の子は精霊に近い子になっているはずだ。
本当に精霊だったらどうにかなるのだ。魔力を注ぎ込めば体を構築できるはずだから。
「でもなぁ・・・明らかに中にいるんだもんなぁ」
「ほ?見えるん?」
「一応。魔力の形が既に形になってるから」
「・・・あ、ほんまや」
卵に中には既に小さい鳥の形をした何かがいる。
生れることが出来るのなら。外に出てくるのだろうが出てこない。
まだ生まれてから1日しか経っていないから、これでも異常な成長速度なんだが・・・
「最悪でも、明後日までに生まれてくれないと問題だな」
「リミット近いなぁ」
「いや、母親の子が一端どいて休んでくれるなら問題ないんだ」
「・・・説得するしかあらへんか」
「しかないよ」
しかし、俺たちの言葉ではだめだろう。
さて、どうしたものか・・・
「・・・キュ?」
「・・・!」
その日の夜。確かに彼女は動いていた。
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