359話
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「・・・」(プラーン
「・・・」
「・・・」(グルングルン
「・・・」
「・・・とう!!」
「・・・何してるん?」
「ターザンごっこが出来るかどうかの実験。ニホリ!出来るからいいぞ」
「うー!!」
最近の『植物魔法』の使い道。ニホリのおもちゃ。
「っていうだけではない!!」
「何言うとるん?」
前に俺が作った・・・作る気はなかったけど果樹園みたいになってしまった木覚えているだろうか。
いかにうちの庭が広くても本物にはならないのでちょっと寂しい感じになってたあれだ。
そのあれ、ピッちゃんが別荘(木造)を作ったのを折りに何故か野鳥たちの住みかみたいになっている。
俺の『草魔法』基『植物魔法』の訓練がてら生長を早めてるから食べ物には困らない。
元からうちの庭にいた子は困ってなかった気がするけど。
まぁその口コミでも鳥の中で広がったのだろう。大体は鳩とかスズメとか、時々カラスだったんだけど、遂にこんな子が来た。
「あら?恭輔~」
「何~?」
母さんが庭を眺めていると、どうもその鳥を見つけたようだ。
「ほらあれ」
「おん?・・・おお。オオタカさんじゃないっすか」
「ついにうちにも来るようになったのね~」
「・・・冷静に考えればおかしいなそれ」
なんだついにって。
だがまぁ珍しい子ではある。
なにせ一度は密猟やらで個体数を大きく減らしたのだ。それが見れるというのは何気に貴重な機会ではある。
しかも、動物園やそういう施設以外でとなると猶更だろう。
ところでちょっと話がそれてしまうが、うちに出入りする野生の動物たちは、種類ごとにリーダー・・・まとめ役が決まっている。
犬科だったらコロちゃんがリーダーしてたりするのもいるが、大体は野生の子がリーダーだ。
そんなわけで、鳥達にもリーダーがいる。
ただ、この子野生ではないのだ。最近になってうちに出入りするようになった怪鳥。
・・・シルフバードさんです
「ああ、オオタカが跪いてる・・・」
「あら~」
ヨミがテイムしたこの子。それが何故うちにいるか。
簡単な話だ、最近出番がないからうちにいるのだ。大体呼べばすぐ戻ってくるから、うちにいても問題ないと言うのもあるが。
まぁこの子はいいんだよ。リーダーちゃんとしてくれてるし。
ただ、やっぱりモンスターなのでそういう部分は気を付けないといけない。
住んでいるわけではないから、うちに住む子リーダーを決めないと新しい子が入ってきたとき困る。
「どうにかせんといかんなぁ・・・」
「シュルちゃーん。リンゴ食べる~?」
「シャ!!」
「・・・シュルちゃん」
勝手に名前が・・・ツイてんねぇ!?
カード確認したら普通にシルフバードの欄がシュルちゃんになってる!?
これってテイムした奴が決めるんじゃないのか!?
・・・母さんだから出来る技と考えた方がよさそうだ。実際のところはどのモンスターや動物が、それを自分の名前と認識すると変わるのかもしれないけど。
母さんの躾け力は俺の数倍だろうからな・・・。
事実、俺の目の前で新しく来たオオタカと一緒にシルフバード・・・シュルちゃんが母さんにリンゴを食べさせてもらいながらご満悦な表情を浮かべている。
なんだろうか、ヨミはもうちょいシュルちゃんの事を気にかけた方がいいのではないか。
「あら?あらあら~?」
「どったの?」
「この子、妊娠してるわね」
「・・・ほぉ!?」
オオタカはどうも妊娠しているらしい。それは別にいいのだが、それだとどこかに巣があると言うことになる。
つまり、うちに来たというよりはただ立ち寄ったというだけ・・・あん?
「おかしいな」
「おかしいわね~」
妊娠した鳥が自分の巣から離れる?
普通狩りも雄が行うようになるはずだ。どこかにいるのか?
「・・・ピュー!!」
「カァー!」
「付近にオオタカ・・・大きい鳥がいないか知ってるか?」
「カァ」
「あいつだけか・・・どうなってんだ?」
付近に大体いるという判断の元、指笛でカラスを呼び寄せる。
マジでうちの近所に数匹は常にいるからな。呼べば来る。
それで目撃情報を聞いたところ、特になし。今母さんに見られているあのオオタカ以外は特に見てないそうだ。
・・・ますます謎が深まる。
「住処を追い出された?だけど付近で何かあったら俺が知ってるし」
「開発で山に何かしたとかは?」
「ない。それもあったら分かるし・・・だいぶ遠くから来たなら話は別だけどさ」
別の何かに縄張りを追われたから、人間が追い出したか。
雄がいないことを考えると、前者である可能性は高いのだが・・・
「とりあえず病院だな」
「検査もしてもらっちゃいましょ~」
「・・・飼う気?」
「懐かしいじゃない。ホーちゃんみたいで」
「ああー・・・いやホーちゃんは文鳥だな」
サイズも何もかも違うんだが!?
贔屓にしている動物病院に連れて行き、検査をしたところ特に問題はなし。
お腹の中の卵も何もないみたいだ。変な病気も持ってないみたいだし。ただ、怪我もないとなると追われていたわけではないのか?
ん~?まぁ運が良ければ確かに無傷で逃げれるだろうけど。
「ん~・・・ん?んん?ふーりんちゃーん?いらっしゃる?」
「るる?」
「あら?出てないの?ちょいと呼んでくんね?」
「る・・・るる~!」
「んにゃ」
少し気になることがあったのでふーりんちゃんをピッちゃんに呼んでもらった。
俺よりこういうことは鋭いらしいし・・・
「なぁ、この子なんだけどさ。魔力持ってるよな?」
「にゃ」
「だよな・・・だよなぁ・・・」
ああうん・・・そういう方面か・・・
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