357話
うだるような暑さっていうんですかね、最近の気温は。職場に行くのも嫌になります
まぁ力が抜けようが何しようが負けることはない。
そもそもの力量が違うのだよ。座りながらでも戦える。
「そら!」
「ギャン!?」
手から生み出した蔓を魔法で操り寄ってくるコボルト達をはたく。
一撃で倒すような魔法ではないから倒すことは出来ないが、目的はそこではない。
蔓を鞭のように操り、時に相手に巻き付けて振り回して投げつけるのだ。
「フミ!」
「なんや!!」
どうやらあの花の罠は周囲の敵をおびき寄せる効果もあるようだ。
背後ではフミが巨大化させ硬質化、先鋭化させた5つの尻尾でコボルトを倒している。
「え?!なにそれ触りたい!!」
「後で!!先に要件!!」」
「うぃ。俺は大丈夫だから皆探して来て!」
「ほぉ!?・・・わかったわ!!」
一瞬俺の命令に驚いたようだが、こちらの様子を見て大丈夫だと判断したようだ。
少しだけ考え込み、返事を返して跳んでいった。
恐らく数分で誰かは見つけてこれるはずだ。
「ハハ。こりゃ全員のところにこいつらいるな?」
気配が爆発的に増えている。
俺以外のところにも走っているみたいだから、その向かっている方にだけかいるんだろうが・・・
「まぁこの程度じゃ誰も負けない・・・苦戦もしないかな?」
「ガウ!!」
「うるせぇ!!」
偶々一匹蔓の鞭の軌道上にいなかった個体が近寄ってくるが、何かされる前に鉄球を放ち頭を撃ち抜く。
じりじりと数が多いから、魔法で動かす蔓の鞭だけではじりじりと距離を詰められている状態だが、まぁまだ余裕はある。
腕から蔓をさらに増やす。
大体手首のあたりから生えているような形になっているから、何かこういう怪獣になった気分。
「щ(゜Д゜щ)カモーン」
さてさて、どれくらいで終わるかな?
こうしてフミが戻ってくるところまで戻る。
「んで?誰がいた!!」
「ニホリ達や!カルちゃんともうこっち来とる!」
「あら。まぁそれもそうか。カルちゃん早いし」
主に走る速度も速いが、ジャンプも速い。
そしてお腹のポケットの部分にニホリが入っているんだろう。
「他の皆は!」
「え、いや・・・あれ」
「うん?」
蔓が増えてフミも戻ってきたから、視線をコボルト達から動かしてフミも指さした方向を見る。
まず右、上空から雷が降り注ぐ。
左、大きな炎が森を焼き払う。
前、大きな竜巻が存在。
後ろ、たった今カルちゃんが降ってきた。
「おお!?」
「ぐぅぉ!!!」
「うー!!!」
「びっくりした!?」
あやうく蔓で撃墜するところだった。
ニホリもカルちゃんも特にダメージはなさそうだ。着地もうまくいったみたいだ。
「大丈夫だったか?」
「う!」
「ぐぅ」
「ありがとなカルちゃん」
「ぐぅぐぅ」
「はい?前だけ止めて?いいけど」
戻ってきたカルチャンは蔓の鞭を止めてくれと言ってきた。戦う気のようだ。
特に問題はないので蔓の動きを前だけ止める。その瞬間に隙を伺っていたコボルト達が数体向かってくるが
「ぐぅお!!」
カルちゃんのパンチが炸裂。
俺でも視認がやっとの速度で頭を的確に殴り、コボルトの頭を爆散させた。
「あらー」
「おお」
「うー」
「ワフ」
「だな・・・コロちゃん!?」
「ワン」
ただいまーじゃないですよ。
「え?いつのまに?」
「??ワン」
「さっきってま?」
「え?恭輔気がついとらんかったの?」
「う?」
「えぇ」
カルちゃんが戦い始めたのを見ていたら、気がついたらコロちゃんが戻ってきていた。
無事だったようだが、確かしーちゃんと一緒じゃなかったか?何かあったのか?
と思ったら先に来ただけのようだ。しーちゃんがゆっくりと歩きながら雷を降らせてこちらに向かってくるからうるさくて先に来たらしい。
雷は周囲のコボルト達を丸焦げにしながら周囲を焼け野原にしているらしい。
「ところでしーちゃんの毛に包まれた感想は?」
「ワッフ」
「ああー」
自分の毛と合せて暑かったそうです。
しかし、地味に着地が一番不安だったコロちゃんとしーちゃんが全く問題ないとなると本当に皆そこまで深刻な様子ではないか。
まぁ戦っている様子から皆元気なのはわかってたけど。
現在進行形で本気暴れしてるみたいだし・・・ストレスたまってか?
「ワン!」
「え?派手な魔法を最近使えなくて魔法組が?」
「あー、確かに最近は恭輔ばっか戦っとったからなぁ」
「うー」
「あ」
なるほどそのせいね。
しーちゃんがゆっくり歩いているってのもそれが原因か。
ねっさんは魔法組じゃないけど、戦うの好きな子だから普通に相手が全滅するまで終わらないだろうし。
「ハァ。まぁ怪我無いからいいか」
「本当ですよ。今度からは私が見てからああいうのは採ってくださいね」
「反省してます・・・おお!?」
「あ、ただいまです」
ポヨネもひょっこり返ってきた。
なんだ、うちのイヌ科はひょっこり帰ってくるのが流行りなのか。
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