351話
お盆休み何てなかった
「え、猟犬にしたいの?」
「え?そういう話では?」
「え、どこからその話が」
「だって恭輔さんがお世話しなくても生きていけるようにって」
「違う。そうじゃない」
俺はあくまでも自分でお金を稼げる子にしたいのだ。
その為にダンジョンで戦えるようにするって話で。このまま自然に返すとかそういう話ではないし。それやっちゃだめだし。
「あ!そういうことだったんですね」
「まぁやることは猟犬・・・猟犬?と同じだからいいんだけれど」
「あくまでも飼い主は恭輔さんでいいんですね?」
「そらまぁ。管理責任者は俺でよ?可能ならこの先も引き取るであろう子達も含めてテイムしたくらいだし」
「出来ないんですか?」
「なんか数に制限あるみたいでな?今だと20匹くらいしかできないみたいで・・・」
「十分なのでは?」
俺の野望。基目標を叶えるには少ないくらいなんだけど。
まぁ実際問題全部をテイムするのは無理だろう。今考えているのは、引き取った子たちの中でリーダーを決めてその子達だけをテイムする方法だ。
それでテイムした子たちが他の子達をちゃんと見るって形。基本的なお世話は俺とかがやるって感じ。
まぁ教えれば特にお世話することもなくなりそうなんだけど。うちのコロちゃんとか今トイレとご飯のお世話以外は自分で出来るからな。
トイレも庭でやった場合は勝手に埋めるし、ご飯もドックフードでいいなら勝手に容れ物開けて勝手に食べれるんだけど。
あれ、これ別に俺が何もしなくてもいいんじゃ・・・
「それはそれで悲しい!!!」
「おお!?」
「あ、ごめん」
「何考えてたんですか・・・?」
「いや、コロちゃんが独り立ちしてどっか行っちゃうとか」
「今の一瞬で何が!?」
盲点だった・・・手がかからなくなるってことはそういうことじゃんか・・・あれ、やめよっかな・・・
「・・・まぁコロちゃんがどこか行くことはないと思うので杞憂なのでは?」
「そうかな?本当に?」
「どんだけメンタルやられてるんですか・・・ちなみにすらっぴが出ていった場合は?」
「泣きながら追いかけれる」
「重症だ・・・あ、前からでしたね」
「コロちゃ~ん」
「・・・ワフ?」
俺の弱弱しい声を聞き取ったのだろう。
階段を上る音が聞こえ、俺の部屋までコロちゃんが来てくれた。
「うぉ~コロちゃ~ん・・・」
「ワン・・・ワン?」
「あ~コロちゃんが出て行っちゃうことを考えたみたいでして」
「・・・」(ペロペロ
「お~んくすぐったい」
「・・・ワフ」
「え?私も?」
コロちゃんに抱き着きながら舐められながら。時々ポヨネにも舐められてご満悦な俺。
恐らくニホリにはこの瞬間の俺の状況が伝わっていると思うが・・・まぁいいか。
「あ、そうだ思い出した」
「ワフ?」
「何をですか?」
「いや、あの子らにそろそろ名前でもと思って」
「・・・あ、そういえば名前なかったですね」
「教えてる時は何て呼んでるの?」
「いや、特には・・・母親の名前はルミネさんって言うんですけど」
「それは知ってるけど。子供は?」
「・・・ワン」
「あー、そうか。いちいち呼ばなくても言うこと聞くからか・・・」
今の今まで名前なかったってのも驚きだけど、それでどうにかなってたのが驚きだわ。
・・・あれ?本当に名前ないのか?
母犬は前の飼い主につけられたんだろうけど・・・
「あ、やっぱり名前つけてたな」
「だって恭輔つけないんだもん」
「それを言われてしまうと何も言えん・・・」
やっぱり母さんがつけてた。
母犬含めて6匹。母犬はルミネ。子供たちは長男からいーちゃんつーちゃんすーちゃんよーちゃんごーちゃんだそうです。
わかりやすいな。
「長男から数字かい」
「可愛いでしょ?」
「まぁ響きはかわいいな・・・」
「「きゃんきゃん!!」」
「なんだなんだ~俺に媚び売ってもおやつが豪華になるくらいしかないぞー」
「うー」
「それ見返り言うんやないんか」
「あら?もう出来たの?」
「うー!」
「今日はそーめんチャンプルーやで~」
「あら~涼しくていいわね~」
「・・・なんで今年のファーストそーめんは普通のじゃないんだ?」
「う」
「そうですか・・・」
足元の子犬達。君らはまだお昼ないんだから遊んで来なさい。
「ちょ、登るのか・・・まぁいいか」
「ええんか?」
「うーうー」
「・・・まぁ確かに恭輔誰かしら抱えてても汚さんわな」
まだ子犬たちはお昼ご飯を食べさせていない。食べさせちゃうと太っちゃうし。
コロちゃん達が食べてる理由はそうしないとダンジョンで戦うのにエネルギーが足りないからだ。
魔力の消費は体力ではないが、魔力を回復させるのにはカロリーがいる。正確には、ちゃんと食べて休まないと全快しないってことなんだけど。
動けば動くほどご飯を食べないとやっていけない。俺達と一緒だな。
まぁ子犬たちもダンジョンに入るようになれば食べさせるんですけど。
「そういえば、いつから潜らせるん?」
「ん~・・・まだ体出来上がってないからなぁ。まだしばらくはって感じかな」
「大人になるまで待つん?」
「いや、そこまでは待たない。大人になるまで待っても数年だからいいっちゃいいんだけど。教えるなら子供の時の方がいい」
「あ、覚えがええんのは変わらんのやな」
「そうね~。みーちゃんも子供のうちにちゃんと教えたからああなったわけだし」
「あれは虎の教育ではないかな」
あれは猫に対する教育の結果だと思うのですよ母上。
だが、子犬たちは潜らせないが。母犬、ルミネはそろそろ潜らせようかと思う。
子供たちに教えるのなら母親の方がいいだろうし。これから先の事を考えるのならルミネはテイム予定だからな。
ちょうといい具合にモンスターの弱いダンジョンを走り回っているわけだしな。ユニちゃんの時もあったらよかったのにねぇ。
「・・・?」
「呼んでないぞ」
「・・・う?」
「今何か喋ったんか?」
「いや、多分俺が庭を見てたから反応しただけでしょ」
「や、今完全に呼んだ~?って来とったような・・・」
「気のせいでしょ」
よし。そうと決まったらマジですぐに潜らせるか。
そうだな・・・準備考えて3日後かな。




