349話
昼分です
新ダンジョンは、下の階層に降りるための階段を中心に広がっている。
だから、下に行きたいだけなら中心部に向かってまっすぐ歩けばいい。広いからちんたら歩いてたら時間かかるけど。
それにまだワープ部屋も見つけてない。いちいち移動するのが面倒なのは間違いない。
「そもそも、前のダンジョンだって10層ごとにあったやつはともかく、5層ごとのはニホリが教えてくればきゃ見つけられなかったし」
「うーうー」
「だよなぁ。多分こっちにもあるんだろうけど・・・」
流石のニホリもこっちのダンジョンの仕様は知らないから、ワープ部屋があるのかないのかわからない。
悲しいことに。今俺達が攻略出来ている9層まで毎回毎回階段を下って行かなきゃいけない。
ただ、潜ることを目的とさせるだけなら、確かにワープ部屋なくてもいいんだよなぁ。欲しい物があれば人間は勝手にダンジョン来るだろうし。
まぁそんなわけで、攻略が進んでいません。めっちゃゆっくり。
まぁなんだかんだで10層までは来た。
前までのダンジョンならここで強いボスがーとなるところだが、そもそもボス部屋ないしな。
ただ、ここのモンスターはちょっと懐かしい顔ぶれだった。
「ガァァァ!!」
「あ、オーガさんじゃないっすかちすちっす」
「うー!」
「ガァァ!!」
「返事したねあれは」
「いや威嚇やろ」
冗談だよ。
9層がゴブリン一杯だったから、もしかしたらと思ったんだけど正解だったな。
ちなみに、ゴブリンは魔石しか落とさない。まぁ着てる腰巻とか汚そうだしいらないんですけど。
オーガは角が生えてるから、魔石か角かの2択だろう。角だったら武器に使えるんじゃないかな?知らんけど。
肝心の戦闘だが、一瞬で終わるよ。当然だろ。
コロちゃんが高速で近寄ってバラバラにして終了だよ。面白いことなんて何もないわ。
あ、角ドロップした。
「槍の先とかに使えんのかなこれ」
「まぁええんちゃう?恭輔は使えんけど」
「かなしいな」
「ワフ」
まぁそんなもんだ。前のダンジョン換算でも1桁のモンスターだもん。そら使えんわ。
後、ずっと前から思ってたけど・・・
「ここのダンジョンモンスター弱くね?」
「ぴ~」
「きき~」
どうやら俺だけは思ってたわけではないようで。
1層の時から思ってたけど、ここに来て確信至った。同じオーガでも前の方が強い。難易度落したんだな。その分魔石の量は手に入るって感じみたいだけど。
サイズ小さいからなぁ・・・だから弱いのか?魔石のサイズで強さがって考えると、うちの子達大変なことになりそうだけど。
「あ、でも前の方は宝箱でしか手に入らんか」
「純粋には比べられませんよ。別のダンジョンですし」
「そういうもんか?」
「そういうもんやな。そもそも、うちらからしても全くの別もんにしか思えへんもん」
「るる~」
「そうなのか・・・」
なんだろう。俺で言うところのアメリカみたいなものか?
海外って意味で、地球上にはあるんだけど全く知らない的な。
その後も中心部まで歩きながら何かないかと探していた。
あ、10層は岩山みたいな場所ね。洞窟とかもあったよ。
鉱物でも獲れんのかと思ったけど、何も手に入らない。てか、それっぽい物がなかったのだ。
ただ階層ごとになんかしら採れたりするから、俺の知識不足な可能性は否定できない。
山を掘れば何か出てくる可能性も否定できないし。
ただ俺の仕事のメインは各階層の状況を把握することであって、そこでの収穫ばかりに気を取られるわけにもいかんのが現状だ。
時間もないし。そこそこで切り上げて階段に。
ただ、下った先は今までと違った。
「・・・扉だな」
「扉やな」
「うーうー」
「るる」
階段を下ると、すぐに次の階層が広がっているから、扉何てないんだが、なんかあった。
つまりだ、この先は一回通ったら何か終わるまでは出れませんよってことだ。
「・・・ボス?」
「ボスやないの?」
「ボスじゃないですか?」
朗報、ここに来て新ダンジョンにボス発見。
何気にうれしい。
なにせボスがないと宝箱もないのだ。いや、本当にないのか知らないんだけど、少なくとも今までのダンジョンはなかった。
スキルスクロールの可能性は低いが、それでもやっぱり宝箱開けない。
早速乗り込もう。ここで止まる意味はない。
重い音と主に、扉を開ける。
扉の先は洞窟の広間と言った感じの広場が広がっていた。
そして、奥の扉の前には既にモンスターがいた。
・・・オーガ・・・だよな?様子がおかしい。てか、見た目もおかしい。通常のオーガの体は緑色をしている。
だが、奥のオーガは青いのだ。それが3体。
「・・・もしかしてもしかする?」
「・・・いやぁ。ダメですね」
「ダメかぁ・・・」
ちょっとは面白いんじゃないかとおもったが、ポヨネの鑑定的にダメみたい。
要するに、めっちゃ弱い。ああいや、多分通常のオーガよりは強いんだろうし、階層相応の強さはあるんだろうけど、俺達基準で見たら弱いと言うことだろう。
「じゃあ俺一人でいいか。手出しダメね」
「ぴー」
「き!」
「ちゅちゅ!」
「・・・めぇ」
「うー」
「るる!」
「ワフ」
「ぐぅお」
「うわ余裕ぶっこいてるよ」
「そらまぁそやろ」
どんだけーって感じ。まぁいいけど。
ちなみに、返事さえしないふーちゃんとかは寝てるよ。ユニちゃんに乗っかりながら。
ユニちゃんは起こさないように何も言わないだけね。
俺だけが前に出てきたことで、なめられたと判断したのか楽勝だと思ったのかは知らんがオーガ共が騒ぎ始めた。
手には何も持ってない。拳で殴り合うタイプのオーガさんらしい。俺それしか知らないけど。
じゃあ俺も魔法なしでいいか。
碌に練習もしてないから、見よう見まねだけどボクシングみたいに構える。
なんだっけか、動画でみたのはカウンターのやり方だったからその構えになっているけど。
実際力押しで3体とも殴り殺すのもできるが、それではつまらない。こういうモンスターで、色々試して経験は積んでかないとな。
一定のリズムで軽くつま先で飛びながら相手の出方を伺う。
まぁ相手は思考能力があるのかないのかわからんオーガだから、こちらの動きに関係なしに襲い掛かってくる。
流石に3体同時に攻撃とかはしてこないようだ。
先ず手前の1体の拳を下から殴って逸らすことで腹をがら空きにする。そして回し蹴りを腹に当てて吹き飛ばす。
すると後続の2体が左右から手を伸ばしてくるので、片方の懐に入り込みながら腕をすり抜け、無防備な顎に向かってアッパーカット。
倒れていくオーガを最後まで確認せずに残りの1体に急接近。
流石に間合いは相手の方が長いので、オーガがまっすぐに殴ってくるが回避することなく受け止める。
「ガ!?」
「背負い投げー」
別に指振ったりしないけど。
掴んだ拳を引いて腕ごと持っていく。そのまま一気に振り返る要領で投げる。
俺の筋力とオーガ自身の体重が重なった。さらに受け身も取らせないように投げたから、地面に勢いよく叩きつけられた衝撃をもろに受けてしまったようだ。
それだけで、残ったオーガは消えていった。
「さて残りは・・・あれ?」
「ワフ」
「え、最初の1体は加減した・・・はず」
「恭輔さん強くなってますからねー」
「は?最近は大して・・・ティラノか」
どうやら加減を間違えていたようだ。
最初の1体は後ろにいたから出来る限り早くどかしたかっただけなのだが、まさかあれで終わっていたとは。
確かに、オーガの姿はどこにも見当たらない。
コロちゃんが近くによってきたってことは、マジで終わりなんだろう。
なんか・・・少し消化不良かもしれんぞこれ。
「うー!」
「むー・・・フミー帰ったら1戦おねがーい」
「えぇ?どんだけあかんかったんよ」
「あまりにも何もなくて・・・」
ニホリが宝箱開けて何か掲げてるけど、まぁ大した物じゃないでしょ。
ニホリの流行りなんだよ。宝箱開けて中身掲げるの。
とりあえず、帰ったらフミに付き合ってもらうか。
じゃないと狼犬とかコロちゃん達より先に俺が運動不足になるわこれ。
・・・はぁ。新しいダンジョン。いろいろ手に入るのはいいんだけど、モンスター弱いのはやっぱりヤダなぁ・・・
下に行けばいいんだろうけど、時間かかるし。
ワープ部屋ないかなー・・・
「うー!ううー!!!」
「何ニホリーどうせいつものよくわからん雑貨類でしょー」
「う!」
「なにさもう・・・ん?」
ワープ部屋権利書・・・うん?




