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347話

小学生以来久しぶりに歯医者に行きましたが虫歯も見つかるという

「上手い具合いに抜けたから、多分数日で治せるわ」

「まだダメなのか?」

「んーダメって言うか。俺も初めて知ったんだけど、精霊の魔力自体はなくしたけど、魔力の影響が残っててさ」

「それが残滓なんじゃないか?」

「違う違う。残滓は魔力の残りカスのことで、精霊本体が長期間いた影響があるってこと」

「体に残る固い部分のことか」

「それ。まぁ自前の魔力でどうにかできれば俺いらないんだけど、念のためもう1回って感じ」


最初に見た時に1月かかると言ったのは魔力を抜くのに時間がかかると思ったからだ。

精霊自体がいなくなった影響で、魔力が体中に散ってしまう恐れがあった。そうなると大変だ。追い出すのにも吸収するのにも時間がかかる。ソフィアさんの体の事を考えると、長時間の治療は無理だ。


「それが魔力が一か所で動かないんだもん」

「それが急に期間が短くなった理由か」

「そそ。1回で全部吸収出来ちゃったのよ」

「そんでもって、悪さすることっもなかったしなぁ」

「本当に見てただけでしたね私たち」

「ううー」

「まぁそうですね」

「はぁ・・・世界中の医者がさじを投げたんだがな」

「あれは仕方ないよ。医者じゃ治せない。冒険者・・・いや。俺だから治せたかな」

「そこまでか」

「それだけ俺が飛び出てるんだよ」


実力もあるけど、贔屓具合もな。























ソフィアさんを治療した結果・・・体に変化なし。

俺の体内に人を侵食する精霊の魔力を取り込んだけど、本当に何もない。

元々女神にはそう言われてたけど、実際こうも何もないと拍子抜けと言うかなんというか。

まぁ悪いことはないに越したことはない。


だけどなんというか、少しだけ精霊の魔力に慣れたというのだろうか。

ふーりんちゃんやカルちゃんの魔力を感知しやすくなった。家のどこかでピッちゃんが召喚すればすぐに気がつけるし、戦闘中も2体の動きがより鮮明にわかるようになった。

これはいいことだな。吸収した影響ではないけど。



「ぐぅお!!」(シュッシュ

「相変わらず速いなぁ」

「ぐぅ?」

「いや。パンチの速度。めっちゃ機敏と言うか」



カルちゃん達の動きが鮮明にわかるようになったということは、彼らの動きに対応する魔力の反応もわかるようになると言うこと。

実際に目の前で動きを見てみると、カルちゃんとふーりんちゃんの違いが良くわかる。


「カルちゃんはこう・・・シュパって感じに魔力が動くのよ」

「ぐぅ」

「ふーりんちゃんはくねくねしてる感じ」

「・・・ぐぅ?」

「いや、その魔力の感じがお前らの動きに繋がってるんだからな?」


本人はわかってないみたいだけど。

魔力自体の動きとしては、コロちゃん達や俺も含めて体が動けば魔力も動く。

精霊達は逆なのだ。魔力が動いて体が動く。

魔力の動きそのものが、強さに繋がるのだ。まぁ動けば動くほど魔力を消費するってことでもあるんだけど。俺達は使ってはないから減りはしないけど。

俺が感心したのは、パンチを繰り出す際の魔力の動き。動き出すまで全く動かないのに、その瞬間だけ一気に動く。

前動作や予兆がないから、目で見るのも感じるのも難しい。


「それがすごいなぁって」

「にゃー」

「そうなのよ・・・いつからいた」

「にゃ」

「えぇ・・・」

「ぐぅお?」

「これは・・・性格だと思うわ」


ふーりんちゃんが自由自在なのは性質なんだけど、神出鬼没なのは性格だわ。

気がついたら俺の後ろについてきたりするし。


「ところで何かあったの?」

「にゃ~」

「はい?新入り?」


後ろについてくることは多々あっても、話かけてくることはそこまではない。

話かけてくる時は、何か用がある時。

新入りってことは、うちの庭に入ってくる野良猫が増えたってことなんだろうけど・・・


「最近うちの周辺にいたっけ?」

「にゃ?」

「いや、買い物には時々行くからその時に。あと鳩に聞いたり」

「ぐぅお?」

「そうそう。あいつらめっちゃ色々見てるから」


うちの庭なら天敵が寄らないからってめっちゃいるし。

ほら、今もそこの木の上に何羽かいるでしょ。あの子達。


「ぐぅ~」

「まぁそんな感じ?だから野良猫の情報も割と来るんだけど・・・」


見過ごしたか?珍しいと言えば珍しいけど、ないことではないしな。


「んで。その新入りはどこに?」

「にゃ~」

「・・・」


明るい茶色の毛並みに短い手足。

マンチカンだこの子。

・・・はい?マンチカンの野良猫?


「んなバカなこと・・・いや、ありえなくないのか?」

「・・・ニャ」


気安く触るなと言われても確認したいことが・・・避妊手術はされてるのか。跡が微妙に見える。

となると飼い猫だったわけだ。この付近にマンチカン飼ってた家なんてあるか?親父の影響でここの周囲の家で人たちはペットを捨てるなんてことはない。

となると、最近ここら辺に越してきた家か、もっと遠くから来たか。

だけど、遠くからって感じはないな。体が汚れていない。虫も付いてないし。


「・・・こいつ野良じゃないな」

「にゃ?」

「多分勝手に家から出た子だわ。返してやんないと」


どう考えてもそうだろう。まず最近ここら辺に引っ越してきた家なんてないし。

遠くから来た感じがないのならそうなのだろう。大方、ちょっとドアが開いてたとかそんな理由か。

家猫の癖に外に出るなんて勇気ある子だな。まだ小さいからわかんないだけかもしれないけど。


「・・・どっちにしろマンチカン飼ってる家に心当たりなんてないわ」

「にゃ?」

「練り歩く」


気合で、歩き回る。

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