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344話

熱い日が続いてやばい

チャールズ教授・・・の娘さんが精霊に憑りつかれた。

その精霊は、憑りついた人間の魔力を吸収。最終的には体が変質して殺される。

精霊自身に、人を殺す意図はない。だが、魔力を吸うという目的のみを持つ存在であるから、死ぬまで魔力を吸い取り続ける。

体に魔力がなくなっても、どうやってるのかはわからないが、体を変質させて魔力を絞り出すって感じらしい。


「んま、今は取り除いたから、しばらくは大丈夫なはず。薬も飲ませたし」

「・・・そうだな」

「ま。まだ娘は治っていないのかい?」

「治ってないっていうか・・・治せないんです。かなり長期間憑かれていたせいか、深い所にいたんです」

「どの病院も、原因がわからなかったのは?」

「精霊は、見方を変えれば魔力の塊だから。機械じゃ見ることもスキャンすることもできない」


魔力を持っていないと、その存在は見えない。

それに、持っていたとしても隠れられると発見率が低くなる。

俺以外にも魔力を持った人間が彼女を見ただろうに、全く見つけられなかったのはそういうことだ。

まぁ実際に見たかは知らんが、ダンジョンに一人で入ったことはないだろう。


「時間はかかるけど治せる・・・ってこの話したな」

「俺にだけな?」

「それもそうか」


ともかく、命の危機は回避したと言える。

気になるのは、そんな精霊見たことないってところなんだけど・・・レア個体なら仕方ないか。

階層ごとにいるモンスターは決められているが、それに縛られない個体がレア個体。うちでいうならロラちゃんみたいな子がそうだ。

本来はその階層にはいないモンスター。それが故に、特殊な能力を持つ個体が多い。


「ただ、俺だけだと判別つかないから。ポヨネに見たもらいたいんだけど」

「構わないですか?教授」

「何でもかまわんとも!君が来るまで、娘を治せると言った医者はいなかったんだ!!」

「・・・医者じゃないっすけど」


それにしても随分日本語上手いなこの人・・・まぁ論文読むのとかで必要なのかもしれないけど。


ただ、この人にポヨネの人型を見せるわけいかないし、普通に喋れるのを知られるわけにもいかない。

犬の状態で、普通に犬語でしゃべってもらわねば。


「んなわけでよろしく」

「・・・わん」


やべぇただわんって言っただけだ。


場所を戻して、薬品室の奥の部屋に。

さっきよりさらに顔色が良くなってる。数か月間あの状態だったのなら、かなり魔力が多い方のはずだけど。

だからこそ、短時間で魔力回復薬の効果が出ているのだろう。


ポヨネを抱えて、顔から足まで細かく見させる。


「どうだ」

「・・・s・・・わん」

「そうか」


やはりまだ体内に残っているみたいだ。

カルちゃんに潰してもらったのは、あくまでも一部に過ぎないようだ。正確には、精霊の大元はいないが、長い期間憑りつかれていた弊害で精霊の魔力が残っているみたい。

完全に取り除かないと、ここからまた魔力を吸収して復活してしまう。


「わんわん」

「回復薬?ロラちゃんがここにあったのを無理矢理強奪して、後は予備のやつも強奪した」

「わん!」

「残りも?大丈夫なのか?」


すぐにではなくていいらしい。定期的に飲ませればとりあえず何があってもしばらく持つようにはなるみたいだし回復も早くなるみたいだ。

俺の見立てだと1月はかかると思ったが、ふーりんちゃん達に手伝ってもらえば短縮できそうかもとのこと。

薬の飲みすぎで悪影響とかも出るわけじゃないみたいだし。


「ありがとな」

「・・・くぅーん」

「・・・本格的に犬になってるぞポヨネ」

「ハッ」


気に入ったのだろうか犬扱い。


さて、見てもらってあれだけど、ポヨネをこのまま連れていくわけにも行かない。

ニホリに来てもらってそのまま預ける。

そして俺は所長室に戻って結果を伝える。結果を聞いた教授さんは大喜びだ。治る見込みのなかった娘に希望が見えて、それも1月で・・・早ければもっと短期間で治ることがわかったらそうもなるだろう。

明日くらいには起きるかもと伝えると、ここの客室に泊っていくと決めていた。

偉い教授さんだから、仮眠室的なところでいいのかと親父が聞くと、


「大丈夫だとも。慣れてるからね!」


だってさ。研究者ってのは確かにそういうの多そうだよな。


そんなわけで、お客さんを1人に出来ないと、親父も今日は研究所に泊ることに。

俺たちは家に帰ってきた。


「ただいーま」

「おかえりー」

「・・・まぁ母さんと一緒なんですけど」

「だってパパお泊りなんだもん」

「関係あるのだろうかそれ」


フミは姉ちゃんと一緒にずっと喋っていたらしく、俺と合流する時まで全く俺の状態に気がついていなかったようで。


「え?寄生型の精霊駆除できたん?」

「知ってたのか」

「そらまぁ・・・うちも1回しか見たことないんやけど。あん時大変やったで」

「憑りつかれたのか?」

「ヨミがな。まぁすぐに気がつけたから簡単に駆除できたんやけど」

「どうやった?」

「魔力流して追い出して、外に出たのをぱーんと」

「ああ、カルちゃんも同じ感じだったわ」


捕まえて、右腕が唸ってた。

だがフミも見たことあるんだったら今度はフミにも見てもらおうかな。あ、ヨミの方がいいかも。


「いや、普通にふーりんちゃんとかに聞いた方がええと思うけど」

「・・・えぇ」

「めっちゃ疑ってる顔やん」


疑うと言うかなんというか・・・フィーリングで生きてるふーりんちゃんに今回の事がわかるのかって話が・・・もとはピッちゃんのスキルの子だから知識はピッちゃんと一緒だし。

・・・とりあえず聞いてみるか。


「どうっすか?」

「にゃ」


ダメみたいですね。

だがまぁ。ふーりんちゃんがいればあの精霊を体の中から追い出すことはできるのだ。

不定形の猫精霊。人間の体に入れるのって地味に初耳だったんだけど。あ、それ攻撃に使えそうだな・・・


ってそれはいいか。

実は、親父にある動画を渡されている。

あの人が精霊に憑りつかれた際の動画だ。その時に何があったか、資料として見といてくれってことらしい。

てか、資料ってことは完全に俺がお医者さんなわけね。確かに治せるのって俺くらいなものなのはそうなんだけど。


俺の部屋に1人で戻り、早速再生する。

この人は4人で潜っている人たちみたいだ。

それに、数か月前ならかなり浅い階層なのだろう。

普通にモンスターを倒し、進んでいるとそれは現れた。


ふーりんちゃんとカルちゃん。それに、モンスターとして出てくる木霊達と比べるわかる。

動画越しに見ても、あれは良くない存在だ。

俺は、精霊を自然が魔力を持って形をもった物という考えを持っている。

だがあいつは違う。もっと・・・精霊として形になる段階で何か異物が混じった感じ。そのせいで狂っているのだ。


「・・・なんだこいつ」

「まぁその子はそういう子なのよ」

「ッ!?・・・なんだよ。あんたか」

「あらぁ?あの子の方がよかった?」

「あいつだったら扉をノックするだろうから驚かないしな」

「・・・あの子本当に丁寧になったわね」

「じゃないとニホリにお菓子貰えないし」

「餌付けされてるのだわ・・・」


しゃーない。

それにしても、何してきたんだ?


「暇なのか」

「あの子と一緒にしてるわね?」

「だってぶっちゃけあんたらから聞かされた目的考えると、今って暇なんじゃないかと」

「うっ・・・確かに暇なのだわ」

「やっぱりかよ。んで?俺がレア個体の精霊を見てるから遊びに来たと」

「そうなのよ!その子の話・・・というか、精霊の話をしてあげるのだわ!!」

「お」


普通にいい事を聞けるかもしれないぞ。

・・・この人なんて言えばいいんだろうか。毎回毎回呼び方変えちゃってるけど、そろそろ固定したいな。


「なんて呼べば?」

「んー?・・・女神でいいわよ?」

「あ、はい」


まぁそのあたりの存在なんだろうなとは思ってたけど・・・いや、なんか違うな。もっとでかいんじゃないかこの人。

なんか・・・『土魔法』を使う時にも似たような感じが


「ストップ」

「あ?・・・うん?」

「うーん。やっぱり見に来て正解だわ。あなたなんか今日変なことなかった?」

「変って・・・なんなら今変だけど。あれだな。この精霊に憑りつかれた人の治療したけど」

「その時、知らない知識を思いついた?」

「来た来た・・・あ、お前のせいか!?」

「まぁ結論だけいうと・・・そうなるのだわ」

「何してくれとんねん」


また俺に何かしたのか。


「前にやったことが今出てきたって形なの。知識が来たのは・・・そうね・・・見えない辞書を引いていたようなものなの」

「はぁ?」

「もう少しあなたが強くなったら、教えるわ」

「まだ上・・・ああ当然か。まだフミのいた階層に行けてないし」

「フフフ。仲いいのね」

「当然だろ」


まぁ今度教えると言われたことを今聞く必要はないか。

こいつらは特に俺を害そうとして何かしてくるわけじゃないし。きっと今回のこれも、大丈夫だろう。


「じゃあ精霊の話してくれる?」

「わかったわ。まず、精霊は正確にはモンスターじゃないところからね」

「・・・おおう」


しょっぱなから飛ばしてくるね

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