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337話

昼分です。夜はおまけにします


「まぁ待て。喜ぶのはまだ早いぞ」

「はぁ?もはや何を頼まれてもやる所存なのだが?」

「いやな?お前の戦い方に少し注文をしたくてな」

「バッチ来い!」

「魔法に名前を付けろ」

「・・・さぁ来い!」

「いやだから、お前の使う魔法に名前を付けろと」

「ナンデ!?」










「とまぁそんなわけで名前をつけなければいけなくなった」

「1年戦ってきて今更言われるんかそれ!?」

「う!?」


俺もびっくりだよ。


親父曰く、名前を付けることで見た人間に強く印象付けようということらしい。

確かに、武器を使うことはあるけどそれも大体力任せ。魔法は規模も威力も大きいけど、発動タイミングがわからないので動画で見るのだといまいちすごさが伝わりにくいのだとか。急に大岩が空中に現れるのはすごいけど、アピールを含めて技名は合った方がいいとかなんとか。

あと、俺の出した結果じゃないんだけど。魔法は名前を付けた方が発動が簡単で威力も上がるらしい。魔法を使える冒険者なんて世界全体で見てもすくないからどこまで信用できるのかわからないが。


「それに、いつ発動するのかわからないから何回か見ないといけないとかで」

「それに、人に見せて、それを参考にしてもらうなら名前はあった方がいいですね」

「マジ?」

「だって、その方がわかりやすいじゃないですか。あ、今の攻撃はこの魔法だなって」

「ああー」


数学とかの法則に名前が付いてるのと同じ感じか?知らんけど。


「でもまぁ、1年経って今かというのは思いますけど」

「いや、俺も最初は名前つけてたんだよ」

「あれ?そうなん?」

「・・・うー」

「ほら、なんちゃらランスーとか、なんちゃらクラスターとかそんな感じ」

「では、何でなくなったんです?」

「いや言わなくても使えるし、その方が早いし」

「あ、それはわかるわ」

「そうですね」

基本的に、俺は前に出て動き回ることが多いからな。その状態で魔法の名前なんて行ってたら口の中噛むは。

後、言い切るより考えた方が発動も速いからな。基本、魔法一番大事なのは威力ではなく速度だ。それがないと、様々な状況に対応できない。


「だけどまぁ、言われてしまったので名前を付けます」


全部につけろってわけじゃないし、まだ楽だな。

俺が良く使うやつにだけ名前を付ければいい。


「そんなわけで、手伝って」

「はーい」

「うー」

「・・・大丈夫かな」


親父から預かったカメラ、中には俺が魔法を使っている場面を集めた動画が入っている。

まず俺が一番使う魔法。鉄の槍だ。これを高速で撃ちだして使うのが汎用性高いし普通に強い。

これを持って武器としても使える。


「まぁこれは普通にアイアンランスでいい気がする」

「ええんやないの?そこまで凝った魔法でもないしな」

「う?」

「え?そんな最終奥義っぽい物つけるの?」

「ポヨネちゃん。そう言うのはもっと派手なのにつけましょうよ」

「う!」


とは言っても俺の魔法で派手なのってない気がするんだけど。

お次はこちら。


「拳を作る魔法やな」

「アイアンナックル」

「う」

「見た目で判断できる奴はそういうのでいいか」


これも撃ちだしたりできるんだけどな。ロケットパンチ的なってかそのものが出来る。

でもまぁ、ほとんどは腕に纏わせて使っている。魔法で作ってるから、動かす時は筋力+魔法の勢いにできるから大体のモンスターをひき肉にできる。


そんな感じに次々に魔法を決めていく。

全部で10個ほどの魔法に名前を決めたところで問題の魔法に

地面を広い範囲でひっくり返す魔法だ。


「これどうするよ・・・」

「うーん」

「これは・・・」

「う?」

「すまん。そういうのはちょいと・・・」


俺は炎出せないから黒き炎ーとかそういうのはできないんすよ。

土竜とかそれくらいならできるけどな。


「ちゃぶ台返し」

「ダサい」

「う」

「だから黒から離れてニホリ」

「大崩壊」

「荷が重いわ」

「うー」

「龍からも離れろ」

「えー。全く思いつかんのやけど」


そもそもとして、あの魔法はひっくり返すというか地面を持ち上げるだけの魔法なのだ。

規模の大きさは俺の魔力のほとんどを消費することで可能にしているだけで、正直これに名前を付ける気がしない。


「ならつけなくてもいいんじゃないですか?」

「そうなんだけどさぁ・・・この際だからと」

「ああそういう・・・」

「なんか将来『土魔法』を俺以外が手に入れた時の参考資料にしたいらしくってな?使う頻度が多い魔法にはとりあえずつけとけと」

「ああ、動画関係なくってことですか」

「そういうことなんですよポヨネさん」

「それは・・・困りましたね」

「ほんとそれな。大した魔法でもないからやる気は出ないし」

「・・・後回しにしませんこれ?」

「・・・ニホリとフミもお手上げ?」

「無理や」

「う」

「だよなー・・・しゃーない。後回しと言っても、次で最後なんだけど」

「あら?そうなんですか?」

「だって俺大体槍作るか拳作るかの二択だしな。ああ最近パイルバンカーみたいの使うけどあれはそのままでいいしな」


実在の武器がモチーフの魔法は本当にいいな。そのまま名前にすればいいし。

最後の魔法、ある意味で問題作。

やってることはアイアンランスなのに、異質すぎて別途名前を付けろと言われた物。


「うわぁ。こんなの使ってたんですか恭輔さん」

「あれ?見たことない?」

「ないですよ。私中級にはほとんど行ってないですし」

「あー。それもそうか」


最後の魔法はアイアンランスが大量に生成されて敵に向かって一気に降り注ぐ魔法。

まぁランスだけじゃなくて矢とか剣とかでもいいんだけどな。要するに、大量の生成武器を相手にぶつける魔法だと思っていい。

これの名前は絶対に決めろと言われている。


「なんでや?」

「俺の魔法の中で一番派手だから」

「あー・・・確かに派手やな」

「うーうー」


必殺技じゃないけど、とっておきってことにしておけとのことだ。

親父もよくわかっている。そもそもこれ切り札じゃないし。この魔法の最大の弱点は、アイアンランスが効かないタイプの敵には一切意味がないこと。

その場合は別のを使うんだけど、それはそれ。これはこれらしい。


「んー・・・なんでやろ。今までのと似たやつしか出てこぉへん」

「私もですね」

「カタカナしか浮かばない」

「それな」

「でも、なんかパッとしませんよね・・・せっかくの必殺技なのに・・・」


なんだかんだ言いつつも、フミもポヨネも名前を付けるのが楽しくなってきているようだ。

真剣に考えてくれている。だけど折角ってなに?

3人であーでもないこーでもないといろいろ案を考えていたが、結局何も出てこない。

するよ、その間一切喋らなかったニホリがようやく何か思いついたようだ。


「う?」

「漢字?いや、別にいいけど」

「単純にうちらがカタカナの名前しか思い浮かばんなってもうなだけやしな」

「我ながら面目ない・・・」

「う?うー!」

「・・・ほほう?」


それ採用。

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