323話
本日分です。恐らく4連休になるはずなのでその時は昼も投稿する予定です。
自分の50層攻略に変わる新しい目標がなんとなく決まった。
まぁかなり難しいし、果てしない道だろう。それでも、何かいける気がする。俺だけじゃないしな。
まぁそれはいいんだけど、今日は研究所に呼ばれている。
それ自体はそんなに難しいことじゃないんだけど、健康診断とかは少し前にやったし、新人関連のことだって今は特にないはずだし、今のところ俺が知っている限りでは何もないはずなんだけど・・・
いつもの親父の部屋・・・所長室でいつも通り親父と向き合う。
親父の顔は、なんか難しそうな顔をしている。
「なんかあったん?」
「あったんだよ・・・」
おお、すごい疲れてる。
しかもこれは同じことを何度も説明して疲れてるときの親父の顔だ。
「そんな大変なことあったか?」
「・・・まぁお前のせいではあるんだが」
「え」
「相馬さんに薬あげたなお前」
「あげたあげた。この間飲ませて来たけど」
「それが問題なんだよ」
うん?何が問題だったんだ?
事前に親父には伝えたし、薬だって見られないように運んだ。飲む時だって、相馬さんの奥さんが飲んでる場面を見られないようにわざわざ違う病院に移動してもらったくらいだ。
「いい加減サンプルをよこせとうるさくてな・・・」
「ほ?何故に?渡したよな」
「赤い奴をってことだよ」
「うわ。マジか」
俺が今のところ人にあげた物。ダンジョンで手に入れたポーション・・・液体の飲み薬が数本。
ロラちゃんが生成した粉薬をいくらか。ポーションは赤いのを渡した、てかそもそもその時は赤いのが良い物ということを知らなかったんだけど。
ロラちゃんのに関しては、赤いのを渡していない。緑、よくても青の物しか渡してない。
その赤い粉薬をよこせと言うわけだろう。
「どっからバレたの。てかまたか・・・」
「はぁ。本当にすまん。また役人がやらかした」
「うわぁ。ということはあれか、言ってきたのは」
「そうだ。他の国だ」
日本以外の国でも、ポーションを見つけることはできている。最高でも青までしか手に入れられてないが、それでもそれが人の病気、けがによく効くことはわかっている。
だが、どの色が効果が高いのかを知らなかったはず。それがバレて、尚且つ俺がつい最近それを誰かに使用して難病を治したことまでバレたと
「首にしたら?」
「もう飛んだよ」
「おおう」
まぁ流石に誰もかばわんわなそんなミス。
「んで?どうしろって?」
「薬を生成できるモンスターがいることまでは知られていない。てか、スキルでそういうのがあることまでは想定しているみたいだが持っていると思われてない」
「つまり、ある分は寄こせと」
「そういうことだ。もうないって言ったんだが、全く信じようとしない」
「どこの国も?」
「いくつかの国はってところだな・・・はぁ・・・」
「おつかれ~」
んー俺のせいではないとは言え、多少なりともどうにかできそうな内容なのがなぁ。
ロラちゃんの『薬品生成』は、ロラちゃんが上手い事制御できればいいんだが、現状だとまだ完璧ではない。
それでもかなり狙い通りのランクの薬を作れるようにはなっているんだが・・・
「時間かけてもいいならいくつか作れるけど」
「本当か!!」
「うん。週1個ずつ」
「・・・そういう?」
「らしい。なんかゲージみたいのがあって、それが溜まらないと出ないんだって」
これは狙いの物を出そうとした場合らしい。
どうりで毎回狙えないわけだと。ただ、溜まり方がわからないのか、本人の意思でそこら辺を制御できるみたいなんだが、ヨミでも詳しくわからないとかいう鬼畜ぶり。
流石ダンジョンから直接俺に与えられたものなだけある。
「だから今のところ週1」
「・・・将来的には?」
「ゲージの溜まり方が速くできるんならまぁ・・・」
まぁロラちゃん次第かなぁって感じ・・・うそなんだけどね。
帰宅。
「」(ギュー
「ん~?どうしたロラちゃん」
「」(ハイ
「お、赤い赤い。ありがとうね」
「」(ダッコシテ
「よいしょっと」
ロラちゃんを抱える。ソファに座ってるから、膝に抱える感じになってるんだけど。
ロラちゃんのスキル『薬品生成』の事で嘘をついたのには理由がある。
本当は、既にロラちゃんは制御が出来ている。
やろうと思えば、何度でも赤い薬を出すことができる。
ただ。デメリットが大きい。
「」(クタァ
「お疲れ様~。ここがいい?」
「」(アー
「ほいほい」
ロラちゃん自身のレベルが、赤い薬を作ることに届いていないのだ。
運任せに出す時は問題ない。意図的に作ろうと思うと駄目なのだ。
自分の力量に届いていない物を作ろうとした結果、ロラちゃんは大きく疲労する。量が少ないのならまだ大丈夫なのだが、凡そ一回分の使用量を出すとすごく疲れるらしい。
今も俺に寄りかかるようにしているが、それだけ疲れるということだ。
まぁ打開策はあるっちゃある。
「ニホリに強化してもらえば大丈夫な感じ?」
「」(ウン
「そっか。じゃあやるときは必須かな」
ニホリの『強化』だ。
あれを使えばロラちゃん自体が強くなるから、体力の消費を抑えられる。
ヨミとの練習の時は、実は強化ありで見ていたらしい。その時に疲れた様子がなかったから、ここまでとはヨミも思っていなかったそうだ。
それでも、ロラちゃんは一日一回赤い薬を出している。
今の俺の部屋には、赤い粉の薬が凡そ12回分。この間一回分は渡したから11回分残っている。
ちょっと少ないのは、俺が一回分を一日で出すなと言ったから。一日に出せる量は10分の1から7分の1。
だから1週間に1個って言い方をしたのだ。ゲージなんてものは存在していない。
今日疲れてるのは、特訓を兼ねているから一回分を出してもらったのだ。
でも、へろへろになるロラちゃんを見るのはすっっっっっごいやだ。
「」(ペシ
「なぁに?」
「」(フンス
「・・・がんばるの?」
「」(ムキッ
「ほっそい腕だなぁ。ぷにぷにだぞ」
「」(ギュ
恭輔に抱き着けるだけあればいい~
ロラちゃんは、別に自分がダンジョンに潜れないことを気にすることはない。
だけど、俺に対して何かしたいという気持ちは他の子と変わらない。だからこそ頑張ってくれる。
「・・・」
「」(ムニー
「・・・はひふんへん」
「」(ゲンキダス
「・・・大好きだ!!!」
「」(ギュー
いい子!すごくいい子!!!
本当にね。こんな健気に頑張っている子が作ってくれた薬をなんで他人に渡さなきゃいけないのか。
近しい人のお願いならいいんだ。ロラちゃんだって喜んでくれる。
最悪、他の国に渡ったってちゃんと人を治すことに使われているのならまだいい。
だが、十中八九研究で消費される。それが、非常にむかつく。
「はぁ・・・なんかこう・・・薬のわく泉でもできればいいのにね」
「」(ナンデ?
「そうしたら、ロラちゃんの薬を渡さなくてもいいのになって」
「」(エヘ
「うぅん!!・・・おやつ食べよっか」
「」(♪
まぁロラちゃんの事は・・・俺だけが知ってればいいかな。
渡さないとは言ってないわけだし。




