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318話

夜分です

唖然に呆然。新人の人たちを表すのにこれ以上適した言葉はないだろう。

自分たちでは絶対に勝てない存在に、あっさり勝つ人間。本当に自分と同じ人間なのかと疑うし、目の前の光景を受け入れるのに時間がかかるだろう。



「これが、ダンジョンでの戦い。そして、世界でも最強の冒険者の、大門恭輔さんです」


「ん?ちゃんと紹介するんすか」


「はい。元々それも目的の一つでしたから」


「ああーね」



これは親父の考えかな。大方、冒険者になる人にくらいは俺の事を知っておかせようよでも思ったんだろう。

まぁ今更か。俺の事だけだったら既にどの国も知ってるだろうし。

あ、そういえば最近まったく勧誘受けなくなったな。なんでだ?


しかし、俺の紹介をしてもらったはいいけど、今のこの人たちはちゃんと受け入れるのは無理だろう。

元から聞いていたであろう相馬さん、前から知っていた天都さん以外は目がめっちゃ開いてるし。

腰が抜けたりしてないだけみんな流石って感じかな。

藤岡さんもその様子には気がついていたようで、手を叩いて意識を戻させる。

おんなじことを言っても意味ないと思ったのか、そのまま撤収の準備に入る。とは言っても、ここでは荷物を降ろしたりしてないのでワープ部屋にみんなで入るだけだ。

今日はそれで解散。後日、新人は今日の感想をまとめて提出することになったみたいだな。


俺は俺で、親父に聞きたいことがあったのでそのまま研究所に直行。

藤岡さんたちは帰っていった。



「それで?何を聞きたいんだ?」


「俺が最近勧誘されてないのって、なんかやった?」


「あーうん。俺は何もしてないんだが・・・」


「上でなんかあったと」


「そういうことだ」


「何が?」


「新人の募集を日本がすることになった時に、うちでも教習をしてくれないかって話が来てな」


「まぁ・・・ありえる話だな。それだけ余裕があると思われたと」


「まぁ実際のところはお前に探索を任せきったから出来ているんだが」


「俺もその方が楽だからなぁ」



人に教えろって言われた方が困るわ。

藤岡さんたちはめっちゃ忙しそうだったの見てるからすごい嫌だ。



「流石に貴重な冒険者を外に出すわけ行かないからな。何かされても困る」


「だわな」


「そこで、時期はまだ決まってないが日本に来ることになった」


「他の国の冒険者が?」


「正確には、候補が来る。今それぞれの国で活躍している冒険者は既に一定の実力があるからな」


「まぁ今さら訓練も意味ないわな」



うちで面倒見てやるから、ちょっかいをかけてくるんじゃないと。そういうことか。

この様子だと、ヨミの方も最近は来てないのか?いや、その前にあいつに返り討ちにされた数を考えれば手を出そうとも思わんか。


ちなみに、うちにポヨネが来てからだがうちの周りにも結界が張られている。

主なのは妨害系だ。害意を持った人間が入った場合は地面に体が埋まるだろうよ。俺でも立つので精一杯だった。



「まぁそういうことならいいか」


「なんだ。心配してたのか?」


「無駄にやばい事言われてたらちょっと考えたけどな」


「・・・何を?」


「・・・」(ニヤ


「オッケー。何もないから何もするな」


「はいはい」



何もないなら何もしませんよーだ。



「あ、そうだ。その前に絶対にうちで募集をもう一回かけるから。覚悟しておけ」


「えぇ・・・」



また・・・またなんかやるってことでしょそれ・・・

そうなると、またダンジョンに潜って食材集めか。うわぁ・・・面倒・・・。





















「なぁなぁ」


「うーうー」


「ワフ?」



コロちゃんは戸惑っていた。

家に帰り、ゆっくりしながらお風呂でも入ろうかなとか考えていたら、何故か恭輔とパパママ以外のみんなに囲まれた。

別に何か企んでいるわけではないみたいだが、何の用だろうか。



「コロちゃんは、恭輔の誕生日知っとる?」


「・・・ワフ?」


「いや、皆知らんねん」



そういうことか。

確かに、自分を除いた場合一番の古株のすらっぴでも知らないだろう。

なにせ、来た時には既にその年の誕生日は過ぎていた。それを知りたいのなら、自分に聞くしかないだろう。

でもそれなら、パパかママ、恭輔に直接聞くのでもいいだろうに。何故?



「いや、出来る限り隠しておきたいんよ」


「ワン」


「うー!」


「・・・ワン」



確かに、恭輔の誕生日と言えば毎年その日だけは何があってもパパもママも帰ってきていた。

その度に言っていたのだが、わざわざ当日じゃなくても、予定の合う時でいいのに・・・と。


それに合わせて、恭輔の事だ。

親に祝われるのはともかく、自分たちに祝われるのは遠慮するだろう。



「やろー?」


「ううー?」


「ぴ~」


「き!」


「ワン」



なるほど、遠慮されても続けてしまえばいいのだろうが、一回遠慮されてしまうと何かやりづらいのはわかる。

そこで秘密にしておこうと言うことなのだろう。

うん?待てよ?自分たちはともかく、フミならバレても問題ないのでは?



「え?」


「ワンワン!」


「うー」


「クゥ!」


「ちゅ!」


「あ、いや。確かにそうなんやけど///」



なんでこいつは未だにお嫁さんと呼ばれると照れるのだろうか。

まぁそういうわけで、嫁なら誕生日を祝うのは別におかしくないだろう。長年人間と暮らしてきた自分が言うのだから間違いない。

パパとママはお互いに祝いあっていたし。



「うーん。でも、そうするとうちだけがやったみたいやんか」


「う?」


「そらそうやろ。皆でやるんから意味あるんよ」


「るるー」


「にゃー」



うーむ。まぁいい考えだな。

だが、恭輔相手にこちらが隠し事をするのは難しいと言わざる負えない。なにせ恭輔だ。

人間相手ならともかく、自分達の事ならすぐにわかってしまうだろう。


そこで、一計を案じよう。



「」(コテン?


「ワン」


「え?うち?」



そう。フミはフミでこちらとは別に誕生日の用意をおこなうのだ。

それを隠れ蓑にする。そうすれば、コロちゃん達もフミの手伝いしてんのかーくらいに思うだろう。

恭輔は鋭いが、悲しそうにしてたりしない限りは深追いしてこない。逆に楽しくしてたら、ああー楽しいだなって思うだろう。

まぁ俺も混ぜろーって来るかもしれないけど。



「めぇ」


「???」



しーちゃんとユニちゃんの言うことももっともだ。それでは元も子もない。

そこで、順番を決めよう。幸い、恭輔の誕生日を祝いたいのはここにいる面子だけではない。



「・・・う!?うー!」


「ワフ」



そうだ。動物園のみんなだ。あそこのみんなも、そう知ったら祝いたいだろう。

そこでだ。彼らに時間稼ぎを手伝ってもらう。

そうすれば、一日二日は時間が稼げるだろう。それだけあれば、ある程度の準備はできるはずだ。



「おお!」


「うー!」


「クゥー!」


「ワッフ」



伊達に恭輔と長年過ごしてないぞ。どうしたら隠し事がばれないかとか、どうやったら興味をずらせるかとかなら大体熟知している。



「ぴ?」


「ワン」



おやつつまみ食いは素直に怒られろ。


・・・ところでなんだが。



「うん?」


「う?」


「ぴ?」


「き?」


「ちゅ?」


「ク?」


「めぇ?」


「???」


「る?」


「にゃ?」


「」(ナニ?



恭輔の誕生日7月の末だから、まだ1月近く空いてるんだけど。

え、1月も準備する何かするの?隠すの難しくない?



「「「「「「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」」」」」」


「・・・ワン」



考えてなかったのね

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