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316話

祝親知らず抜歯。

そのせいで20時に投稿できませんでしたけど。

あれ、ロラちゃんの薬のことってそもそもどこまで知ってんだこの人たち。



「薬を作れることは知ってるけど」


「どれくらいの物かは」


「ああ、そういう感じか」



確かにそんな感じでしか言ってなかったっけ?姉ちゃんその場にいた気がするけど・・・

ああ、そうか、赤いのを作れるのは知っててもそれがどれくらい作れるとかは知らないのか。元々一日一回ランダムでってやつだったし。



「まぁ譲るのは全然いいよ」


「・・・ずいぶんあっさり」


「なんというか・・・」


「もっと苦戦するかと?」


「うん。だって、恭輔が研究所に出してない分ってことは、それなりにやばいんでしょ?」


「大門所長も知っていることでしょうけど」


「まぁ親父には伝えてますよ」



その上で渡してないからな。

ただ、渡してない理由はロラちゃんの生産速度的な問題だし。個人的な知り合いにこっそりってくらいなら問題ない。

頻繁に来られても困るけど。ロラちゃんの薬は選んで作れるようになったけど、相変わらず量はそんなに多くないんだ。まぁ前よりは一回当たりの生産量は増えてるんだけど。



「そんなわけで、渡すのには問題なし。あ、親父には言ってあるんだよね」


「もちろん。恭輔が管理してるからって、恭輔次第だったのよ」


「ああ、俺に丸投げしたのか親父」



いやそれくらい良いんですけどね?

てか、さっきから相馬さん喋んないけどどうしたの。



「あ、交渉は私たちがやるって言ったから」


「・・・口を挟まない方がいいかと」


「別に気にしないっすけど・・・随分古風ですね」


「自衛隊時代もそうでしたね」


「あ、元上司なのよ」


「へぇ」



ああ、そういう関係だったのね。

























さて、相馬さんの問題をあっさりと片付けたところで、本日の本題へ。

多分本当の目的は相馬さんの問題の方なんだけど、他の人たちからしたらこっちが本題。

新人冒険者の初ダンジョン。それの護衛だ。

とは言うものの、俺は特に決まった誰かと回るわけではない。ダンジョンの中をグルグルしながらモンスターを間引いていくだけ。

しかも、1層。寝ながらでも負けない気がする。



「うーん、お前らとだけって、初めて中級に行って以来だったりする?」


「ワン」


「クゥ?」



コロちゃんは流石だけど、ふーちゃん覚えてないってなんやねん。

まぁ確かに、うちに来たばっかりの時だったけど。


コロちゃんはいつも通り俺の隣を歩いていて、ふーちゃんは俺の頭の上に乗っている。

こいつも結構大きくなってきたから危なっかしいんだけど、持ち前のバランスで俺の体幹に安定している。

既にダンジョンに入ること30分。その間、一回だけ姉ちゃんのところのチームに出会っている。ちょうどコウモリ相手に戦ってたな。わたわたしてたけど。

俺?向かってくるところを素手でぱーんすると終わるからなぁ。それを見られてとんでもない目で見られたけど。


今一番近いのは・・・三崎さんのところか。

あそこ、一番安全だろうな。みーちゃんだけでもだいぶ戦力過多だし。確か、天都さんもそこにいるんだったか。

あ、まだ『テイム』を持ってないからクロンちゃんはいないぞ。」



「んー・・・あんまり数減らしてもあれだしな」


「クゥ?」


「ああ。下に行くかは結局全員の余裕を見て決めるらしいし」



すぐには行かないんなら、別に俺が先に行く意味ないしなあ。



「かといってここでぼけーっとしててもしゃーないしな」


「くるくる」


「だよなぁ・・・何してんすかバン君」


「くる!」



暇じゃないですよ。言いたいことはわかるけど。

まぁ君ら的にもここの階層って暇だよな。スライムとコウモリだし。



「・・・そういえば、なんで最初だけスライムが2種類いるんだろうな」


「・・・ワフ?」


「クゥ?」


「くるる?」


「割とどうでもいいと?まぁ確かに気にすることでもないのか?」



いたからと言って何かあるわけでもないしな。

俺的にはすらっぴとの出会いがあるから気になるだけか。

弱いし。数は多くない。なんならコウモリが・・・てか、ここのメインはコウモリか。



「バトちゃんに比べたら弱いけどなぁ」


「ワフ」



比べてやるなよというコロちゃんの言い分はわかるんだけど。それにしたって弱いじゃんか。

今こうして話している間にも1匹2匹来てたりするんだけど、ふーちゃんの炎に焼かれて消えていく。牙は落とすんだけど、別に回収するほどじゃないから放置。

ポヨネもいないしな。いちいち拾ってたらあふれちゃうよ。



「てか、ここにいないで帰りなさいよ」


「くる~?」


「えーじゃなくて。心配させちゃうでしょ」


「くる」


「伝えて来たってマジか」



そこまでして別行動がいいのかバン君。そんなに暇なのか。



「くるる!」


「ああー」



確かにスライムもコウモリも弱いが、それでも襲っては来る。

だけど、訓練も兼ねてるからよほどの数が来ない限りバン君たちの出番はない。なんなら、そんなに来てもみーちゃんが優先されるから猶更出番はない。

だったら俺のところに来た方がまだ面白いでしょ!ということらしい。いや、いいんですけどね。



「ぶっちゃけ俺たちも暇」


「くる?」


「いや、来てもな?」



ちょうど1匹来たのでふーちゃんに炎を止めてもらい、近くまで来させる。

手が届く位置になった時に、はたき落す。



「ギギ!?」


「こんな感じで、大体1発だし。後数来てもふーちゃん越えられないし。コロちゃんを見てごらんなさい」


「くる~?」


「・・・クゥワー」


「ものっそい欠伸してるでしょ。あんま変わらんよ」



景色もよくないから、散歩としても最悪だね。何もしないよりましだから歩いてるけどさ。



「・・・くる~」


「あ、へたりこんだ・・・これはかわいいな」


「くる?」


「よちよち~」



足元にいたバン君だが、こっちも似たような状況であると理解してへたった。

それを持ち上げて、抱えてあげるとぷくーっと少し頬を膨らんでいるのがわかる。ふてくされているのだ。

カワイイ



「そういえば、来週狼犬の子供たちに会うんだけどさー」


「くる?」


「ワン」


「コロちゃんの子供ではない」



コロちゃんは狼だから犬ではない。

愛犬枠を脅かされるとキレるけど犬ではない。事実、ポヨネには何も言わないしね。ヨミには言うけど。



「まぁともかく、その子たちの写真がこれね」


「・・・くる~」


「赤ちゃんだからねぇ。でもさ・・・」


「くる?」


「・・・出会ったら全員持ち帰りそうでさ」


「・・・くる」


「ワン」


「クゥ」



俺はその方面に関して自分の事を何一つ信用してないからな。

飼い主いないから俺が面倒見ればいいヒャッハーする可能性は否めない。

事実、俺が最初にお世話したウサギはそんな感じで飼い始めたし。あ、いつもの園長先生がいる動物園の子だったから出来たことだからな?

その辺から泥棒したわけではない。



「・・・そういや、あの赤ちゃんたちもかわいかったなぁ」


「く、くる・・・」


「ワフ・・・」


「クゥ」



なんかバン君たちドン引きな気がする。


あれ、いつの間にか藤岡さんたちが近い。てか、近寄ってきてるな。



「なんかあったか?」


「・・・ワフ」


「血の匂いなし。怪我でもないみたいだけど」



コロちゃんの嗅覚的にはないもなし。そもそも戦闘の音も全くしなかったからな。

まぁ聞けばわかるか。


ちょうど角を曲がってすぐだったので、こちらから向かうことに。

曲がったらマジですぐそこにいた。・・・やっぱりぱっと見は何もないな。



「なんかありました?」


「ああ、いえ。時間もいいのでそろそろ下に向かおうかと」


「あれ?行くことにしたんです?」


「一通り様子を見たんですが、まぁ大丈夫かと」


「うっす。じゃあみんな呼んで来ますわ」


「お願いします」



何を話してたのか、藤岡さんの連れていた3人の新人の人の俺を見る目が完全にやばいやつの目なんだけど。

あれかな。気配でこちらが近寄ってくるのがわかるとかそんな話かな。


どうでもいいか。

コロちゃん競争・・・は、絶対に負けるから、半分呼んできて。姉ちゃんたちは近いから俺が行くわ。



「ワン!」


「ふーちゃんとバン君はお留守番ね。藤岡さん達と向かってて」


「クゥ!」


「くる!」


「じゃあコロちゃん・・・・・・よーいドーン!!」


「ワン!!」



後で藤岡さんから聞いた話だが、俺とコロちゃんが走り出した瞬間に消えたから何があったかわからなかったそうだ。

しかも、俺もコロちゃんも数分で下に行く扉まで来たから余計に驚いたらしい。


ああ、やっぱり50まで結構頑張ったから差が開いてるんだろうなぁ。

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