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312話

「分身体が自意識を持つだなんて・・・」


「・・・変なのか?」


「変というか・・・ありえない」


「・・・そう?」


「お前どんどん緩くなってない?」


「気のせい」


「うーうー」


「うーんこの」



この人型・・・なんかこう・・・天然っぷりに磨きがかかっているというかなんというか・・・

うん。あれだな。流した方がいい奴だな。



「何がおかしいんだ」


「『分身』のスキルでこの子は今いるのよね?」


「そうですけど・・・」


「・・・そうね。普通ならやっぱりこの子の存在はありえないわ」


「でも、ちゃんといるぜ。ほれ」


「私の足持ち上げないでください」



ひょこっと足を持ち上げて手を振らせる。ここにいるよーといわんばかりの動作なのに、あんまり受けは良くない模様。



「よく考えてみればわかるのだわ。分身体を作る度に意識を持つ存在が生れてたら使いにくい事この上ないわ」


「・・・いや。結構使いにくいのあるやろ」


「それはあなた達が使いにくいだけで、使うことのできるモンスターの子もいるわ」


「ああーそれもそうやな」


「確かに、そう考えるとポヨネはありえないですね」


「分身は基本使い捨てやしな。それに意識が生まれる・・・使う側が愛着持ってまったら使えへんわ」


「その通り。だからそんな風になるはずないのだけれど・・・」


「・・・じゃあ、私は」


「うーん・・・」



頭に手を当てて考え込む。

ありえないと言うが、確かにポヨネは今俺の膝の上で撫でられているわけで、幻想とかそういうものではない。

実際に今生きている。そうなると、原因がありそうなのはねっさんの方になるな。元々ねっさん時代に生まれたし。



「妙な進化起こした可能性は否定できないわね」


「妙なって。生んだのあんたなんだろ?」


「生んだだけよ?その先でどうなるかはその子が生きる環境次第」


「・・・あれ、これまた俺のせいになってる?」


「・・・ありえそうやな」


「そうなのよねぇ」


「ありえそうですね」


「何かした」


「してない」


「うー?」



本当に~?って聞かれてもマジで何もしてないよ?

ねっさん・・・てか、うちの子達の育て方ってごく一般的な物のはずだし・・・



「モンスターのごく一般の育て方?」


「う?」


「摩訶不思議ですね」


「犯人」


「指さすな」



寄ってたかってなんだお前ら。



「うーん。わからないのだわ!」


「それでいいのか」


「仕方ないわ、わからないんだから。とにかく、この子に実体を与えてあげればいいのね」



「ああ、出来るんだ」


「そりゃぁね?意識がある分身・・・つまり、魂の宿る存在なら、体を上げるだけでいいしね」



そういって、ポヨネに手をかざす。



「えい」


「・・・?」



・・・え、それだけ?

ポヨネの感触に特に変化なし。魔力も変化してないし、何も変わってないと思うんだけど。

だが、ポヨネとねっさん、ヨミはちゃんと変化を感じていた。



「え?!」


「ちゅぅぅぅ!?!?」


「・・・これは」


「どうした?」


「・・・つながりが切れました。今、ポヨネに使ってた分身1枠分に空きが出来てます」


「ちゅっちゅ!?」


「うご!?わ、私は大丈夫ですよねっさん」


「ざっとこんなものね」


「・・・今ので出来たのか」


「入れ物を作るだけだわ。私にしてみれば造作もないことよ」


「・・・すげー」


「ふふ。改めて私のすごさを思い知ったようね」



俺自身は何も感じてないからわからないけど、本人とヨミたちがわかっているのなら間違いないんだろう。



「・・・ああ、戻れなくなってます」


「消えないってことか?」


「そういうことです・・・ちょ、ちょっと1回吸ってもらって」


「うぃ」


「あふん」



・・・吸った感じに変化なし。ポヨネのままだ。

うーむ。俺からは分身から実体を持つようになった変化について感じることはできないのか。

魔力の変化すらないんじゃ、手の付けようがない。



「あなたがもう少し変われば、わかるかもね」


「・・・『真化』か?」


「まだ足りてないわね」


「おいおい」


「えぇ。恭輔まだ強くなるん?」


「もちろんよ。だって、あなたまだレベル3桁行ってないでしょ」


「ああー。そうかも」


「・・・かも?」


「あ、恭輔、レベルどころかカードも見ないんで」


「・・・えぇ」



言われてみればまだ行ってないかな。多分90・・・行ってないかもなぁ。

ああいやでも、前に見た時って78とかだっけ。じゃあ行ってるか。



「う」


「あざっす」



そんな俺を見かねて、ニホリがカードを渡してくれた。

ありがとう。



「なんであの子が持ってるの?」


「恭輔持ち歩きもせんから・・・」


「折角作ったのに・・・」



あ、俺のレベル98になってる。おしいな、もう少しで3桁・・・お?


フミの情報が増えてる。レベルが近づいてきたのか。

てか、コロちゃん3桁行ってんじゃん・・・

おお!ポヨネの名前が書いてある!ちょっと感動!!



「うーうー」


「あ、ウィッス」


「・・・この子を送って本当によかったのだわ」


「う?」


「そうよ。助けてくれる存在がいた方がいいと思ったの」


「うーうー」


「そうね・・・こういうつもりじゃなかったのだわ」



ほほう。やっぱりニホリは俺の補助のために送られてきた存在だったか。

まぁ確かに、日常生活でニホリの存在は欠かすことのできない存在になっている。

ハッ、まさかこれを見越して料理の才能を与えたのか?だとしたらこの人俺の想像をはるかに超える存在なのでは。



「うーん。そんなことで敬ってもらっても」


「なんやろなぁ。恭輔やなぁって感じするわ」


「同意」


「すっごくわかりますそれ」



何か言われている気がする。



「はぁ・・・もういいのだわ。聞きたいことはもうない?」


「・・・なんかある?」


「・・・知りたいことはありますけど、別に知らなくてもいいんでないですね」


「うちもないでー」


「うー」


「・・・あ、私もないですよ」


「まだ食べ終わってない」


「包んでもらいなさい」


「お願い」


「うー!」



自由か。


ニホリがお土産としてお菓子とかケーキとかをまとめて箱に入れる。それを人型に渡す。

手で受け取らずにそのまま浮かせただけってのが非常にらしい。

でも食べながら受け渡しするな。



「ごめんなさい」


「う」


「よろしい」


「・・・一番自由って自覚ないのね」


「恭輔さんはルール無用なだけですよ」


「そこがかっこええんよなぁ」


「惚気まで受けるの私」


「大丈夫です。私はしょっちゅうなので」


「全然大丈夫じゃないのだわ・・・あ、忘れるところだったわ」



なにやら頭痛そうにしてたが、それで何かを思い出したらしい。

どこからともなくスキルスクロールを取り出して渡してくる。



「これ、絶対にあなたが使って」


「・・・中身何」



『昇華』の件もあるから、直接渡されるスキルスクロールって警戒するよな。

場合によっては焼却するけど。



「『草魔法』よ」


「案外普通?」


「中身はね。あなたが使うと変わるけど」


「どういう風に?」


「『土魔法』と併せるの。『真化』も込みなら、いい具合に変わった物になるはずよ」


「ほほう」



ただの魔法ならとってもいいか?『土魔法』と組み合わせるってのが気になるが。

土に草・・・大地に植物・・・なぁんか無駄に規模が大きくなりそうな予感。



「それで足りない物も埋まるのだわ。それじゃあ、お邪魔しました」


「・・・また来る」


「う?」


「ちーずけーk」



最後完全に次のおやつのリクエスト伝えようとしてたなあいつ。

・・・足りない物ってなんだ?

ついにポヨネ(完全体)に

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