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32話

「すげー!地味!!」


「うー!」「るー!」「きー!」


「お揃いね~」


「本当に浮いてるなぁ」



マジで浮いてるだけだけど。


『飛行』スキルで飛んでるけど。浮いてるだけだ。

『浮遊』との違いが判らない。これも使ってかないとだめな奴かな。将来的にビュンビュン飛べればいいけど。


まぁ、お揃いで喜んでるし。とったかいはあったかな。実用性は後回しだ。

バトちゃんの『吸血』もあるけど、使うことあるかな。バトちゃん基本遠距離での魔法攻撃が多いし。近接戦なんてしないぞ。そこは他のスキルか装備で補うか。

またスキルが欲しくなっちゃったよ。



「そういえば、この『鍛冶』は貰っちゃっていいんだな?」


「いい値段で買ってよ?」


「もちろんだとも。まさか物を作るためのスキルが存在するとは」


「多分。知らないだけでもっといろいろあると思うけど」


「そうだよなぁ・・・一気に集められないか?」


「無理だよ。手段がボスしかないんだから。限界があるよ」



俺一人だと、どうしても回数に限界がある。一日一回はともかく。ダンジョンが広くてボス部屋を回るのが時間かかりすぎ。

丸一日使ってようやくだし。それだけやって基本手に入らない。



「解決したいなら、もっと人使わないと無理」


「うーん。増員かぁ」


「やっぱり難しい感じ?」


「そうだな。基本、俺たちも認められてない。お前が例外なんだよ」


「なんで」


「そりゃ強いからだ。間違いなくお前は日本で、いや世界で一番強い人間になっている」


「・・・そこまで?」


「生身で戦車を壊せる人間が他にいるとは思えんだろ」


「それもそうだ」


「だから、お前は潜らせておいた方がいいんだよ。怖いってのもあると思うが、その方がいろいろ調べられるだろう」


「限界は来てるけどな!」


「そこはしょうがない部分だよ」



第一、そろそろダンジョン発生から3か月。進展は基本俺の報告のみ。

昔は頼まれてはいるの嫌だったけど、お金もらえて趣味もOKとかまさに神職場だな。じゃなくてだ。


三か月たつのに、俺以外がまったく強くなってないことだ。

確かに藤岡さんたちは強くなっている。他の連中はダメだ。弱すぎる。

やっぱりスキルの有無が大きいのか?でも殴って戦うだけで十分強くなるはずなんだけど。

藤岡さんたち優先で、他の人は潜ってないのか?危険防止でスキルなしは潜らないとか。



「ぶっちゃけ、誰でもいいから潜らせないといつまでたっても調査も進まないし、弱いままだぜ?」


「わかってはいるんだがな」


「それに、結構社会もうるさくなってきてるし」


「ムムムム」



ダンジョン発生から一か月だか二か月くらいの時に、デモ行進的なのがあったのを覚えているだろうか。

その際は、ダンジョンに我々も入れろと言った内容だった。

時間がたち、魔石の説明もされて、俺がやらかした動画もかなり知れ渡っている。

だが、まだうるさい人間は多い。

魔石、というかダンジョンで儲けたい奴らが多いんだろう。マスコミも喜々として政府が何か隠してるだとかなんだと言っている。

俺的には、俺が好きに入ってる分勝手に入ればいいだろうとか思う。それで死んでも自己責任だ。

この先、研究が進むのは遅いだろうが、何かしらわかるだろう。内容によってはまた炎上しかねない。



「魔石の利用法が確立とかなったら問題だな」


「それを調べるのが仕事とは言え、面倒な・・・」


「何気に親父ダンジョン研究のトップなんだっけ?」


「専門外の物も見なきゃいけないのはつらいぞ~。母さんは毎日楽しそうだが」


「お疲レインボー」



女性の美容に関する熱意も十分怖い。今もかなりウルサイところはそういう団体だし。

だが、エネルギー問題。食料、様々な分野の発展が期待されているのも事実だ。

まだわかってないから何も起きてないが、わかってから大騒動になっててんやわんやするのは今のままでは目に見えている。



「実際、魔石は金になるし」


「お前の通帳見て驚いたんだが」


「あれでも最低価格だよ」



俺の手に入れた魔石は基本的に国の機関に売っている。

そこから、研究に回されたりしている。医療に使われているかはわからないが。今手に入る最大サイズの魔石なら、かなりの重い病にも効くと思う。



「あ、そういや、病気を治せるのは知られてないんだっけか」


「ああ、そうだな。それに薬関係もそれと同じだ」


「トップシークレットってやつか」


「もし民間に知られたら、無理やりにでもダンジョンに入るのが増えるだろうな」


「そして死んでくな。間違いなく」



ボス戦で偶に、それこそスクロール並みに偶に手に入る薬的ななにか。

あれは所謂ポーションってやつだった。俺は使ったことはないが。実験で傷が治ったとのこと。

簡単な切り傷ならかけるだけで一瞬で、骨折も一本丸まる飲めば次の日には完治。飲み切らなくても治りが早くなる。

本当に魔法の薬だ。成分は不明だが、少なくとも今のところ体に害があったなんて報告はないそうだ。

両方とも身内の人間で試したから漏れることはないし、毎日検査もしているそうだ。

最初に手に入れたやつより効能の高い物も二本持ってた。それはまだ何もしてないそうだ。貴重だしな。

一本ないけど。


「臨床組は元気?」


「ピンピンしているぞ。毎日楽しそうだ。腰痛が治ったとかで」


「なんかちっちぇぞ」


「まぁ、本当に重症だったのは一人だけだしな」


「あれ以降手に入ってないけど」


「本当に貴重だったな」


「ニホリに頼めば集められそうだけど」


「うー?」



ニホリの名前を出しただけで、浮きながらみんなと追いかけっこしてたニホリがこちらに飛んできた。

どんだけ俺の事大好きなんだ。比喩でもうぬぼれでもなんでもなく、名前呼ぶとすぐ来るからな。


ニホリを抱きかかえて説明する。



「ニホリの『幸運』ってスキルなんだけど。だんだんわかってきてな」


「いい物が落ちるのか?」


「それもある。敵と出会う回数が減ったり。宝箱の中身がいいものになってたり」


「チートじゃないか!」


「でも使うとニホリの魔力全部持ってくんだよ。俺が供給してなんとか実体保てるレベル」


「連発は出来ないと」


「しかも、一回5分くらいしか持たない」


「それは・・・使えないな」


「レベルが上がれば別なんだけど。今は無理」



ニホリのスキルは魔力消費のでかい物が多いんだよな。

『強化』も偉い消費がでかい。『魔力吸収』はその為のスキルなんだろうな。ないとまともに動けないだろう。



「さらに、一回使うとニホリが疲れる!」


「ああ、そっちがやらない理由か」



一回の使用でものすごく疲れるようで、見ててものすごく不安になるのだ。

汗もすごいし、声も弱弱しく。使わせるたびに罪悪感で死にたくなる。

その日は付きっ切りで看病だ。



「じゃあ本当に今のままじゃ何も解決しないと」


「手としては俺が大量に『テイム』するってのもあるけど。

 個人的にヤダ。管理できないし。『テイム』しただけじゃ意味ないし」


「育てる手間もあるからか」


「イエス!正直オーク限定で狩らせるモンスターとか惹かれるけどやらない!」


「オークの肉旨いんだよなぁ」



そこらの豚肉を超えるうまさがあるからな。

検査の結果は食べてもOKだったが、俺たちが食べたのは最近だった。いろいろ調べてたらしいし。生ものだから定期的に狩って渡さないといけないしで大変だった。

今は落ち着いてる。食べた理由は完全に安全なのを確認して、俺が持ち帰ったのをこっそり食べたのだ。おいしかった。

コロちゃんも珍しくガッツいてた。


これもばれたらめんどそうだな。日本人の食に対する熱もすごいし。



「今度持ってくるか」


「そうしてくれ・・・自衛隊も知ってるのか?」


「知らないんじゃね。あそこって手に入ったんのは全部研究行きでしょ」


「それもそうか」


「姉ちゃんも知らないわけだ」


「かえって来たら食べさせるか」


「驚くだろうな。二重の意味で」


「う?」


「ニホリは姉ちゃんに会ったの一回だけだもんな」


「う!」


「そうかそうか。じゃあ頑張らないとな」


「今のは、がんばって集めるって言ったのか」


「その通り。今のはわかりやすかったな」


「そういえば『テイム』持ちの隊員はどうだったんだ?」


「コツは教えたし、近いうちに何かしらテイムしてくるはずだよ」


「そうすればお前の負担も減るかな」


「どうだろ。最初は変わんないと思うし」



それに、そこまで負担にもなってない。ダンジョンに入るのは俺の趣味って部分もあるし。危険な場所は避けてるから怪我もない。

いろいろ手に入るし、レベルも上がる。スキルも使えば強くなるから達成感も大きい。

ここまで恵まれてると負担なんぞ感じないぞ。スポンサー様のおかげでいい物使えるし。簡易キャンプセットとか、防護服とか。



「あ、そうだ。一応報告」


「何かあったのか?」


「報告ってか予定ってだけだけど」


「予定?」


「近いうちに、20のボスに挑むよ」


「!?」


「『飛行』の様子を見るってのもあるけど。それが終わったらやりにいく」


「大丈夫なのか?」


「さぁ。何とも言えないけど。勝てると思うよ。みんな強くなってる」



ピッちゃんも増え、かなり強くなっていると思う。

確かに、10層のオーガと初めて戦った時は死にかけた。10毎に強いのが来るなら今回も強いのだろう。それも10層以上。

怖い部分もある。でも止まってもいられない。



「見たいから行くんだ。俺の意思で」


「・・・」


「みんな、着いてきてくれる?」


「ぴ!」「き!」「ワン!」「ちゅ!」「クゥ!」「う!」「る!」


「よし、がんばろうか!」



何が来ようと、負ける気がしない。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「生身で戦車を壊せる人間が他にいるとは思えんだろ」 う~ん何の根拠にもなってないような? 主人公が生まれつきそういう人間だったって言うんなら分かりますけど、ダンジョンの恩恵ですし、他…
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