307話
夜分です
あやっべ宝箱忘れた。
そう思って取りに行こうとしたところに頭に衝撃。
「ぎゃふん!?」
「う!?」
なんと、宝箱が落ちていた。
箱の丈夫にはメモ書きが。
わすれもの
「・・・落とすところ考えて」
「うー」
多分人型が犯人だな。
50層ボス。ドラゴンを見事倒し、50層を突破した俺たちを待っていたのは・・・
「あ”あ”あ”」
「うーうー?」
「ちょうどよき」
「クゥ?」
「・・・ふーちゃんも踏んで」
「クゥ~」
「おおう」
いや。ただの休日ですけど。俺の部屋でニホリとふーちゃんといます。
帰ってきたのが昨日で、夜は早めに寝た。ただ、やはり魔力を使い切ったのがいけないようで、皆はまだほとんど回復していない。
動けるようにはなったけど、それだけだ。戦うことはできないだろう。
かくいう俺は魔力も残ってたし、最後に死にかけたこと以外は何も問題ないので動けるんだけど、ニホリがマッサージしてくれるって言うから受けてみた。
まぁ俺の上で足踏みするタイプだけど。
ふーちゃんに頼んだら逆に揉めと言われてしまった。確かにその通り。
「おいで」
「クゥ♪」(ピョン
「うりうり~。足のうらじゃろ~?」
「クゥ~」
「ニホリも手伝ってけれ」
「うー!」
びし!と敬礼を決めて空いてるふーちゃんの足をもみもみ。
最初のうちはマッサージ気分でやってるんだけど、そのうち肉球の感触に集中し始めてしまうのは仕方のないことだ。
ニホリは5分ほどでそっちに行ったよ。
「ク、クゥ・・・」
「んー・・・」
「うー・・・」
「任せた」
「う」
「クゥ!?」
場所を移して庭へ。
するとそこには、ビニールプールに水を張り遊んでいるすらっぴ、ピッちゃん、ユニちゃん。ねっさん。
正確には、皆で浸かってるだけだなこれ。熱いもんね今日。
「ぴ~」
「る~」
「ちゅ~」
「・・・♪」
ぷかぷかと浮いているすらっぴはともかく、他の子は寝転んでいる。
ユニちゃんは流石に足の部分しか入れてないが。
「おーい」
「ぴ?・・・ぴぴ」
「るる~」
「ちゅ~」
「!!」
「伸びてんなぁ」
呼びかけたら気の抜けるような返事が帰ってきたよ。
まぁ無理もない。先ほども言ったが、魔法で攻撃した子たちはみんなまだ回復しきれていない。動けると言っても、まだだるさが残っているのだろう。
だからといってすらっぴは伸びすぎじゃない?ほとんど水になってないそれ?
「なってない?」
「ぴ~」
なってない~とのこと。いつにもましてふわふわだ。
ピッちゃんも羽根は半分は出てきている。ねっさんはまぁ魔法組じゃないし、ユニちゃんは連れてってないからあれだけど。
まぁ疲れてる子の付き添いって形ならこんなもんでいいか。
ああそうだ。しーちゃんどこにいるんだ?
「しーちゃんどこ?」
「ぴ」(グルン
「るる~」(フルフル
「!!」
「あら?珍しいな。二度寝?」
「???」
「ちゅ~」
「ああ。そういうことね」
流石に疲れたか。普段は庭でみんなに付き合って遊ぶか日向ぼっこしてるんだけど、今日は小屋らしい。
二度寝でもしてるのかと思ったら、ロラちゃんと一緒にいるみたいだ。何をしているのか。
行ってみよう。
「ちょいと行ってくるわ。あ、コロちゃん見かけたら教えて」
「るる~」
「おっすしーちゃん元気してる~?」
「・・・めぇ」
「」(オツカレ
「ああやっぱり」
小屋に入ると、しーちゃんが寝転んでいた。恐らく疲れがたまっている・・・というか、そもそも一番疲れてたのがしーちゃんだ。
かなり前に使った魔法だが、同じ種族の羊ちゃん達と合わせて魔法を使ったのを覚えているだろうか。
あの魔法の肝は、放たれた無数を魔法を一つに取りまとめるだけの魔力のコントロール。それをなしていたのがしーちゃんだ。
元々多くの魔法をコントロールすることが出来たしーちゃん。あの時ドラゴンに向けて放たれた魔法も実のところしーちゃんのコントロール下にあった。
よく考えてみてほしい。限界まで溜められた魔法を、魔力を使い切った子たちが狙った所に撃てるのか。無理だ。
そこをどうにかしたのがしーちゃん。魔法がばらけないように、ドラゴンに向かって真っすぐ飛ばした。フミの一発もあったから、余計に負担も大きかっただろう。
ただ、その疲れを他の子に見せないようにしていた。それは年上としての意地だろう。
「お疲れさん。かっこよかったぞしーちゃん」
「めぇ~」(ペロ
「」(ノム?
「めぇ」
「」(ワー
ロラちゃんが頑張って体力回復と魔力回復の薬を飲ませている。
今まで作った物を持ち込んで治療しているのだ。ロラちゃんがいたのはこのためだ。
ふふふ。それにしても、しーちゃんが俺の手を舐めてくれた。疲れ切ったしーちゃんじゃなきゃ抱きしめていたぞ・・・。
「それにしても、やっぱりフミの一発は重かったか」
「めぇ・・・」
「そらそうだわな。多分俺の本気でもようやくなんだぞ?」
フミの一発。それがドラゴンを倒す一因となったのは疑う余地もない。
しかも、フミは余裕を残していた。コントロールを手放したのは、恐らくしーちゃんの経験の為なのだろうが。
「俺はスキルの関係上。ああいうのに弱いからなぁ」
「めぇ?」
「うーん・・・ちょっと倒すイメージがわかない」
「」(フン
「そうだよなぁ・・・」
俺のスキルは、言っちゃなんだが地味だ。
派手な攻撃とかはあんまりできないし。やっても魔力を馬鹿食いするし。ああいうボスには効果薄いし。
フミと比べるのは違うのはわかっているんだが、どうしてもなぁと思う。
一対一で戦った場合、俺の全力(真化全開)とフミなら俺が勝つ。これは、あくまでも一対一だから。
攻撃はコンパクトでもいいしな。範囲や派手さは関係ない。
まぁドラゴン倒すのに派手さなんていらないんだけど・・・
「俺もああいうの撃ちたい」
「・・・めぇ」
「」(オミズー
「めぇ」
「聞いてよ」
しーちゃんとロラちゃんが無視する~。
いいもん。ポヨネに聞いてもらうもん。精々ゆっくり過ごすんだな!
「あ、これ置いとくからおやつ代わりに食べてね」
「めぇ」
「」(ワーイ
ご褒美のフルーツを忘れずにおいてかなければ・・・メロン多め。
 




