298話
「あら~?何かあったの~?」
「ありました」
「ワフ・・・」
「まぁ今回はコロちゃんも悪かいかんなぁ」
「うー」
「へぇ~そうだったのね~。ご飯できたわよ~」
「あーい」
「あ、コロちゃん降ろさんのね」
「今日は寝るまで抱える」
「・・・クゥーン」
コロちゃんが勝手にするのがいかんのだ。
「いや、飯の時間くらいは放せよ・・・」
「ワン!」
「やだ」
「即答」
「うー」
いくら誰に言われようとも今日だけはダメだ。ダメなののだ。
ちなみにどんな体勢かというと、まずソファに座っている時はお腹に手を回して抱えてる状態。
立つときは横から抱える感じ。今はコロちゃんと抱き合う感じです。
あ、これだとコロちゃんがご飯食べれない。
「俺が下で食うか」
「そこまでするんか・・・」
俺が地面に座って体勢変えれば問題ないな。
よっこいしょっと・・・コロちゃんを膝の上に座らせる形にして・・・あ、ねっさん。コロちゃん分のお皿頂戴。
「ちゅ」
「あざっす」
「ワフ」
「コロちゃんも満更じゃないのがあれやな」(ズズ
「うーうー」(ズズ
「む。味噌変えたんか。これええな」
「う?」
「あん?」
「あ、多分母さんが間違って買ってきたやつだな」
「どこのかしらねこれ~?」
「「!?!?」」
ズズズ・・・ああ、本当だおいしい。
まぁだし入りだったらなんでも大丈夫でしょう。
ところでこんな体勢で恐縮ですが、中級ダンジョンのご報告よろしいかトトさま。
「なんだその呼び方・・・」
「気分」
気にするな。
「それで?何かあったのか?」
「目的の物はなし。5層に関しては強さは30後半くらい。物は肉」
「む?かぶることもあるんだな」
「どこと?」
「いや、最初のダンジョンでも肉は取れるだろう」
「いや、あれはオークで、こっちのは牛だから」
「ほう。牛肉か」
「全部研究所に送ったから、明日確認よろ」
「わかった。苦戦はしそうか?」
「んーあんまりかな。コロちゃんが足切っちゃったからあんまよくわからん」
「とどめはうちがやってもうたしな」
「そうなのか・・・ああ、だからそれなのか」
別に、俺の指示なしに動くことは問題ない。戦闘中とか大体そんな感じだし。
何がダメって、危ないことを勝手にやったことだよ。やる前に俺に言ってほしい。
あの時は余裕もあったんだから。
「一歩間違えれば潰されてたんだぞお前」
「ワプ」
「聞いちゃないぞ」
「まぁあんなんだったらコロちゃん基本避けられるからなぁ。動ければやけど」
「魔力に関しては微妙なんだから、もうメ!」
「ワン」(グリグリ
「それとこれとは話が別だー!!」
悪い事したんだから今日は大人しくしてなさい。
「ああそうだ。フミに聞きたかったんだけど」
「おん?」
「いや、あの巨大ミノタウロス。とどめ刺した感じどんな感じだった?」
結局俺は攻撃を受け止めただけだ。だから、攻撃したときの手ごたえを知りたい。
昔ならフミの評価はあてにできなかったが、今の俺ならフミと感覚が結構似てきている。
殴った時の手ごたえとか、いろんな情報を理解できる。
「んー。やっぱり30後半を出ないくらいの強さやと思うわ。もちろん、ボスってのとあの大きさは別にしてな」
「それ込めると、倒すのにはどれくらいの能力がいる?」
「・・・40くらい行けるなら問題ないと思うわ。もちろん、相手に攻撃を受けへんって条件つくけど」
「まぁあのサイズだしな。そもそも攻撃を食らう前提なら俺たちもまずいか」
「せやな。流石にあれを直に止められるんわ無理やろ。恭輔全開でようやくくらいやないの?」
「フミは?」
「うちは・・・微妙やな。地面に埋まるかもしれん」
「ああ、やられはしないんだな」
「そらな」
そうなると、やっぱり結構あのミノタウロス強いんだな。フミがそう言うんだし。
もちろん、今俺たちが攻略使用している最初のダンジョンの49層とかには及ばないんだろうけど。
まぁあっちは階層の環境よか他の原因で難易度が上がっているからな。純粋にモンスターの強さとかだと、同じモンスターでも中級の方がいいのかもな。
その分見返りは大きいが。
「どれくらいの肉が手に入ったんだ?」
「・・・ポヨネ、どれくらいだった?」
「えっと・・・トラック4台分くらいかと」
「俺たち、ボスに向かってただけだよな」
「そうですね。集めようと思って集めたわけじゃないです」
「それでトラック4台分・・・」
「まぁ金属とか燃料とかだったら、喜ばしいなぁ」
「ああ、一人の成果でもかなり期待できる」
「あればな」
「本当にな」
あればいいなぁとしかいいようがない。実際本当にあるのかわからないしな。
ただ、木材はあって金属はないってのはちょっと不親切だろう。あれだって一応人間を潜らせるために作ったのなら、あってもいいだろう。
報告はそこまで。話すことはもうないし。ずっとこの話してても仕方ないしな。
「そういえば、恭輔はやっぱりコロちゃんが特別なのか?」
「はい?」
「いや、他の子が無茶してもそんなことしてないだろう」
「え、してるけど」
「え?」
「ああ、お義父さんおらん時が多いんですわ」
「・・・そうなのか?」
「そうそう。すらっぴとふーちゃんは常習犯」
勝手にふらふらどっかに行っちゃうからなぁ。
何故かダンジョン内ではピッちゃんはふらふらしないから安心できるんだけど。
すらっぴとふーちゃんは子供だからなぁ。
他にも、ねっさんとしーちゃんはあんまり無理をしない。バトちゃんはまず俺の傍から離れることが少ない。
コロちゃんはテンション上がったりすると気がついたら変なことしてる。
その度に俺もみんなを離さずに抱えてる。
「すらっぴなんかだと、冷たくて夏は便利だった」
「それは関係ないんやないの?」
「まぁな。ふーちゃんもこの間温度変えるのは出来るようになってたし、問題ないな」
「うー」
「あ、ニホリも巻きたい?」
「う!」
「私もー!」
「直接ふーちゃんに頼んでくれ」
「う」
「はーい」
「・・・俺はしーちゃんが気になるんだがなぁ」
「あれは冬用だよ。静電気すごいけど」
「気になるなぁ・・・」
うちの中で一番動物に触れてるのは俺だけど、親父も母さんも動物大好きなのは変わりなし。
あんなもふもふがいるのだから、一度くらいしてみたいよね。わかる。
まぁ俺は普段独り占めしてるんですけど!!
「みーちゃんも結構いい感じに柔らかかったよね」
「まぁ虎・・・猫だしな」
「みーちゃん・・・」
「おお、母さんの周囲の空気がみるみるよどんでいく」
「ははは。毎回こうだからな」
「知ってた」
「言っとくが、お前もそうだったからな?」
「え」
俺動物と離れ離れになる時あんなオーラ出してる?
「ああ、動物園から帰るときあんなんかも。スッキリしたわ」
「う」
「してるの?」
「クゥ」
「ちゅ」
「るる」
「マジか」
あんなショック受けた顔で・・・いや、そらショックだわ。
だって俺未だに動物園に住みたいもん。帰りたくないわ。
 




