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296話

最近はまだすごしやすくていいですね

「やってきました中級5層!」


「う!」


「ワン!」


「きき!」


「クゥ!」



相変わらず中級はアホみたいに広い!!とはなっていない。

広かったのは1層と3層だけだったな。後は普通のダンジョンみたいに入り組んでたり森だったり山だったり。

ここ5層は広いっちゃ広いんだと思う。これと言った障害物もないし、平原が広がっているだけ。

だけど、高低差がすごいから、そういう印象を受けないんだ。



「まぁでもピクニックにはよさそう」


「気持ちええくらいのええ天気やしなぁ」


「うー」


「るる♪」


「ちゅ~」


「!!」


「ユニちゃーん。あんまり遠くいっちゃだめですよー」



そして何より変わっているのは、ポヨネとユニちゃんが一緒にいることだろう。

本来はまだ俺たちのいる階層で戦うことが出来ないユニちゃん。しかし、それは最初のダンジョンの話。

中級ダンジョンなら十分通用する実力を持っているらしい。だから、この際だからと一緒に連れてきちゃいまいた。

まぁ移動するのは大変だったけどな・・・



「さてと、なごみたいところだけど、行きますか」


「ほいほい。みんなもよさそうやな」


「う!」


「ニホリちゃんは私と後ろにいましょうねー」


「ううー」



ニホリがポヨネに持ってかれてる。手足をジタバタしてるけど、本気で嫌がっているわけじゃない。

なんとなくこうした方がいいとか思ってるんだろう。そしていつもの如くしーちゃんに向かって投げられる。



「う!」


「めぇ」



毛の中に飛び込んで、背中のあたりで顔を出してしーちゃんによろしく!

しーちゃんも慣れた物で暴れないでねと一言だけ返す。クールだ。

ユニちゃんも近くまで戻ってきたので、ようやく安全圏から出る。階層によって階段近くの安全圏の範囲は変わらない。

そこを出れば、一気にモンスターたちが襲い掛かってくるはずだ。全く見えない分、何が来るのか予想もつかないが。



「じゃあ行きまーす」


「がんばれー」


「うー」



まず、俺だけが安全圏から飛び出して様子を見る。



「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・???」



ゆにちゃんが首をかしげる。何も来ないし。

あれ?おかしいなと思ったその瞬間、地面が揺れ始めた。



「おお?下?・・・じゃないな」


「・・・ワン!」


「ちゅちゅ!?」


「はぁ?遠く?」



坂がいっぱいだから、地味にまっすぐを見ても奥を見通せない。コロちゃんは匂いで、ねっさんは分身たちが何かを見つけたようで、しきりに奥から来てると言っている。

これ、飛んだ方がわかるかな。



「バトちゃん」


「き!」



バトちゃんを呼んで一緒に飛ぶ。20メートルくらい上まで飛んだら、ようやく全体が見渡せた。

そして、コロちゃん達が言っていた奥から来ている正体がわかった。

なるほど、あれなら地面も揺れるわ。



「牛がいっぱいだ!」


「きき~」



ここ肉階層か。























迫ってくる牛の大群。

牛と言っても、鋭い角がっちりとした肉体。

お前をミンチにしてやるぜと言わんばかりの目つき。はっきり言って動物園とか牧場で見る優しい感じは一切ない。

まったく可愛くない。実力差が理解できていないのか、一切止まる気配がない。


だがそれが仇となる。大群の先頭がその姿を消す。

急に落ちたのだ。



「猪突猛進・・・猪じゃなくて牛だけど」


「・・・クァ~」


「欠伸は早くない?」



俺が進行方向に穴あけただけなんですけどね。

それだけで、なん十体という数が消える。まぁ倒せてはないと思う。それだけなら。


下に次々と牛が落ち行く。下のが這い上がってくることはない。上がろうとしても上から次の牛が落ちてくるから。

それに押しつぶされて、ようやく倒せる。

すると下の部分に空きが出来る。また落ちてくる。死ぬを繰り返す。

それでも、落ちる前にこちらに向かってくる個体もかなり残っている。



「じゃあ次はこうだ」



牛たちの進行先の地面を、牛たちが通り過ぎるか過ぎないかのタイミングで地面事持ち上げる。

過去に森を潰すのに同じことをしたが、今の方がはるかに消費が少ない。まだまだ余裕が残っている。

だから、その後の全員での攻撃にも参加できる。


上空に地面事運ばれた牛たちを、全員で狙い撃ちにする。



「イエア!!ぶっぱなせ!!」


「ワン!」


「ぴぴ!」


「きき!」


「クゥォ!」


「るる!」


「めぇ!」



持ち上げた地面は、それだけはすぐに下に下げる。

そうすると、残るは牛のみ。そこを魔法組の攻撃が襲い掛かる。


銀の槍が牛たちを次々に貫き、魔刃が切り刻む。

焼かれ、貫かれ、潰され、消滅していく。


もちろん、大地にはまだ残っている牛がいる。そちらは、残った子たちが相手をする。



「「「「「「「「「「「「「ちゅっちゅちゅー!!!」」」」」」」」」」」


「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」


『にゃーん』



無数のねっさんとユニちゃん。そして巨大ふーりんちゃん。

彼らが迫ってくる牛たちを完全にシャットアウトする。その間に、空中牛がいなくなる。

再び、ある程度距離の離れた牛たちを空中に持ち上げる。空中で、また魔法による殲滅が始まる。


30分。それを繰り返す。そうすると、よくやく牛の群れに切れ目が見えた。モンスターの殲滅速度が、増加の速度を上回った。

それをポヨネが確認して、前に進みながら攻撃の速度を上げる。

10分後に、目の前から牛たちがいなくなった。



「よし、走るぞ!」


「ワン!」



だけど、休んでいられない。ここ中級ダンジョンでは、休む暇なんてない。

少し休むと、また同じ大群が来てしまう。だから、一気に進むことでモンスターを増やすボスを先に狙うのだ。

進むことで、一度に相手にする数を減らすという目的もあるが。向かえば勝手に少数でも襲ってきてくれるし。



「「「「ちゅ!!」」」


「ワォォォォン!!!」


「「「「!!!」」」」



道中のモンスターは、向かってくる敵をユニちゃんとねっさんが牽制している。

それを突破してきたものを、コロちゃんが倒す。

移動しながらの戦闘の場合、魔法組は戦力が落ちる。集中しずらいし、狙いにくい。

だからこそ近接組が戦闘をおこなう。

これが始まると、コロちゃんは遠距離戦には参加しない形になる。そうでないと魔力が持たない。回復薬は持ってきてるけど。ロラちゃんがそれを出せる量に限りがる。そもそも一日数回分しか出ないから、可能なら節約したい。



「ニホリ!大丈夫か?」


「う!」


「めぇ」


「さっすがしーちゃん!」



移動する際、しーちゃんに乗ってニホリが移動する。

結構な速度で動くので、振り落とされないか心配だったが、しーちゃんが『増毛』して落ちないようにしているみたいだ。

落ちたら落ちたで隣を並走するフミが受け止めてくれるんだが。フミだと酔うとか言ってたからなぁ。



「いや、うち誰かを運ぶ経験とかないねん」


「あってもどうなんだって話になるからなぁ」


「前向いて走ってください二人とも!」


「「はーい」」



ポヨネに怒られてしまった。

まぁ後ろ見ながら走るのは危ないわな。


そろそろ走り始めて20分ほど経つ。今までの経験から、そろそろボスが見えてくると思うんだけど・・・



「きき!」


「いたか!どっち!!」


「き!」


「わかった。ねっさんユニちゃん。方向転換するぞ!!」


「ちゅ!」


「!!」



分身たちを操作して、俺たちの進行方向の敵を倒すか動かすかをしてもらう。

安全地帯を離れて、かなりの距離まで走った関係上、全方位から牛が向かってくるから、どちらにボスがいるのかわからなかった。

だから、今回は安全なバトちゃんに空から見つけてもらったのだ。


牛たちを蹴散らし、突き進む。

ひときわ大きな坂を越えた時、視界の先に巨大な何かが見えた。



「いやでかいわ!」


「う~」


「言うとる場合か!」


『モォォォォォォぉォォォ』



想定通り、巨大な牛。しかし、ただの牛ではなくミノタウロスだった。

手にはもちろん、斧のようなこん棒なような何かを持っている。そのサイズも、もちろんビッグサイズ。

それが、ゆっくりと振り下ろされる。デカすぎてゆっくりに見えているだけだ。



「ちょ、いきなりかよ。ポヨネ!!」


「ハイ!!」



結界と金属で防護壁を作る。

壁と斧がぶつかった瞬間、とんでもない衝撃が俺たちを襲った。


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