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283話

夜一話です

「そういや、恭輔って忘れっぽいやん?」


「・・・そうか?」



結構物覚えはいい方だと思うんだけど。



「それ好きなこととか興味あることだけやん。他の事さっぱり」


「まぁ・・・それはだれでもそうじゃね?」


「いや、自分のレベルとかすぐ忘れるし」


「・・・別に見なくても強くなってるの分かるしなぁ」



これがカード見ないと強くなれないとかだったら見るけどさ。そんなことないし。もっと言うなら、あれって自分達のスキルの確認にしか使えないしな。

頻繁に見ようと思わないんだよ。



「・・・じゃあスキルスクロールすぐ開けへんのは?」


「え、ガチャチケットってある程度貯まってから使うもんだろう」



そのまま倉庫に仕舞って忘れるけど。ニホリが覚えてること多いから・・・



「まずガチャやないってところからいっとく?」


「そんなことより俺のゴリラ扱いの方が大事かな」


「・・・忘れとらんかった」


「帰ったら狸な」



いやって程撫でる。


















階層の攻略はぶっちゃけノリと勢いでやることが多いんだけど、どうしてもできないってこともある。

環境がひどい時とかは、ポヨネの結界に頼らないとそもそも活動すらできないって時がある。

んで、そういう環境って基本的に他の人間も行けないわけで。



「だからせめて、そういう環境でも活動できるようになる装備とか。そもそもそういうの無くすとかしないと人がその先に行けなくなる」


「なるほど」



こんな話をするってことは、俺の話し相手は一人・・・一体?だろう。

ダンジョンの人型。こいつがなぜか今日うちに来た。普段みたいに直接俺のところには来ずに玄関から入ってきたけど。急に丁寧になるじゃん。

まぁ質問されたから聞きたくて来たんだろうけど、毎回俺たちに何かあってから来てたやつだから、あちらから聞きに来るってのは初めてか。

いや、俺には初めてだけど、親父たちには一回やってるんだっけ?



「てか、なんであんなところあるのさ。別にそこじゃないといきれないモンスターは出さなきゃいいだけだろ」


「環境の再現はコストがかかる」


「・・・ならやらなきゃよくね?」


「だからやる」


「おん???」



まったくわからん。

聞いてもはぐらかされるだけだし、コストがかかった方がいいってなんだ?



「感謝する」


「おう。まぁいいんだけど」



ある程度質問に答えていると、満足したのか帰ろうとする・・・の前に、俺の机に置いてあったお菓子を凝視する。

・・・こいつ、俺のところに直接来なかった理由ってこれか。玄関から入ればニホリに会うからお客様扱いだし。お菓子出るし。

今日はまだニホリがおかし持ってきてないけど。



「・・・まぁ来るまで待ってたら?」


「・・・」



無言の再着席。


しばらく、無言の時間が続く。

本当に聞きたいことが終わったのか。後はお菓子にしか興味ないのか。

ただ待ってる間俺のこと凝視するのはやめろ。そこのお菓子食べてていいから。


そう許可したとたん。ぱくぱくと食べ始める。子供かこいつは。

ああ、そうだ。今のうちに聞いとくか。



「俺からも質問いいか?」


「・・・ゴクン。いい」


「お前ダンジョン作り変える気ってことでいいんだよな」


「肯定」


「だったら、新しく作った方がよくないか?」


「・・・同意」


「同意って・・・ん?もしかして既に作ってる?」


「・・・」


「だんまりだと肯定してるようなもんだぞそれ」


「どうすればいい」


「ええー・・・」



そこ俺に聞かれてもなぁ。

嘘つくとかしかないんじゃないの?



「がんばってはぐらかすんだよ」


「・・・難易度が高い」


「そこはがんばれ。あともう一個いいか?」


「ん」


「俺は勝手に中級ダンジョンって呼んでるけど、あのダンジョン何?」


「・・・?」


「ああ、一層にトレントがいっぱい出てくるとこ」


「・・・あ」


「忘れてたなお前」


「誰も入らない」


「まぁ・・・あそこは入らないよなぁ」



俺も碌に探索してないし、だから中で何が採れるのかわかんない。

木材が採れるって言うのはわかってるけど、それだけなんだよな。そこまで木材って万人が必要かっていうとそうでもないし。

そうなると必然的に人が入らなくなる。今は植林やってるから少しだけいるけど。



「あれは失敗」


「だろうな。難易度高いって」


「そうではない」


「おん?」


「まだ言えない」


「ああ、そうですか」



急にはぐらかすじゃん。出来るんじゃん。

てか、失敗したのにそのままなのか?最初のダンジョンもこいつらの目的には即してないから失敗してるようなものだけど。



「それは問題ない」


「ほう」


「言えない」


「お、おう」



なるほど、黙秘って方向になったのか・・・

そんな感じで、聞いては答えてもらって、大体黙秘で5分くらいか?

いろいろ聞いてたら、人型待望のニホリがやってきた。



「うーうー」


「どうぞー」



ちゃんとノックして部屋に入ってきた。

ニホリの頭の上にはお茶とお菓子の置いてあるお盆が浮いている。

それを見たとたん、人型の視線がそちらに固定された。



「・・・う?」


「・・・」


「・・・うー?」


「普通に食べていいぞ」


「いただく」


「・・・うー」


「気に入ったみたいだぞ」



前々から思ってたけど、こいつニホリのお菓子気に入ってるよな。

完全に虜になってる感じだし。



「・・・」(モグモグ


「うー♪」


「まぁお前はおいしそうに食ってくれたらうれしいよな」


「う」


「料理人て・・・」



まぁ間違ってないか・・・

・・・あ、ニホリ達のことって聞いたら答えてくれるのかな。



「不可能」


「お!?」


「う?」



心を読むんじゃない。フミか。



「私の管轄ではない」


「マジか、そういう感じか。・・・ちなみにあの人?」


「肯定」


「うわぁ」



会ったのはあれっきり。だが覚えている。あの圧倒的な存在感を。

大きすぎて、気を抜くと何も感じなくなる。この人型と比べても十分化け物っていえるくらいの存在。

そもそも戦う気すら起きなかったからなぁ。



「おれ、若干苦手なんだけどあの人」


「・・・黙秘」


「おう、それは逆に傷つけるぞ」


「難易度が高い」


「コミュニケーションって難しいよな。わかるわ」



俺も人間と話すの難しいと思うわ。

コロちゃん達の場合は楽じゃないけど、それより楽しいからなんでもいい。



「何を聞きたい」


「ん?ああ、答えられないけど聞くだけならいいのか」



俺が聞きたいのはニホリの知識の事だ。

ニホリと同じアリシアもそうなんだけど、彼女たちは50層までの知識を持っている。

ここが疑問なのだ。そういう種族だといわれたらその通りなんだけど。



「なんで50層までなんだ?」


「う?」


「知識を持つって意味なら、全部知ってたっておかしくないだろ」



ニホリを、ダンジョンについて教えてくれるお助けキャラだとしよう。

そうなると、50層まで知識でも問題はない。だが、そうなるとその先を知っている別の存在がいることになる。

または、50より先は自力でやれってことなのか。



「だったら別に50までにすることないだろ?初心者救済なら、10まででいいと思うし」


「同意」


「うー」


「でも50までだろ?」



他の冒険者の場合、これの意味はまったくわからないだろう。

だけど、俺は少し状況が異なる。



「ニホリが俺のところに来てくれたのって、実は偶然じゃないんじゃない?」


「・・・う?」


「最初から俺を50まで来させるための助っ人・・・そう考えると、50までって知識に納得がいくんだよ」



ロラちゃんがそうだ。あの子は俺達に薬を与えるためにこの人型が送ってきた子。

まぁそれとは関係なしに可愛いからいいんだけど。最初はそうだったって話で。



「送ってきたのは・・・多分、お前じゃなくてあの人」


「・・・不明」


「だろーな。知ってたら答えてくれただろ?」


「肯定。一度答えた質問」


「だよなぁ」



ただ、そうなるともうひとつ疑問なのは・・・何時の時期から俺を50まで来させようとしてたかってことだな。

まだフミはおろか、しーちゃんもいなかった時だ。その時の俺は、確かに冒険者の中では一番階層を進んでいたがそれだけだ。

何か変わったことがあったわけではない。『テイム』は俺だけだったが。



「なんでなんかねー」


「・・・」


人型は何も答えない。これは、知らないんじゃなくて答えられないって感じだな。

いい加減、何回も会ってればこれくらいわかるようになるわな。


まぁ、さっさと50までいって聞けってことだな。











「うー・・・」


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