2話
「・・・さて、どっから見るか」
「ぴー」
頭の中に謎の声が流れてきてから15分。その間、放心状態だったのでなにもこなかったのはありがたかった。
混乱が落ち着いた後、とりあえず入り口まで戻ってきた。スライムはコウモリを消化しながらついてきた。
美味しいのかそれ?
・・・とりあえず、カードからいくか。
頭の中に声が流れてから、目の前にカードとその他もろもろが落ちてきた。何もない空間から落ちてきたので俺の混乱具合を加速させてくれたがな!
「・・・運転免許みたいなもんか?」
書いてあるのは名前、レベル?、スキル一覧と書かれた欄、裏には何も書いていない。
「とりあえずこのスキル一覧にある『テイム』はさっき聞こえたやつか。一個解決」
別の問題が発生した気がするが気にしない。一個一個処理していこう。
次はこの巻物。スキルスクロールだと思われるもの。ゲームでいうなら使えば新しいスキルが手に入るわけだが・・・
「どうやって使うんだこれ?」
「ぴー」
「・・・わかる?」
「ぴ?」
「まぁわからないよな」
なんでスライムに聞いたんだろうか?
・・・とりあえず開くか。
そう考えひらく。中には何か書いてあるようだが。
「土魔法?」
スクロールに書かれた文字を読んだ瞬間。スクロールが光を放ちながら消えていった。
「・・・?。・・・あ、カードにスキル追加されてる」
「ぴ!」
「ん、ありがとう」
ついに俺とスライムの意思疎通が完璧になってきた。
しかし、スキルが追加されても使い方がわからないし、どうすりゃいいんだ?
「さっきと同じ感じなら声に出すだけとかか?」
とりあえず、危険のなさそうな『テイム』にするか。魔法だとなにがあるかわからんしな。
スライムに向かって。
「テイム」
「ぴ?」
「あれ?ダメか。なら手を向けてみるとか。・・・『テイム』」
手を向けて再度テイムを使ったとたんスライムが光った。一瞬で元に戻ったが特にスライムに変化なし。
・・・失敗?とか考えていると。
ポーン
『世界で初めてモンスターのテイムに成功しました。スキルスクロールを送ります』
あ、もんだいが増えた。
そう認識したとたん、また何もない空間から巻物が落ちてきた。
先ほどはよく見えていなかったが本当になんの前触れもなくでてくるのか。
スクロールも紙というより、昔の羊皮紙みたいな感じだ。
「では御開帳」
ひらいたスクロールには『水魔法』と書いてあった。
意味は読んで字のごとくだと思うのでいいのだが、硬くなるのか・・・
「とりあえず使うか」
同じように『水魔法』と声に出すと前と違うことが起きた。
ポーン
『スキルスクロールの使用を確認しました。自分かテイムモンスターのどちらかが習得できます』
「そうなるのか・・・」
「ぴ?」
「・・・スライムの方で」
『冒険者、恭輔のテイムモンスターがスキルを習得しました』
「俺が覚えた時はそんなんなかったぞ」
「ぴー」
「・・・こいつに変化はなし。なんか俺みたいにレベルとか見れたらいいんだけど」
「ぴ!」
「お?どうした?」
「ぴ!ぴ!」
「え、なんだなんだ。カード?」
「ぴ」
ぼやいていると急にスライムが跳ね始めて自己主張を始めた。それに気が付くとカードの方に近づきまた跳ねる。
特に何もなかったと思うんだが。
「あれ、カードの裏になんか追加されてる」
何も書いてなかったはずなのだが、今見るとテイムモンスター一覧。魔法一覧の文字がある。
ここでいろいろ見れるのか?
「お、見れるな」
「ぴー」
「ありがとうな」
そういえば食べ終わったんだなコウモリ。気が付いたら一番初めにみた緑色の水まんじゅうに戻っている。
今のほうがおいしそうだな。
「ぴ!?」
「ああ、すまんすまん。冗談冗談」
俺の考えを感じ取ったか、後ろに下がっていった。冗談と伝えると戻ってきたが。
とりあえずカードの裏はスマートフォンのようになっているのか、タッチするとそれぞれの情報が見れるようだ。
スライムと表示され、もう一度スライムをタッチすると全体の表示が変わった。
表の俺の情報と同じ内容だな。名前のところは空白なんだが。俺が決めるのか?これ。
「なんにするか」
「ぴ?」
「・・・なんでもいいか」
「ぴ!?」
「とりあえず報告からか・・・」
名前を期待してたのかショックをうけたかのような反応だったが気にせず持ち上げる。
・・・液体なのに持てた、どうなってんだこいつの体。
「ぴー!ぴー!」
「はいはい。ちょっと我慢しなー」
「ぴー」
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