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フミとお出かけその2

今日は間違えない。おでかけの続き

そんなわけで、少しだけ遠回り。人の気配の逆の方に行ってるだけなんだけど。

少し進む方向を変えればまた違った景色がある。



「おお!あれ湖やな!!」


「ん?どこだ」


「ほら。あれやあれ」


「・・・ああ。あれか。本栖湖かな」


「本栖湖?」


「このあたりには 結構有名な湖が多いんだよ。そのうちの一つ。キャンプもできるんだっけか?」


「ほほー。まぁうちらはダンジョンでキャンプしてるようなもんやしな」


「寝泊まりしたことはないんだけどな」



夜通し探索してたことはあるけどな。肉の為に。


でも、一回はみんなでキャンプもいいかもしれない。安全な場所でそういう経験も悪くないだろう。

家で寝るのとは全然違うし、ニホリなんかは喜びそうだな。

問題は、みんなとキャンプできる場所があるかってことなんだけど。



「もう勝手にどこかでやるか?」


「お義父さんに言えば、なんとかなるんちゃう?」


「後は千爺とかかな。金持ちだし」



私有地の一つや二つ持ってるでしょ。



「それにしても、湖に富士山映るってことは、それだけなんもないってことやな」


「その通りなんだけど言い方あれだな」


「ダンジョンやとモンスターとかおるしなぁ。どうしたってやかましいし」


「わかるー」



ダンジョン内の湖の中に何もいないってことはほぼない。

そもそも湖とかとういう大きな水場が少ないんだけど。ピラニアの階層と、22層の海くらいなものか。

まぁフミの言い方だと下にまだあるみたいだけど。



「あーあー。ダンジョンの中にもこういうところあればええのに」


「なんでだ?」


「その方が気楽に恭輔と来れるやん。お出かけやって今日みたいにヨミから鳥ちゃん借りんと遠出できへんし」


「ああー。休みとってるならいいんだけど、どっちにしろお前と二人っきりになっちゃうしな」


「む。その言い方は傷つくで」


「あ、ごめん。普通の移動手段だと、コロちゃん達置いてかなくちゃういけないしってこと」



コロちゃんだけとか、すらっぴだけとかならまぁなんとかなる。

でも、全員一緒には難しい。しーちゃんとユニちゃんが特に難しい。その子らが快適に移動できる手段を手に入れることすら難しい。

トラックだって快適かどうかというと違うだろうし。そうなると、俺たちにとって現実的なのは俺が年をとって何かの免許を取るか、ダンジョンで手段を手に入れるかのどっちかだな。



「シルフバードも、ユニちゃんたちを乗せて安全かどうかは微妙だしな」


「大家族はいろいろ面倒多いんやなぁ」



大体山の中腹まで登ってきただろうか、そのあたりで一度休憩。

足場は悪いが、そのあたりは俺の魔法でどうにでもなる。

足場を整えて、ニホリから預かった荷物を広げる。



「ニホリに何も言ってないんだけどな・・・」


「察しの良さ〇やな」



出かける寸前に、バッグを一つ渡されてたのだ。いつ用意したんだとか、なんで知ってたんだとかいろいろ言いたいことはあるが、まぁ今はいいだろう。


鞄の中を広げると、簡単なお茶会セットが。

水筒にお菓子。敷物とピクニックセットが・・・



「ああ、これピクニック用のやつか・・・」


「ああ、道理で見覚えある内容やと・・・」



俺たちが二人で出かけるから、必要でしょって感じで探してきたのか。

・・・いや、二人で出かけるでなんでこのセットピンポイントで持ってこれるんだよ。



「流石ニホリや・・・」


「本当にな・・・お茶暖かいし」


「お菓子・・・これ昨日作っとったやつやない?」


「あいつなんなの?エスパーか何かなの?」



俺はこの時知らなかったが、ニホリと俺に繋がった魔力のラインのせいである程度気持ちと考えていることが伝わっていたようだ。

無意識で俺が今日フミを誘ってどこかに行くってのも、おそらく伝わっていたのだろう。


まぁ俺はこの時それを知らないので・・・



「察しの良さっていうか・・・空気読みの力っていうか・・・」


「これが主婦力なんやな・・・」



ニホリの想像を超える何かに、二人して驚きながら持たされたピクニックセットを堪能する。

持たされた中身を全て食べ終わり、再び登り始める。



「んん~・・・空気も冷たくてええなぁ」


「結構標高上がってきたからな。そろそろ酸素も薄くなってきたかな?」


「薄くなるん?」


「え?そらそうでしょ」


「へぇー・・・薄くなるとどうなるん?」


「ああ、ダンジョン内だと関係ないかそういうの」


「そもそも地面の下やし。これってうちに何か影響あるんかな」


「流石にないかなぁ。心肺機能もレベルで上がってくるから。そもそも俺はこれくらいなら問題ないんだけど」


「うん?恭輔登ったことあるんか富士山」


「そりゃな。まぁ姉ちゃんに連れられたんだけど」



あの時は結構むりやりだったけどな。

まぁ今と比べてたら遥かにきつかったよ。レベルも何もないし。運動大してしてなかったし。



「ちなみにこの後、俺が前に行った店で夕飯食べて帰ります」


「お、何屋や?」


「うどん屋」






















頂上到着。



「あれ?誰もおらんやんか」


「・・・あ、そういえばまだ登山開始の時期じゃないのか」


「うえ!?それ来てよかったんか?」


「・・・まぁバレなきゃいいでしょ」



幸い、普通の登山路から行ったら俺たちの事は見えないところにいるから万が一もない。

そもそも、フミのごまかしもできるんだけど。



「いや、誰もおらんのにどうやってごまかすねん」


「無理か・・・まぁいいでしょ。どっちにしろ人はいないし」


「そういうもんなんか・・・?」



そういうものなんだよ。


折角ここまで来たんだ。まずは景色を楽しみましょうよ。

道中で見た景色も、それはきれいなものだった。しかし、この頂上からの景色はまた別格だ。

その昔、登った時のことを思い出す。



「おおー、雲ちっか!」


「それなりの恰好だけど、割と寒くないな」


「まぁそれなりにこういうところ来とるしな。耐性もできるわ」


「へぇ。寒さにも耐性つくんだな」


「まぁ慣れただけなんやけど」


「おい」



てか、寒い所なんてあんまり行った記憶ないんだけど?

熱い所は覚えてるけど。砂漠とかマグマとか。今思い出すとよくもまぁあんなところ越えたよ。



「ふふーん。ダンジョンやなくとも、ええところあるなぁ」


「そもそも自然の美しさは、ダンジョンじゃ感じにくいしなぁ」


「良くも悪くも弱肉強食。冒険者に襲い掛かってくるから、景色見とる余裕はないわな」


「敵が弱くても、本質的に警戒をやめられないからな。どうしたって力んじゃう」


「まぁ料理とかイルミネーションとかはめっちゃ好きやから。自然よりそっちがええな!」


「おん?そうなの?」


「新鮮やん」


「ああ、そういう感じか」



フミは自然に囲まれてた方が落ち着くのかと思ってたけど。

そうか、そういう見方があったか。



「・・・次は、どっか違うとこにするか」


「うん?どうしたん?」


「いや、なんでもないよ」



さて、次はどこに行こうかなー。


ああ、沖縄料理はあんまり家でも出ないな。

そこだな。

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