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フミとお出かけ

昨日予約投稿をミスりまして、そのまま投稿してしまいました。なので急遽おまけを投稿

「フミ〜」


「なんや〜?」



とあるお昼。突然恭輔に呼び止められるフミ。

この後は洗濯物畳まなあかんな〜とか思っている矢先のことだった。

コロちゃん達はお昼ご飯の後だからか、思い思いに寛いでいる。

あそこに恭輔おらんの珍しいなぁとか思いつつ、何かあったのかもしれないとへんじをする。



「この後予定は?」


「予定?ないで。洗濯物とかはあるけど」


「そうか。ニホリ、頼んでいいか?」


「うーうー」



食休み中なのか、食器を洗った後にお昼寝集団の中で微睡んでいるニホリに何かを頼む。そして、



「出かけるぞ」


「・・・へ?」



どこかで、鳥の声が聞こえた。

















「急になんや思ったわ」


「ん?嫌だった?」


「うれしい!!」



ちょろすぎやしねぇかこいつ・・・。

内心で少し心配になりつつも、空から見る風景を楽しむ。シルフバードを借りて来たのだ。2人で少し遠出がしたくなったから。まぁ、その際に少し煽られたけど駄賃だと思っておこう。


フミには行き先を伝えていない。ただ2人で出かけるってことしか言ってないしな。



「さすがのうちもこの高度まで飛んだ事はないなぁ」


「お前の場合飛ぶっていうか跳ねるなんじゃないか?」


「結果的には高いとこ行くから同じや。恭輔は何回かあるんか?」


「親父達の仕事について行ったことが何回かあるからな。飛行機でこれくらいは見てるよ。流石に鳥に乗るのは初めてだけど」


「そらそうやろな」



俺と2人である事がすでにうれしいのか、いつもよりフミの機嫌がいい。

今2人でシルフバードに乗っているのだが、俺が前でフミが後ろ。フミが俺に抱きつく形になっている。

ちなみに今は雲の上だ。フミがスキルで俺たちの存在を誤魔化せるとはいえ、それを過信するのも危険なのでここを飛んでいる。シルフバード自体の形はただの鳥だしな。



「てか、どこ向かっとるんこれ?」


「そろそろ見えてくると思うんだけど・・・雲が切れないな」


「んー。あ、あっこが下見えるで」


「お、でかした」



シルフバードに指示を出してそちらに向かう。そこから下を確認するくらいなら問題ない。降りる時もすぐに降りてしまえばバレない。


フミが見つけた雲の切れ目から下を見る。

すると、今日の目的地が見えた。



「あれだ」


「うん?・・・山?」


「富士山だよ。ほら、お金の」


「おお!!あれが富士山!家行く時は見えへんかったからなぁ」


「だろ?この際だから、行ってみようかと思ってな」


「思ったより大きいんやな。ダンジョンの中やともっと小さい山しかあらへんし、もっと汚いわ」


「汚いて・・・」



ダンジョン内の山は、標高は確かに低いがその分険しい。そもそも人が登る山じゃないんだ。後、汚いっていうのは岩山ばっかりだからだろう。


周囲を一応確認しつつ急いで降りる。

ダンジョンモンスターが外に出ているってのは、一応一般には秘密になっているからな。

念には念をということです、降りた場所は山に近い森の中。ここなら人に会う事もない。



「あんがとな。帰りもよろしく」


「ぴゅ」


「ええの?好きにさせて」


「ちゃんと言ってあるからな、それにここで昼寝したいみたいだし」


「それはそれで問題ありそうやけど・・・」



まぁ確かに。俺たち2人が乗っても余裕なサイズの状態でシルフバードを置いていくのはないな。

しかし、そこは問題ない。



「お?小さくなれるんわ知っとったけど、透明にもなれるんか」


「風魔法の応用らしい。アニメの影響だよなこれ」



目の前でシルフバードが消えていく。魔力の反応で俺たちはわかるが、まったく見えなくなったので魔力を感知できない人はシルフバードを見つけられないだろう。


これで問題ない。



「んじゃ行くか」


「へ?登るん?」


「そりゃな」


「この格好で?」


「・・・ああ、富士山って高いだけでダンジョンのほうが険しいからこれでも行けるぞ」


「山舐めたらあかんやろ」


「どこで聞いたその知識」



でもまぁ、事実富士山くらいなら問題ない。そもそも人のいる方からは登らない。



「止められるしな」


「やっぱりあかんのやな」


「ほれ、早く行くぞ」


「ほいほい〜」



2人で同時に駆け出す。走る意味は特にないんだが、なんとなく山まで一気に行きたくなった。

早々に森を抜け、山の麓までたどり着く。もちろん、登山客用の道はないし、業者の使う道でもないから本来なら入れないが



「よっと」


「人間てみんなこんな登山するんか・・・」


「そんなわけないでしょうよ」



邪魔なものは飛び越える。

足場は悪いが、この程度なら問題ない。なんなら俺個人で飛べるし。フミは空気を足場に跳べるからな。足場の悪さなんで関係ない。今は普通に走ってるけど。



「じゃりじゃりするだけであんまり岩とかないんやな」


「基準が完全にダンジョンの山だな。まぁ富士山だしこんなもんよ」



小石なんかは多いが、目に見えて邪魔になりそうな崖とかあんまないからな。

ちなみに、フミのいう岩ってのは自分の10倍以上のサイズの岩のことであって、それ以下はそもそも邪魔にならない。崖だって跳び越えられるしな。人間が登る山は大体苦にならないだろうよ。

これは、フミだけじゃなくて冒険者としてある程度の実力を持った人間すべてに言える事だが。


流石にずっと走るのはあれなので、途中からはゆっくりと。2人で並んで歩く。



「空から眺めるんとは、やっぱり全然ちゃうもんやな。この方が落ち着く?感じするわ」


「自分のペースでっていうのが大きいと思うぞ?それに、歩いた分は景色も上から見えるし」


「達成感があるのはええなぁ。こうやって見ると、街もちょいと違って見える気がするわ」



普段歩きながら見る景色、飛行機に乗って見る景色、山に登って見る景色は全部違う。何が一番いいとかはないと思うけど、だからこそそこで見るものに意味がある。



と、思う。



「なんやそれ」


「いや、俺も親父から聞いただけだしな」


「お義父さん?」


「あの人、自分の興味を持ったもののためにどこまでも行くから」



今でこそ書類仕事に追われる毎日を過ごしているけど、ほんの少し前は一分一秒何かを追ってた気がする。



「ふーん・・・あれやな、恭輔のダンジョンへの興味は血やな」


「そうだと思うわ。む、人の気配が近いな」


「妙なところにおるな。迷ったんか?」


「・・・いや、登山客じゃないな。どっかの業者さんだろう道変えるか」


「道も何もないけどな」

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