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27話

「あら?早かったねぇ」


「ニホリが近道教えてくれてさ。昼飯食いに来た」


「うー!」


「あら~。ニホリちゃん偉いわね~」


「うー!」



ニホリが母さんに撫でられている。うちにはいないタイプの子供だしな。

姉ちゃんは子供の時はお転婆だったらしい。俺はおとなしく、あまり怒られなかったらしい。

お転婆タイプと、手のかからないタイプ。ニホリは甘えん坊のタイプなので、猶更甘やかすのだろう。そんな未来が見える。



「恭輔もする?」


「いや、俺はいい。この年で撫でられるのは違うだろ」


「そんなことないと思うわよ?」


「その分皆を撫でといて」


「わかったわ~」


「ワン!」「ちゅー!」「キュー!」



毛皮組が撫でられに行った。

すらっぴとバトちゃんは俺の方に残っているが、どうした?



「きき!」「ぴぴ!」


「え、俺の膝に丸まる?いいけど」


「う!」


「ニホリは後でな。朝も座ってただろ。順番順番」


「う!」


「いい子だ」



甘えん坊だけど駄々をこねずに言うことを聞く。いい子だ。理想の子供なんじゃないか?


すらっぴとバトちゃんくらいなら俺の膝に同時に乗れる。右にすらっぴ。左にバトちゃん。すらっぴはいつも水まんじゅうのごとく丸いのであんまり変わらないが、バトちゃんは丸くなると可愛さが増す。羽で顔を覆うように丸くなっている。

ニホリは膝の代わりにソファーの俺の隣に座っている。腕の間に入り、寄りかかるように座っている。甘え上手だな。



「お昼もダンジョンに行くの?」


「行く気だけど。なんかあった?買い物?」


「いやー。お姉ちゃんが明日戻っちゃうから、夕飯には戻ってきてね~」


「アイ了解。肝心の姉ちゃんは?」


「お友達の家に行ってるわよ。約束してたみたいなの」


「ほーん。まぁ、自衛隊ならなかなか会えないもんなのかな?」



実際姉ちゃんがどれくらいの頻度で休んでるのか知らないし。

特にダンジョンが出てきてから、自衛隊は本当に忙しくなった。周辺の安全確保に、中の探索。挙句に俺が発見した内容の確認、素材回収。

頭が下がる思いだ。俺は見つけて報告する以外は何もしてないし。細かいことは親父達に丸投げ。休みも気分次第。やりたい放題だな。



「あれ。そういや親父は?」


「部屋で何かやってるみたいよ?お昼になったら呼んでって言われたし」


「珍しい。家で仕事か?・・・てかなんでうちみんないるの?仕事は?」


「今日は休みにしちゃった」(テヘペロ


「自由なのは俺だけじゃなかったか」



血筋でござった。



「う?」


「ん?今はご飯作ってるんだよ。料理だな。料理」


「うー・・・」


「・・・見たいの?」


「う!」


「母さん。ニホリが料理見たいって言ってるんだけど、なんか手伝えることある?」


「あるわよ~。おいで~」


「う?」


「いいんだよ。行ってきな」


「うー!」



料理が気になっていたようだ。いろんなものに興味津々なんだろう。やってみたいと言ってたので向かわせた。

母さんは料理上手いし、簡単なことから教えてくれるだろう。

・・・そこの才能は俺も姉ちゃんもなかったな。俺は普通には作れるけど。姉ちゃんはダメだ。メシマズとまではいかないけど、2割がた失敗する。



「それにしても、お前らともそろそろ2か月か」


「ぴ?」


「きき?」


「いや、1か月目の時はなんか忙しくて考える暇もなく通り過ぎたけど、最近は落ち着いてるからな」


「ぴー」


「そうだなぁ。最初はお前にコウモリあげたんだっけ。よくついてきたな」


「ぴ!」


「勘か・・・。バトちゃんは確か、親父が捕まえたんだっけか」


「き~」


「怖かったか。あれは怖いよな。俺も怖いもん」



前にも言ったけど、でかいんだよ親父は。



「スキル関係もなんだかんだ増えてきたし。定期的に手に入る場所がなくなった時はどうなるかと思ったけど」


「きき!」


「スキルあった方がいい?まぁ、あれば強くなるのも早いしな」


「きー!」


「そういや、すらっぴが進化したのって今月だっけ。お前ら進化しないの?」


「き?」


「知らないって、自分の事じゃん」


「きき!」


「興味ないって」



ニホリはその辺知ってるのかな。そこは聞いてもいいか?でも知らない状態で出会うのもいいんだよなぁ。だけど、条件付きとかだったらバトちゃんの為にも聞いた方がいいのか?



「バトちゃん進化したい?」


「きき」


「どっちでもいいと。ですよね」



どうも本当に興味がないみたいだ。元々戦うよりのんびりする方が好きな奴だし、進化して強くなることに興味ないんだろう。



「そういや、母さん料理してるってことはあいつらどうした」


「ちゅ?」


「うぉ!いつの間に」



気が付いたらねっさんが肩から覗いていた。コロちゃんとふーちゃんは二人して外で遊んでいる。元気だな。ダンジョン帰りなのに。



「ちゅー」


「膝は埋まってるから違うとこ来な」


「ちゅ」


「頭の上かよ。落ちるなよ」



なんでモンスターメンバーはみんな頭に乗りたがるのだろうか。すらっぴはダンジョン中は基本俺の頭かコロちゃんの上で固定砲台だし、バトちゃんは戦闘以外は俺のどこかに乗っている。一番は頭。ねっさんが来るのは家でだな。寝転がっている時とソファに座っている時。

落ちたことないんだけどバランス感覚いいな。



「ねっさんは進化したい派?」


「ちゅ!」


「したいのか。やっぱり強くなりたい?」


「ちゅ!」


「わかってたけど、お前とコロちゃんは結構戦闘狂だよな」



うちの火力ツートップだから頼もしいっちゃ頼もしい。

それに、別に暴走するわけでもないし、むしろ冷静に敵を観察して効率的に倒すことに楽しみを見出すタイプだ。ねっさんとか、戦い見てると敵が哀れに見えるんだよな。動けないように四肢ぶっ飛ばされるし。



「そういや、うちって結構火力高いけど、守りの要がいないんだよなぁ」



『硬質化』を持ってるから、俺がそうと言えばそうなんだけど。俺より大きいモンスターが多く出ている現状だとその役目を果たせていない。むしろ後ろの方で魔法使ってたほうが敵を止められるくらいだ。

ちょうどゴーレムとかなら前衛できそうだけど、今となっちゃ弱いしなぁ。そもそもテイムするなら、そういうことなしにテイムしたいし。フィーリングを大事に行きたい。ゴーレムは違う。

もっとなんか・・・ないんかな。



「うー!」


「お帰りー。ちゃんと手伝えたか?」


「う!」


「そうかそうか。隣来る?」


「ぴ!」「き!」


「う?うー!」



隣に座るかと思いきや、すらっぴとバトちゃんがどいて俺の上にニホリが座る。その上にバトちゃん。ニホリの頭の上にすらっぴ。

・・・これ俺に負担かかる奴じゃん。みんな大して重くないけど。すらっぴとか質量無視してるのかってくらい軽いし。



「うー?」


「スキルスクロール使わないのって。なんか必要なのあるか?」


「う!」


「今のうちに増やした方がいい?なんかあるのか」


「う!?うーううー」


「ごまかした。まぁ、聞かなかったことにするわ」



何が今のうちなのか。悪い事かいい事か。ああ。でもこれは聞かなきゃダメか。

悪い事だった場合、親父たちに迷惑がかかる。



「ニホリ、なんかよくないことが起きるのか?」


「うーう」


「違う?ならいい事?」


「うー?」


「わからない?・・・ダンジョンじゃないのか?」


「う!」


「ダンジョンなの?え、何が起きるの」


「うー!」



ニホリは楽しみに待ってろと言ってるので、まぁ放置で問題ないのか?

てか何か起きるってわかるのはニホリのスキルで出ない能力なのかどうなのか。


そもそもスキルに出ない能力ってのは結構ある。

コロちゃんは嗅覚もいいが聴力もいい。人の何倍も優れている。だけどこれは、狼の身体的な特徴なのでスキルじゃない。

こんな感じで、スキルにはないがスキルに匹敵するほどの能力を持っているのがいる。

すらっぴは魔力の流れを見れる。バトちゃんは耳がいい。ねっさんは鼻が利く。ふーちゃんも狐的な特徴がある。

そういうのがニホリにもあるのかもしれない。



「う?」


「お前も何かあるんだろうなぁ」


「うー?」


「そのうち分かるだろうからいいか」



そこまで急いで調べる内容でもないし。



「みんな~。ケチャップとデミグラスどっちがいい~」


「デミグラスでー。お前らは?」


「ぴ!」「う!」


「すらっぴがケチャップで、ニホリがデミグラス!」


「ありがとー」


「バトちゃんとねっさんはいつも通りかな」


「きき!」「ちゅ!」



俺たちはオムライスみたいだけど。



「オムライスだった?」


「う?」


「ありゃ。名前がわからないか。何手伝った?」


「うー!」


「混ぜてた?え、デミグラスソース自作?」



できるのか・・・。

てっきりあれって缶で買ってるものかと。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 15話でハイバットやハイラットに進化したって話があったのに今回2匹は進化してないみたいに言われています。 どちらが正しいのでしょうか?
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