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260話

夜分です。

「ロラちゃん」


「」(ヒョコ


「こっちおいで」


「」(トテトテ


「ねーねーロラちゃんロラちゃん」


「」(ナニー


「ロラちゃんのスキルって実は任意で発動できる?」


「」(ウン


「マジか」



マジか。





















「いや、元々出来てた・・・」


「うー・・・」


「え、あれ気まぐれじゃなかったの?」



ロラちゃんの『薬品生成』これは、ニホリ曰く結構なレアスキル。

『薬品生成』を使うと、ロラちゃんの耳から粉とかが出る。それが薬なのだ・・・と思ってたんだけど、なんか違うようで。

この間、俺が『■■』を使えるようになった時の戦闘で、みんなが来る前に結構ダメージを受けていた。

家に帰ってそれを見たロラちゃんが号泣。ぴーぴー泣いたと思ったら、その涙が俺の傷にかかって、傷が治った。

それで、俺は衝撃を受けて固まる。まぁ他のみんなにも泣かれてたからその時は流れちゃったけど。



「ようやく聞けるぞ」


「」(コテン?


「いや、効力も決められたりするの?」


「あ、それは無理やと思うで」


「う」


「うん?」


「ううーうー」


「『鍛冶』と一緒?」



いや、俺『鍛冶』使ったことないし・・・

ていうか、だいぶ前に売ったスキルだよなそれ。そもそもそのスキルすらよくわかってないんだけど。



「うー・・・!!う!う!」


「いやガチャて」


「ガチャ?」


「ああ、フミは知らないか」



えっと、なんて言ったらいいんだ?

一定確率でいい物がでるって言えばいい?くじみたいなものだけど。



「ああ、福引やな」


「福引は知ってるのか」


「商店街で時々やってるやん」


「ああ、そこか」



うちの近くってスーパーばっかりだからな。商店街ちょっと遠くてな。あんまり記憶になかったけど、確かにやってたような。



「って違う違う、そこじゃないわ」


「うん?」


「いや、ロラちゃんに俺が頼めばいつでも薬作ってくれるってことでいいんだよなってことを聞きたかった」


「・・・」


「・・・」


「え、何」


「無理やったな?」


「うー?」


「何故に」



二人そろって無理ってなんでだ?

ロラちゃんの任意で使えるんじゃ・・・



「いや、ちゃうねん。今はできるねん」


「今は?」


「うー」


「」(???


「・・・ロラがどうやってスキル使うか知らんかったんよ」


「・・・はい?」



モンスターですよね君。

前から思ってたけどただのゆるキャラか何かですか?

後最近毎日出してたけど、それは使い方知ってるってことじゃないの?


なんで知らないか。これは、ロラちゃんが赤ちゃんだから・・・っていうわけじゃないくてだ。赤ちゃんだろうがなんだろうがモンスターだったら本能的にスキルの使い方はわかる。

そもそも生まれた時からスキルを持っていることもあるから、知ってないとまずいんだけど。

だから、ロラちゃんだって例外なく知ってていいはずなんだけど・・・



「何故に」


「」(スリスリ


「いや、ロラちゃんは思いっきり例外やしなか」


「うん?」


「元々、種族名すらないような子なんやけどこの子」


「・・・あ」



クロロラビットって、俺がつけたんだっけか。

なんでつけれるんだって話になったんだけど。・・・あ、結局あの女の人に何されたか聞いてないや。

何かはされたらしいけど。



「ちゅーか、なんでいきなりそんなこと聞き出すん?今まで一回もなかったやん」


「いや、今までは必要なかったからな。俺たち基本無傷だし」


「せやな」


「でもさ、今度新しくなる冒険者たちが無傷は多分無理でしょ?」


「・・・あ、そういうこと?」


「そういうこと」



まぁそういうことだ。今回のいきなりの話も俺からじゃない。

親父・・・正確には研究所のメンバーからの提案だ。うちのロラちゃんの薬が増やせたらなぁって話からそうなった。


ロラちゃんの薬は、今のところ毎日一回分。これだけは最低飲まないと効果が出ないってくらいの量が出てくる。

言っても一日一回分。全く量はたまっていない。というかだ、一回分貯まるようになったのもここ最近。

それまでは何日かに一度スキルが使われるかどうか。しかも量は10分の1とかそんな時もある。



「ほら、最近は何故か毎日薬出とったやろ?」


「うん。ていうか、それ見てるから今回聞いたんだけど」


「あれな?ニホリとポヨネがやってくれてたんよ」


「ニホリとポヨネが?」


「う!」


「よばれましたか?」


「ポヨネ!!!!!」


「わっぷ」



名前が聞こえたからたったったと一階から俺の部屋まで走ってくるポヨネが可愛い可愛い。

ふわふわの毛並みが俺の顔に当たってすごくいい・・・



「・・・こそばゆいです」


「好きやなそれ」


「フミにもやりたい」


「・・・まぁ後で」


「うー」



おっとずれた。


ポヨネから顔を離して、持ち上げてから・・・プラーンてなってるのかわよ。



「ポヨネさんや」


「はい」


「ロラちゃんに何て言ったの?」


「・・・すいません何の話です?」


「うー」


「あー、『薬品生成』の話ですか。それならヨミの方が」


「どんどん人をたらいまわしにされてない?」



なんでロラちゃんのスキル一つでそんなにいっぱい関わってんだ。

ニホリとポヨネはわかるけどヨミはどこから出てきた。



「雪ちゃんの野望の為に働くのですふっふっふーとか言っとったで」


「・・・ああ、そういうこと」



雪ちゃんの野望・・・ていうか夢だな。

病気に苦しむ自分みたいな人を助けたいって夢。そのためにダンジョンに入り自分を治した薬を手に入れること。

だが、この間雪ちゃんの年齢の問題で出来ませんってことになった。


そこで、ヨミが一つ手を打ったってことだな。

取りに行けないなら近場のやつに作らせましょうとかそんなやつだろう。

しかもうちにいる子だし。教えれば簡単に手に入るわな。



「そんな感じかぁ」


「正解やな。だから、今は使えるで」


「なるほどねー・・・でもさ」


「うん?」


「う?」


「はい?」


「何故に俺に伝えない?」



恐らく、雪ちゃんのお願いを断った時にやったんだろうけど、何故それを今まで俺に言わないのか。

コレガワカラナイ。



「まぁそれは今度問い詰めるとして」


「あ、ヨミおつかれやな」


「うー」


「ロラちゃんロラちゃん」


「」(ギュー



俺がポヨネに顔を埋め始めたあたりで俺の腰に抱き着いてきている我が家の甘えん坊筆頭ロラちゃん。

そんなロラちゃんの瞳は非常につぶらで、そんな子にお仕事頼むのは非常に・・・非常に気が進まないんだけど!



「お薬頂戴♪」


「」(♪



するとどうでしょう。ロラちゃんの耳から赤い粉が一気に大量に・・・!?



「ちょ」


「頼んだら一発で赤引きよった!?」


「う!?」


「流石ですね恭輔さん。あ、バケツ持ってきますね」



で、出来るだけ早くね!!



そうこうしてる間に、どんどん出てくる赤い粉。回復量でいうなら上から三番目の薬で、今まで一回しか出てなかったんだけどな!

ちなみに、一回分は普通のフラスコ一本分。既に何本分かって感じで出てるけど・・・



「あ、もう無理」


「あ」


「う」



俺の部屋の掃除は、二時間かかったそうな。

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