表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/567

26話

「ニホリの初ダンジョン?」


「う!」


「まぁ、そこまで深く行く予定はないですけど?」


「う?」


「みんないるけど、ニホリが疲れるかもしれないし。それでも10以降には行くけど」



どうせワープで一瞬だしな。流石に20層のフロアボスに挑む気はまだない。10の時のオーガ初見はやばかった。10毎にあんな強くなるのなら相当用心しないとマズイだろう。苦戦してパワーアップするのは漫画やゲームじゃあるあるだけど、現実でそんなことしてられませんよ。なにより、うちの子達を傷つけさせるわけにはいかんでしょう。



「てか今日のメインはニホリのスキル確認の方だし」


「う!」


「やる気出しすぎでカラ回るなよ?」


「ぴ!」


「ワン!」


「まぁなにかあったら任せるわ。よく見とけよ?」



後輩か妹分か、どちらにせよ張り切っているのがいるな。こっちも調子に乗らなきゃ大丈夫だろう。



「てか、お前らは装備品の確認もあるから、なんかあったらちゃんと言えよ」


「クゥ!」


「ふーちゃんとねっさんの首輪ってなんの効果だっけ」


「う!!う?う!」


「魔力増加と、技量アップなるほど後半はわからん」



技量って何やねん。俺の『精密操作』みたいになんにでも適用されるやつか?なんかテクニカル系なやつ全部適応とかそんな感じか?ねっさんに技量・・・分身がより高度に動くとかか?



「乞うご期待にしとくか」


「ちゅ!」


「期待してるぞ」


「ぴ?」


「手加減?しなくていいぞ。どうせ山ほど敵はいるんだし」


「ぴ!」


「そうそう。オーガとゴーレム。ウィスプやらなんやらいっぱいいるんだ。遠慮はなし。俺もぶちかます」



ストレス発散を兼ねて。ニホリの『強化』でいろいろはっちゃけた俺のあの状態で推しに嫌われた事実は変わらないのでここでね。



























「相変わらず、数は多いな!」


「ガァァ!?」


「ワオォォォォォン!!!」


「「「「グボァ」」」」


「コロちゃん強くね!?」



コロちゃんの『高速移動』は今までも十分早く、最近はさらにそのスピードが増してきている。ただ敵も強くなっている。無防備に攻撃を受けることが減ってきているので、コロちゃんは一撃離脱を心がけながら、姿勢を崩させるような攻撃をしていた。それが、今は敵がコロちゃんの攻撃に反応できていない。正確にはコロちゃんを見失っているようなのだ。もしかしてこれが装備の効果か?大したことないって言ってたけど十分効果出てると思うんだけど。



「ぴー!」


「ちゅー!」


「「「「「「ゴ・・・」」」」」」




こっちの二人は二人でヤベェ。メインの敵をゴーレムにして戦っているのだがエゲツない。長距離から体を溶かし、動けず、脆くなったところに爆発が襲う。結果、ゴーレムは碌に身動きもできないで倒れていく。ねっさんの装備効果はイマイチよくわからないけど、すらっぴの方は溶解液の効果が微妙に上がってるのか?水圧が強くなってるのか?わからないけどなんか強くなってる。前より明らかにゴーレムの姿勢を崩すスピードが速い。

ねっさんは要観察。



バトちゃんは結局、つけられるのがなくて諦めた。その代わり今度別の物をあげる予定だが。

ニホリはまだ『強化』などのスキルは使ってない。『幸運』と『魔力吸収』は常時発動しているためノーカン。ぶっちゃけまだわからない。

『浮遊』は浮くだけみたいだからあんまり戦闘には意味がなさそう。移動には便利だけど。



最後にふーちゃんなんだが・・・。



「「「「「クゥー!」」」」」


「「「「「ガァァァァァ」」」」」」


「なんだこれ」



今までいまいち使い道がなかった『幻術』がここにきて活躍している。どうも、今までのふーちゃんの魔力では十分に使えなかったらしい。一瞬だけ相手をごまかすだけだと思ってたけど違うようだ。

『幻術』といっても相手を催眠にかけるとかそういうものではない。幻を生む。これに尽きるらしい。

今だと大体、10体以上のふーちゃんがモンスターの足元をウロチョロしている。そのせいで多くの敵が翻弄されている。時々モンスター同士で殴りあっている。

ちなみに本物のふーちゃんは・・・



「クゥ?」


「う?」


「キ?」


「ダンジョンの中なんだけどなぁ」



『浮遊』で浮いているニホリに抱えられている。バトちゃんも何気にニホリの頭の上に。

まぁ、三匹ほど大暴れしてるからやることないよな。俺も時々魔法使ってるけど、念のためだし。

ぶっちゃけ暇。



「これだったら下行くか?」


「う~?」


「任せた!って他人事だな」



一度に多くの敵に襲われるのはいいのだ。遮蔽物のないフロアだから暴れてれば勝手に見つけてくれるし。それでも、殲滅スピードのほうが速いので休憩できている始末。

強くなってるのはわかるんだけど、これじゃあ手ごたえないよな・・・。

20層のボスはない。行けるかもしれないが、何があるかわからない。できることの把握はしておきたい。試しで行くとこじゃないな。

そうなると・・・やっぱり20か。



「ボス部屋行かなきゃ問題ないだろ」


「う?」


「そうそう、リザードマン。オーガと同じくらい硬くてもっと早い。その分筋力は低いっぽいけど、剣持ってる」



リザードマンは二足歩行のトカゲだな。マジでまんま。ドラゴンって感じじゃなくてトカゲ。

防具着てるし、剣持ってるから十分危険なんだけど、それ抜きでもオーガ以上に厄介。なんと他の個体と連携をとってくるのだ。

今までの敵は集団で向かってくるが、連携らしい連携はなかった。それを奴らはやってくる。初見時、何も知らないコロちゃんが一撃でやりそこなったのだからその強さには驚いた。ボス戦なのもあったが、他の負傷した個体をかばう動作。かばわれている間に応急処置までするのはマジでビビった。ここまで能力が高いのが来たかと。


20層自体はそこそこ潜っているので、相手取るのは問題ない。ましてや、装備で強くなっている分楽になっていると考えられる。

ではなぜ、やや渋っているのか。

単純な話、遠いからだ。10まではワープで来れるが、そこから下は徒歩。20層ボスを倒さない限り、短縮できない。それが面倒。

だって、朝から行って本気で走っても20まで行くと昼すぎるし。弁当持っていけばいいんだろうけど、それもなんかなぁ。そこまでして急いで試そうと思わないし、強くなろうとも思わない。何気に皆に負担かかるし。

でも、試すんならやっぱりなぁ。



「どうすっかなぁ・・・」


「う?」


「いや、遠いから面倒だなと」


「・・・う!」


「は?ついてこい?15まで行くのか?いいけど」


「うー!」


「ワン!」「ぴ!」「ちゅ!」



ニホリが早く終わらせて!と伝え、それぞれが返事をする。

その瞬間殲滅速度がアップ。コロちゃんとか影も追えなくなってるし、すらっぴは敵に穴をあけてる。ねっさんは分身の数が増え爆発の威力が増す。

10匹ほどに凝っていたが2分くらいで終わった。



「じゃあ、行くか?休憩する?」


「ワン?」


「あ。はい行きます」






























「う!」


「どこ行くの~」



ニホリが俺の手を引きながら先導してくれている。もちろん一番前はコロちゃんなので道案内だけだが。



「それにしても妙だな」


「きき?」


「いや、10層で戦いすぎたせいか、ここの敵が少ない気がしてな」



ていうか、モンスターに会わないって感じか?

行く先に全くいないのだ。気配的にはいるんだが、会わない。トロールとウィスプ、両方見ない。ウィスプなんて数の多さが厄介みたいなところあるのに。一匹も見当たらないのだ。


そんなことを考えながらニホリに手を引かれること20分。

明らかにでかい白い岩の前にたどり着いた。

・・・こんな岩あったか?



「入口からでも見えそうだけど、見えなかったよな」


「きき!」


「お前も見てないか。またどうなってんだか」



外見は普通の岩だ。触っても岩の感触しかしない。ストーンゴーレムの色はこんなに白くないから違う。奴らは灰色だ。



「う!う!」


「どうした?」


「う!」


「ここ?触ればいいのか?」


「う!」


「押す?」



ニホリにせかされながら岩の一部を押す。


その時、ゴゴゴと音を立てながら岩が開いた。



「は!?」


「きき!?」


「う!」


「入るの!?」



何がどうなってるの?

押せと言われた場所は、他の部分より出っ張っていた。そこを押すと押し込めることが分かったので押し込む。

そうすると、岩の一部が開いて中に入れるようになった。どうも部屋みたいになっているようだが。



「大丈夫?ここ?」


「う!」


「何もいないと。ならいいけど・・・」



とりあえず、止まっていても仕方ないので入ることにする。念のためコロちゃんとねっさんに警戒してもらいながら全員で入る。


・・・入っても別に後ろが閉まる感じはない。マジで何もないのか?



「うー!」


「これって・・・ワープ部屋の奴じゃんか」



奥に進むと、勝手に明るくなる。

その地面には、1層と10層にあるワープ部屋にある魔法陣と同じものが書かれていた。

ここもワープできるのか?



『行き先を選んでください』


「うわぁ、できるのかぁ」



そこには1層と10層も文字もある。ワープ部屋は10層ずつだと思ってたけど違うのか?



「・・・ニホリ」


「う?」


「こういう部屋ってどこにでもあるのか?」


「う」


「ない。となると5層ずつか?」


「う」



そうらしい。

となると5層の方にも同じ部屋があると。でも隅々まで回ったけど、そんな怪しいものなかったよな。


・・・あ、今回の岩みたいに近づかないとわからないのか?



「う!」


「条件を満たさないと入れない。・・・うわぁめんど」



探すのも嫌なんだけど。

でもニホリが折角教えてくれたのだ。有効活用しなければ。20層にも行きやすくなったわけだし。



「う~」


「え、なんでそんな反省のポーズ?」


「う」


「ああ、教えるなって言ったのに教えたからか。これはいいよ。俺も困ってたし、ニホリも俺のために教えてくれたんだろ?」


「う!」


「なら怒らないよ。ありがとな、ニホリ」


「うー!」


「はいはーい。よしよし」



でも今度から『浮遊』した状態で突撃は辞めような。スキルの効果で早くなってるせいで受け止めると若干いてぇ。あとあぶねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ