251話
夜分です。
36層突入だ!ということで、本日も大変良いダンジョン日より。ようやく普通になったってところ。
しいて言うなら、何故か今回ニホリが一緒に来てません。何故かというと
「ええ~今日ニホリちゃんとお料理した~い」
「・・・うー」
そんなわけだ。
「・・・ニホリのいないダンジョンって、そう考えるとあんまり経験ないかも」
「そうなん?」
「うん。結構早めに出会ってたから。まぁお茶会するようになったのはマジで最近だけど」
料理が出来るようになって、『浮遊』の使い方が上手くなってからかな。
あとは、うちの子も増えて守りに余裕ができたってのも大きい。フミの存在が一番でかいんだけど。
「お前らもストレス溜めさせたよなぁ」
「ワンワン!!」(ブンブン
「クゥォン!!!!」(ブンブン
「ちゅちゅ!!」(ブンブン
「めぇ」
「まぁそれだけ喜ばれてるということで納得しよう」
「るる~」
「にゃ~」
しっぽ組がとんでもない速度でしっぽ振ってる。
ふーちゃんとかしっぽ増えてるからそれも全部振ってる・・・。
ああ、いつも通りポヨネとユニちゃんは別行動。
レベルはともかく、本人の経験が足りてないとのことでやっぱりしばらくは無理なようだ。
まぁ仕方ない。まだ一月二月だしな。今の速度でも予想より速いらしいけど。
てか、いる階層だけ考えたら藤岡さん達超えてるし・・・あ、いい事考えた。
「これは、後でポヨネに言おう」
「・・・なんか悪だくみ?」
「いや、ユニちゃんとポヨネを一回藤岡さん達に合流させようかと」
「・・・おお!めっちゃええ考えやん!」
「でしょ?」
「ぴぴ?」
「んっとな?」
まず、ユニちゃんが俺たちに合流できない最大の理由は俺たちに合わせられないからだ。
レベルの差は割とどうにかなる。だけど、判断力は数をこなさなきゃ無理だ。
ポヨネから見て、まだユニちゃんは攻め時守り時の判断が甘いらしい。
みんなは割と攻め一辺倒だけど、その分の判断を俺とかコロちゃん、ねっさんがやってるから一応問題ない。
というか、うちでその判断をする子は基本前衛。前に出て戦う子だ。
他の防御は俺がやることが多い。壁作ってあげたりね。
ユニちゃんにそれをやろうとするとちょっと厳しい。『分身』を使う近接戦闘をするユニちゃんのカバーに回ると俺が攻撃できない。
そうすると、結果的に戦力が落ちる。それはマズイ。
そこで、今の訓練なんだが、攻め時の判断と同時に多数と戦うことも覚えてもらいたいのだ。
『分身』は自分の指示で完璧に動く味方だが、普通はそれができない。
他の味方が勝手に動いて、それに合わせられるか。また、他人に合わせられる感覚を覚えてもらいたいのだ。
だからこど、藤岡さん達と一緒に行ってもらいたいのだ。
「ぴぴ~」
「きき?」
「いや、俺たち最初から一緒だから判断もクソも・・・」
長い事一緒に戦うから以心伝心じゃないけど。俺が大体最初やってたのをみんな真似し始めて完成したからなぁ
練習なんてしなくてもよかったのよ。最初は皆弱かったからね。
「キャンキャン!!!」(ブンブン
「ちゅっちゅちゅー!!」(ブンブン
「クゥゥゥル!!!」(ブンブン
「・・・ところで何みんなのこのハイテンション」
「恭輔復活の舞やって」
「それは聞いたけど・・・」
何故しっぽを振りながら俺の周りをグルグルする。
ああ。ねっさん。増えないで。収拾つかないから。敵来るから。
入口付近だからあんまり危険はないんだけど、それはそれとして油断しすぎじゃない?
「まぁまぁ、今日くらいは大目に見てやってぇや」
「む~まぁフミがそういうならいい・・・のか?」
「それだけ心配かけたんは恭輔やし」
「おっし、お前ら、もっと踊ってていいぞ!!」
10分くらい躍らせた。
「ワン」
「うん。テンション上がったんだよな」
「ちゅちゅ~」
「クゥ~」
満足げなねっさんふーちゃん。恥ずかしそうなコロちゃん。
テンション上がって楽しくなっちゃったんだよね。仕方ないよね。
まぁそれだけ俺の完全復活がうれしかったってことだしな。飼い主冥利に尽きますよ。
若干恥ずかしそうなコロちゃんを慰めつつ、36層を探索。
ボス部屋と同じ感じの部屋が続く。いくつかの部屋を小道が続いている感じかな。
こういうダンジョンのゲームあったな。死んだらゲームオーバーのやつ。
でも、部屋ごとにモンスターが待っているわけじゃない。
事実、入った3部屋は何もいなかった。
「もしかして、その部分は運か?」
「やよ。うちもあんま会わんかったなぁ」
「お前はここ通り過ぎただけでしょ?」
「せやな」
一回だけじゃ流石にわかんないわな。
正しい確率出そうとすると何回試さなきゃいけないんだこれ。
あ、ちなみに部屋は別に扉とかあるわけじゃない。
小道の先が広くなってるからそう呼んでるだけな。
さって、次の部屋は・・・いなー・・・あ、こういう感じか。
「部屋に入ったら出てくるのね」
「外からはわからん仕組みやな」
なるほど、事前に部屋の中の戦力を見ることはできないと。
面倒な。これって何気に危険なんじゃないか?
「まぁ俺は大丈夫だけど・・・コロちゃん達やる?」
「ワン!」
「クゥ!」
「ちゅ!!」
「しっぽ組やる気あるね。ふーりんちゃんどうする?」
「にゃ」
「あらそう」
ふーりんちゃんはあまりやる気ないみたい。
・・・ん?ていうか、嫌がってるなこれ。もしかして、精霊と悪魔って相性よくない?
ありそうだな。
「しーちゃんとすらっぴとバトちゃんどうする?」
「ぴぴ~」
「きき」
「めぇ」
「りょーかい。やっていいぞ」
敵は全部で5体。今ようやく出現し終えた。
コロちゃんふーちゃんねっさんが前に出る。
既に、コロちゃんは体に魔刃が出てるし、ふーちゃんはしっぽの先に火の玉が浮いている。ねっさんも続々と増えている。何匹か陰に入ってるし。
君ら、出落ちさせようとしてない?
その疑惑は一瞬で解決した。
モンスターが出きって、相手が構えた瞬間に、三匹の攻撃が殺到。
刃が切り裂き、炎で焼かれ、爆殺される。
回避もできずに、あっという間に消滅。
「・・・ワフー」
「クゥゥゥ」(ノビー
「ちゅっちゅ」(キャッキャ
「・・・楽しそうだからよしっ!!!!」
「あちゃーやっぱり相手にならんかー」
まぁこれは想像通り。
何故なら、俺が新しい階層への突入を禁止されてた間。
俺はダンジョンに潜ること自体を控えめにしてた。まぁ俺の心の問題もあるんだけど。
その間、コロちゃん達は普通に潜っていた。下に行くことこそなかったけど、ロックリザードと大砲サイとか相手にレベル上げはしてた。
ようするに、ただでさえ余裕のあった強さがより上がったことに。
結果、デーモンは簡単に倒せるくらいにはなっているのだ。
ていうか、みんな俺よりレベル高いし。
俺ですらロックリザードは『昇華』なしでも余裕だったのに。
ダメ押しにもほどがある。
「ちなみに、ヨミ曰くこいつらデーモンやないってよ?」
「あらそうなの」
「レッサーデーモンやって」
「大して変わんないねそれ」
いや、レッサー・・・弱いとか、劣等とかそんな意味だっけか。
そのレッサーが外れた普通のデーモンがいるってことだな。うん。それがわかったのは普通に収穫。
まぁその理屈だとオーガはオーガでもハイオーガといそうだけど。
「ま、ここはサクッと進むか」
「せやなぁ・・・この様子やと、一気に10層くらい行きそうやな」
「レベル的にはそこが適正だし。いいんじゃね?」
『■■』込みならもっと下まで行けるけど・・・それは流石になぁ。
フミしか戦えなくなっちゃうし。
そういえば、フミとのレベル差は大体知ってるけど、能力の差ってどれくらいなんだろうか・・・
今度ヨミさんかポヨネに見てもらう。
「んじゃ、次はすらっぴとバトちゃんとしーちゃん行くか。ピッちゃんとふーりんちゃんは・・・どうする?」
「ぴぴ!」
「き!」
「めぇ!」
「・・・るる?」
「にゃ」
絶対に嫌と来たか・・・それなら仕方ないか。
次行きましょ。




