24話
感想であるご意見をいただきまして、もしかしたら話がガラッと変わるところが出てくるかもしれません。
その場合は事前にどこかの前書きとかでお知らせします。
「・・・とりあえず名前か?」
「にーちゃん?」
「さすがに却下で」
いくらうちのネーミング大将である母さんの意見でもそれは却下だ。それじゃ男に聞こえちゃうだろ。
「市松人形のいーちゃん?」
「なんで毎回そういう風になるの?」
「だって可愛いじゃない?」
「そうっすか」
響きは可愛いのは認めよう。ただ、人形とはいえ、一応女の子なので、そのペットみたいな名前は辞めようと。
ただ何にするか・・・。
「・・・にぼし」(ボソッ
「うー!!」
「ウゴッ」
ちょっと思いついたかつぶやいただけなのに、よっぽど嫌だったのか。どつかれた。
こいつ、一応俺テイマー的にはご主人様だよね?
「じゃあ、女の子っぽい名前で、ニホリちゃんね」
「ぽい?・・・ぽいか」
なんか方向性が変わってないような気がするけど、今までのよりマシだろう。
「じゃあ、ニホリね」
「う~!!!」(ピョンピョン
「俺の上で暴れるな」
ポーン
『世界で初めて、霊体物質の実体化を確認しました。報酬を送ります』
「名前をつけることで達成なのか」
そうなると、今までのニホリのステータス欄も全部は出てなかったことになるのか?
「ああ、増えてる」
「どうした」
「世界初アナウンスが来てな。変化があるかなと思ったら大正解。スキルも見える」
一覧を埋めてた割に何も見えなかったのに、今はちゃんと見える。すらっぴ達と変わらない表記になっている。
肝心のスキルは・・・
『強化』に『幸運』、『浮遊』、『魔力吸収』。
いきなり四つも持ってるのか。多分俺にかかってたのは『強化』か?ただ『強化』ってなんだ。
普通こういうのって、身体強化とかじゃないのか?
もしかして、対象をとらないで、全部強化か?文字通り、俺のすべてを強化できると。
「だとしたらやばいか・・・」
「不味いスキルがあったか?」
「推測だけど」
『強化』のスキルについて、俺の推測を伝える。
身体能力、魔力はもちろん。俺のメンタルなどの精神的なものに至るまで強化できるのではないかということもすべて伝える。
「すると、なんだ。昨日のお前は、この子のスキルの影響を受けてたと」
「多分だけど」
「う?」
「大丈夫だよ」
この子を認識してから、ニホリの気持ちが伝わってくる。
この子に悪意なんてものは存在しない。文字通り、生まれたばかりの子供なのだ。だから、俺にかけたバフも俺を助けたかったから。
別に俺をおかしくしようとか、困らせようとか考えてもいない。
俺がスキルの影響で変になっていた話を聞いて、迷惑をかけてしまったのだろうかと。不安になったのだろう。
今もこうして、おとなしく俺に抱き着いて、不安そうに見上げてくる。
この子には、俺しかいないのだ。
「とりあえず、いろいろ試すさ」
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ。なんとなくだけど、悪い奴じゃない」
「うぅぅぅ」
「捨てないよ。俺は、一度家族になったなら最後まで面倒見るさ」
その点はモンスターだろうと、動物だろうと変わらない。
昔から知っている。命の重さを、それがあっという間になくなることを。
なら、せめて。
「俺の所にいる間は、笑っててほしいからな」
「・・・」
「だから、よろしくな。ニホリ」
「・・・う」(ギュッ
「お前らも、仲良くしろよ」
「ぴ!」「ききっ!」「ワン!」「ちゅー!」「クゥー!」
俺以外が聞けば、何言ってるかわからない。うるさいだけだろう。
だけど、俺はわかる。みんながなんて言ってるか。何を思っているか。
「う?」
「さっきはごめんね。と。今日からよろしくだとさ」
「・・・う!」
「ニホリちゃんは何食べる~?」
「う!」
「あら~可愛い」
「何でもいいって言ってるからな」
「そうなの?ならご馳走にしましょう~」
「う?」
「え、マジ?でもうちいるときは食っとけ食っとけ」
「う!」
どうも何も食べないでもいいようだ。俺の魔力を吸収しているので、十分だそうだ。食事自体は出来るようだが。
よく考えると、こいつ人形だよな?どっから食うんだ。どこで消化するんだ。
「そういや、なんで昨日はいなかったんだ?」
「う~」
「出れなかった?」
スキルの影響らしい。ニホリはスキルを使用する際、自分の魔力を消費するようだ。朝一で俺に使った結果、ニホリの魔力が実体化できなくなるくらいに減る。俺から吸収できたが、俺がダンジョンに行くことを理解してたらしく、やめたらしい。
出てくれたらいろいろ悩まなくてよかったのでは・・・
「う!う!」
「え、無理?どういうこと」
「うー!」
ニホリが今の今まで、実体化できなかった理由。それは俺の魔力不足が原因のようだ。
それが、一昨日の成長分で規定値に届いたらしく、ようやく出てこれたらしい。
一回、魔力を吸収して、実体化出来たら空気中に漂う魔力を吸収できるらしいから問題ないようだ。
また戻っちゃうと初回実体化の魔力と同じだけ持ってかれるらしい。それをすると、少なくともその日は魔法が満足に使えないレベルで持ってかれるそうだ。
「なるほど、いい判断だ」
「う~!」
「でも、じゃあ今日はなんで疲れてないんだ俺。持ってったんだろ?」
「う」
「時間をかけてゆっくりやったのか。そんなこともできるのか」
「う!」
「それに昨日は全員にスキルをかけてたから余計消費が大きかった?
全員ってもしかして、俺のパーティー以外も含めて全員?」
「う~」
対象が6以上だと、魔力が枯渇するのか。成長していけば解決する問題だが、それにしても消費が大きいスキルだ。
強化幅を考えれば、いざって時の切り札にできるな。・・・あれ。
「お前、もしかして俺らについてこないとスキル使えない?」
「う?」
当然じゃん?って言われた。
それは・・・問題か?
ニホリの能力は知らないが、敵の攻撃とか避けられるのか?防御手段とか・・・スキルにそんなのなかったな。
「連れてけなくね?」
「う!?」
流石に完全に無防備なのはきつくないか?完全に後衛なのはいいんだけど、なんとかできるか?。
前回も、前にやった護衛の時も、護衛対象は最悪逃げることができる人物だった。大人だし、数秒なら何とかできるだろう。その間があればコロちゃんか俺の魔法が届く。
でもそれができないとなると・・・
「やっぱり連れてけないな」
「う~!!」(プンプン
「スキルスクロールはあるけど、一つだけだし・・・」
「・・・う!」(ポンッ
「何かひらめいた音がした」
ていうか、頭の上に電球が出てきてたような。
ニホリが先ほど、出てきた報酬を持ってきた。俺の部屋に置いてきたのだが、これが何かあるのか?
「う!」
「使う?俺これが何かわからないんだけど」
「う?」
「わからないのになんでいっぱい取っておいてあるの?
・・・勘かな」
「う!?」
木彫りの鳥とか、白紙の本とか。使い道わからないダンジョン産の謎アイテムは全部残っている。
いい加減たまってきたから、そろそろ整理したいな。指輪とかあるし。
「う?」
「どこ?もしかして、どれがどんな物かわかる感じ?」
「うー!」
「マジか!?教えてくれ」
「う~」
「母さん、ちょっとニホリと部屋で話してるわ」
「わかったわ~。あら、あなた?つまみ食いはダメよ?」




