223話
夜分です。
「これが実物です」
「これが・・・どんな効果なんだ?」
「えっと・・・便秘に効く」
「なんだって?」
ヨミさんが割とポンだったと判明したのが昨日。今日は、実際にどんな物を雪ちゃんに食べさせたのか調べるため実物を持ってきてもらった。
ちなみに、親父に聞かせたら『何してくれとんじゃわれぇ!!』とぶち切れながらヨミさんを極めてた。
目にもとまらぬ早業でござった・・・そんなキャラじゃないのに。
そんでもって、今俺と親父の目の前には実物(木の実)が。ぱっと見の見た目は・・・リンゴ?
効果を聞いたら便秘とか返ってきたけど。
「いや、別にふざけてないんですよ?」
「いまふざけられたらお前の神経やばいよ」
「フミだってもう少し謹んでボケる」
「あれ?なんか私の好感度ボコボコじゃありませんか?」
今気がついたか犬よ・・・
「んで?なんで便秘?」
「流された・・・狙って取ってきたわけじゃないんですよ」
「ほう?」
「これを手に入れるのに・・・あ、名前はダメなんでしたっけ?」
「できるだけ」
「えっと・・・木みたいな首の長い恐竜がいまして」
「また摩訶不思議なモンスター情報が」
シルフバードとかもそうだけど、ヨミさんって割と下に潜ること多いよな。
まぁ自分の知っていることを活用しようと頑張ってるだけなんだけどさ。
「それで、そのモンスターから直接捥ぐんですよ」
「倒すんじゃないの?」
「ええ、倒すと別の物がドロップしちゃうので。捥ぎます」
「へぇ~」
倒す以外の方法でも何か手に入る方法があるのか。
もしかして、今までの階層にもそういう敵がいたのか?
「あ、私もそこしか知らないんで」
「上にはいないのかじゃあ」
「いないと思いますけど・・・あ、ロラちゃんみたいな子は知りませんよ?会ったことないので」
「」(ナニー
「そうかー」
「・・・いや、なんでロラちゃんいるんだ?」
「え、一匹で寂しそうだから」
ユニちゃんがヨミさん(分身)と訓練しちゃってるから暇なんだと・・・ってこの話前にもしなかったか?
まぁ暇だから、野良猫たちと遊べばーって提案したら。皆お昼にはいないのーって言われてしまった。
言われてみると、うちに猫たち来るの夕方少し前くらいだったな・・・と思ったので今日は連れてきた。近いうちに解決してあげねば。
あと、今日隣にいるヨミさんは分身じゃなくて本物だ。
雪ちゃんの護衛も兼ねている関係で、雪ちゃんも研究所内にいる。今はニホリと遊んでいることだろう。
「そういや、護衛ってなんかしてんの?」
「え?」
「いや、今のヨミさんって完全に雪ちゃんのペットだから」
「ちゃんとお仕事してますよ!?」
ええー・・・
「まぁ確かに?先月からさっぱり来てませんでしたけど」
「ああ、一応やってんだ・・・ん?来てない?」
「はい。先月までは何人か来てましたよ?雪ちゃん狙いの誰か」
「はい!?」
本当に雪ちゃんを狙ってきてる連中いたのか!?
「あれお前を雪ちゃんとこに置くための言い訳じゃなかったの!?」
「いや本当にどういう風に見られてるんですか私!?」
「犬」
「クゥ~nあ、すいませんごめんなさい」
「ああ、そういえば恭輔には言ってなかったな」
「雪ちゃんも気がついてないですよ!」
なんか俺にだけ伝わってないこと多くない?特に雪ちゃん関連。
いや、別に知らされなくてもいいっちゃいいんだけどさ。雪ちゃん関連は俺の知らないこと元々多いし。
後、雪ちゃんって結局他人だしなぁ・・・。俺が発端ってだけで、部外者ってことに変わりはない。特に病気の話とか。
「まったく身の程もわきまえない人間ですよ。うちに入ろうとするなんて」
「ちなみにどうしたの?」
「意識を飛ばして、何でも話したくなっちゃうようにしました!」
「おかげで、警察は大変そうだぞ?」
いやだろうね。
それってスパイみたいなものが日本にいて、雪ちゃんの事を教えたってことになるわけで。
でもそれも含めてそう言った情報を全部バラされて相手方もびっくりなわけで。
「え、ちなみに下手人は捕まえたの?」
「その日のうちに」
「誰が?」
「私が」
「・・・仕事してんじゃん」
「でしょ?」
それにしても、本当にそんな話を聞く日が来るとは・・・
世界広いなぁ・・・
「てかさ。今更なんだけど」
「はい?」
「どうした?」
「雪ちゃんて、実際のところそんなに重要なの?」
「お?」
「いや、雪ちゃん自体は確かにポーションで病気を治した第一例だよ?でもさ、誘拐とかしてまで狙うほどか?」
ぶっちゃけだ、母さんとか俺の友達とか人質にして俺をどうにかした方がいいんじゃないかって話。
雪ちゃんはあくまでも被験者の一例。雪ちゃん自信が何かあるわけじゃない。
だけど、実際にそういうのが来ていたわけで。
「何故、と」
「ああ~うん。そうだな・・・」
「恭輔さんの身代わりですよ?」
「は?」
「ヨミさん!?」
俺の身代わり・・・まさか
「はい、恭輔さんの考えは間違いないんですよ」
「・・・雪ちゃん本当は狙われるほどじゃないんだな」
「でも、雪ちゃんが狙われない場合、恭輔さんは狙われる可能性が高い。だったら、そっちに気を回せないようにしちゃえばいいんですよ」
「囮かよ」
「雪ちゃん自信は知りませんけど、お父さんは知ってますよ」
「当然だろ」
クソ、そういうことか。
だから俺には何もないのか。
ヨミさんが、雪ちゃんを囮にして狙いに来た人間を捕獲。情報を抜き取ってそこから芋づる式に潰していった。
そうすることで、俺に回せるほどの人材がいなくなったのか。
それに、ヨミさんほどの存在が守っている雪ちゃんには何かあるはずと、被害が出てもある程度は無視して同じことを繰り返す。
そして、誰も来なくなるのか。
「・・・これは、絶対に漏らしちゃいけないんだが」
「俺はいいのか?」
「恭輔は、ある意味当事者だ。それに、お前が機嫌を損ねる前に教えとけって言われてるしな」
「・・・そんな不機嫌?」
「割とな」
「怖い顔してますよ?」
うるせ
「その犯人を送ってきていた国から、捕まえた人間の返還を求められててな」
「まぁ・・・だろうね」
「日本にいた連中全滅させてやりましたからね」
「どんだけ本気で潰しにかかってんの?」
国の、いわゆる情報機関ってやつだよなそれ?
それを全滅させるくらい捕まえたって・・・いや、マジで何してんの。
「え、それで返すの?」
「・・・まぁもう聞くことないしなぁ」
「うわぁ」
「聞いたことが何でも返ってきて逆に気味悪いくらいだったらしいからな」
「どんなレポだそれ」
「便利ですよね~私のスキル」
「凶悪すぎて笑えないんだが」
なんかいろいろ出来るのは知ってたけど、マジで何でもできるのか・・・
「結界張るやつ?」
「まぁそれも?」
「君ら姉妹は本当に俺にスキルを教えてくれないね」
「ミステリアスな女性の方が魅力的でしょ?」
「フミはともかくヨミさんは・・・」
「なんで!?」
いやなんか・・・ね?
「てか、お義兄様はお姉さま押し倒して聞けば教えてくれると思いますよ?」
「そら知ってる」
でもそれで聞くってなんかね?負けた気がする。
フミも、俺が強くなってカードの表示されるようになるまでーって話だったしな。
まぁまだ全く見えないんですけど。
「話がすぐ転がるなお前ら」
「・・・もとは何の話だっけ」
「なんでしたっけ」
「この木の実だよ!」
「「ああ~」」
「・・・お前ら仲いいな?」
「「割と」」
そうじゃないとこんな風に雑に扱いませんよ僕は




