219話
夜分です
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・なんかしようよー」
「ワン」
コロちゃんがかたくなに俺に構ってくれません。反抗期でしょうか?
理由はわかってるんだけど。
完全に一連『昇華』関連の問題のせいだ。
コロちゃんから直接被害を受けたわけじゃないんだけど、フミの時にむっちゃ口悪くなったのを気に病んでいるらしい。
恭輔に何てことを・・・て感じに。
「俺は気にしてないの~」
「ワン」
構ってくれないっていうか、自分を戒めているらしい。
俺がボールとか持ってきて遊ぼと誘ってもダメとしか言わない。
いや、しっぽを振るのを我慢してるから遊びたいって気持ちはあるんだろうけど。
自分は恭輔に悪い事言ったから反省中なんですって感じ?
「・・・俺に悪いこと言ったって気持ちならちょい来なさい」
「??ワン」
「寝転がって」
「・・・」(ゴロン
「そら!」
「・・・ワブ」
寝転んだところでお腹を枕に。
これがとても気持ちいいんだけど、結構頻繁にやってるんだけど。
「俺は、これやってくれればいいから」
「・・・」
「大体、昔のコロちゃんはもっとやんちゃだったぞ」
「ワン」
「へへへ」
小さい頃のコロちゃんはいい子であったが、同時に子供だった。
カーテンは噛むし、俺の枕は爪でボロボロにするし。まぁ普通に躾のできてない犬みたいなものだった。
その時は、まだ子供だったから悪気もなかったんだけど。
「それに比べたら、軽い軽い。それに、お前もフミのこと心配してたんだもんなー」
「・・・ワフ」
「まぁそれでも?悪いって思ってるならこのまましばらく自由にもふらせて」
「・・・ワン」
「うへへへへへ」
恭輔のにやついた顔を見て、ちょっとだけ後悔するコロちゃんでした。
コロちゃんを堪能してたらコロちゃんがぐっすり寝てしまったので一階へ。
そしたら、ニホリがテレビを見ながらくつろいでいた。その姿は完全に主婦のそれである。
「うー?」
「ん?多分な。まだ少しぎこちないかもしれないけど。すぐに戻るよ」
「うーうー」
「心配かけてすまんなぁ」
「う!」
うちに来たばっかりの時は、完全に赤ちゃんだったのに大人になったもんだニホリも。
なんか俺よりもしっかりしてる気もするけど。
「・・・そういや、お前にも『昇華』って効果出るんだよな?」
「う?」
「いや、お前は何に暴走するのかと」
「・・・う?」
「まぁそれくらいしか思いつかないよな」
料理関連、または動画関連か?
もっといい道具くれとか、ずっと動画見させろーとか?
「なんか想像できない」
「う」
「そもそもニホリが感情的になることそのものが想像できない」
「う」
「あ、そうか。話変わるけどアリシアと雪ちゃんと連絡ってしてるの?」
「う!」
雪ちゃんとは前からメールしてるし、時々電話もしてるんだが、なんとアリシアも携帯を持っているから同じことができるのだ。
携帯を買ったのは俺じゃない。三崎さんでもない。俺が買ってあげようかとおも思ったんだけど、雪ちゃんの父親がほいっと渡してきたらしい。
それが雪ちゃん経由でアリシアの元に。
なんでも、娘と仲良くしてもらっているお礼だとか。あと、父親の会社の商品開発に関わっていてそれのお礼も兼ねているらしい。
何を作ったんだか。
「うーうー」
「ああ、やっぱりみんなの家族の事が多いのか」
ニホリは俺たち。雪ちゃんはヨミさん。アリシアは三崎さんたちの話題が多いらしい。
まぁ雪ちゃんん筆頭に、あまり外出かけない+訳ありで友達いない+趣味があんまりないって子たちだからな・・・言ってて泣きたくなってきた。
「あ、まさか最近・・・ていうか、この間の事も言った?」
「うーうー」(フルフル
「ああ、流石に言ってないか」
雪ちゃんの家にヨミさんがいる関係上。今の雪ちゃんはそこそこダンジョンについて知識がある。
まぁ本人がダンジョンの恩恵で助かったってのもあるしな。
それでも研究所関連や、ちょっとあまり多くの人に広まるのはマズイってことは教えられてない。
今回のは後者。
アリシアはニホリと同じだからいいっちゃいいんだけど。まぁ進んで広める話でもないしな。
「ある意味俺の不徳を示すもんだし。そのまま秘密で」
「う!」
ええ子や
「うー?」
「いや、いいよ自分で淹れるから」
「う!」
「おっふ」
私の方がおいしく淹れられるもーんと言ってふわっと浮いてキッチンへ。
いや確かにニホリの方がコーヒー淹れるの上手いけど。
「にゃ?」
「あれ?ふーりんちゃん?」
「にゃ~」
珍しくふーりんちゃん単体でにゅっと出てきた。
いつもはピッちゃんと一緒なのにどうした?
「なう」
「ああ、そういやそんな時間か」
お昼寝の時間らしい。
朝からダンジョンに入って、俺が一階ロックリザードと戦っただけだからすごい早い時間に戻ってきている。
だから休日みたいにお昼食べたらお昼寝タイム。
だからみんな動き回ってないわけだ。
「寝ないの?」
「にゃ?」
「・・・まぁそれもそうか」
僕基本出てない時って寝てるものなのだけれど?ってその通りだわ。
そして暇だった所に俺がいたから出てきてみたと。
「ニホリに何か持ってきてもらうか。外の猫も呼んできていいぞ」
「にゃん?」
「ん?・・・まぁ大丈夫だ・・・はず」
猫と戯れても大丈夫だと・・・思う。ていうか、ちょっとご飯あげるだけだし。いつもそれくらいはやってるし。
「・・・でも家の中だと怒られそうなので庭でやるか」
「にゃ」
「ニホリ~」
ふーりんちゃんに賢明だねって言われるくらいにはいい判断だったと今でも思う。




