213話
夜分です
なんどもなんどもサキュバスアタック。
その度に三崎さんが意識を取り戻すまでの時間が速くなる。
正確には、アリシアが強くなっているってことだな。
そして毎回気絶させられる丸山さん・・・てわけでもなかった。
「目を合わせないと催眠されないんですね」
「みたいだな。いやー逆に何もなくて焦ったよ」
催眠されすぎて逆に違和感覚ええるようになってしまったか・・・
だが、いい事がわかったな。視界さえどうにかできれば、誰でも戦える敵になったわけでだ。
レベル上げたいだけならいい敵だな。
「それにしても、丸山さんさっきから地味にすごいですね」
「何が?」
「いや、サキュバス相手で胸元見てなかったんで」
「ああ、俺エルフが好みで、清楚系が好きだからああいうのはちょっと」
「なるほど」
それは見ないわな!
「あ、そうだ。三崎さん、アリシアのスキル見せてください」
「あ、そういえば見せたことないですね。はい、どうぞ」
「あざーす」
どれどれと、渡されたカードを見る。・・・三崎さん、カードもち歩いてるんだ。偉いね。
アリシアのスキルは、4つ。
『浮遊』『魔力吸収』『幸運』『抵抗』だ。
三つはニホリと同じってことは、もしかして人形系のこの子たちの共通スキルなのかもしれない。
逆に『抵抗』はない、その代わり、アリシアには『強化』がない。ここが個体ごとの差なのだろう。
「そうなると、この『抵抗』が三崎さんが催眠されない理由ですね」
「あ!これが!」
「まぁ名前だけじゃわからんですよね」
なんでこうニホリ達のスキルは主語がないスキルがあるんだ。
・・・俺の『硬化』もないわ。
「この様子だと、他に増えたらまた変わったスキルがあるんですかね」
「ん~そもそも『テイム』持ちが世界全体で見てもどんだけいるのかって話なんですけど」
『テイム』を持ったうえで人形をボスの宝箱からドロップする。かなり確率低いなこれ。
俺ももう一回ドロップできるかって言われたら無理だろうし。『幸運』込みでどこまで行けるか。
「まぁ出さなくていいと思うんで。出るとしても、もっと人が増えてからじゃないと」
「ですよねー」
「そういえば、本当に来月に新しく増えるのか?」
「どうしてです?」
「いや、俺たちもたいちょ・・・藤岡さんに言われてはいるんだけど・・・」
「実感わかないと?」
「そうなんだよなぁ」
まぁ今更感もあるのは否めない。結構早かったなとも思うんだけど。
ダンジョンが発生してから凡そ半年と少し経つ。その間。俺と丸山さんたちは結構ずっと潜ってた。
丸山さんは、内容が内容だから、一般人がダンジョンに来るようになるのは一年、二年先の話だと思っていたそうだ。
そう考えていた中で、いきなり二か月後に募集しますなんて言われても実感でないわな。
「まぁ実際増えるわけですし」
「そうなんだよなぁ・・・急に何があったんだか」
「何かあったんですか?」
「いや、だってそうだろう。今までそんな話全くなかったのにいきなりだぞ?」
「言われてみれば・・・」
むむ、やっぱり気がつくか。
まぁ仕方ないか、違和感しかないもんな。
「恭輔君は何か知らないんですか?」
「・・・知ってますけど」
「・・・となると」
「秘密です」
「やっぱり・・・」
「ちなみにそれを知ってるのは」
「俺と親父、後、千爺と上の人くらいですかね」
あんまり知っている人がいないのも当然だ。
ダンジョンそのもの。ていうか、ダンジョンを生み出したかもしれない存在なんて厄ネタだ。
おもてに出たら100%問題になる。
「ほとんど知らないのか」
「ていうか、俺が知ってるのも割と訳ありなもんで」
「うわぁ・・・」
「まぁ聞かない方がいいかと」
俺は面倒ごとの予感しかしないから早くも後悔してますよはい。
「あ、ラミア見てきます?」
「ラミアもいるのか!」
「ええ、まぁ俺は全部見れてないんですけど」
「え?倒したんですよね?」
「コロちゃん達が倒しました」
俺はフミに目隠しされてたのでしっぽのあたりしか見てません。
「あれは・・・ダメだな・・・」
「あんな・・・あんなモンスターが///」
「三崎さん。本当に大人?」
「ママ、コドモ?」
「かもしれん」
「う?」
「ワン」
「クゥ!」
「ぴぴ!」
それだったら俺も子供がいいなって・・・違う違う。
とりあえず、今日分の討伐も含めてラミアにそのままのメンバーで挑む事に。
戦闘自体は流石に俺たちがやったから、あっという間に倒せたけど。問題は、ラミアが上裸であったこと。
丸山さんも流石に目を逸らしたし、三崎さんは顔真っ赤になった。
俺?フミに目隠しされてたよ。
「まぁばっちり全裸ですもんね」
「年齢制限着けた方がいいぞこれ」
「ああ・・・そこ難しくってですね」
危険だから、子供。未成年の応募は禁止・・・する予定だったのだが問題発生。
「俺、未成年」
「あ」
「ああ~そういえば」
「されると俺が入れなくなるんで、まぁ大モメですよ」
特例ってことにしてもいいらしいんだが、そうするとまたうるさいのが湧く。
ただでさえ何があるかわからないダンジョンの一般開放。出来るだけ問題は避けたいところ。
だから、別の基準を設けることになった。
「あ、一応あるのか」
「まぁ簡単なテストなんですけど」
えっと確か、入社試験?っていうやつを応用したものらしい。
簡単な国語、数学、英語、社会、理科のテストだ。それに、適正審査もあるらしい。
「ああ、SPIか」
「そんな感じだった気がします」
「ふーん。まぁそれがあるなら下手なのは入ってこないかな?」
「結構合格点高めに設定するらしいですよ」
俺もこの間やらされた。まぁ全部含めて二時間くらいで終わらせたけど。
「・・・五教科二時間?」
「一つ24分?」
「だってすっごい簡単でしたよ?」
なんで今更こんなものやらされるんだとは思いましたよええ。
「・・・恭輔君。頭いい?」
「え?そこまで・・・」
「テストって何点くらい取ってた?」
「あんま勉強してなかったんで、大体80前後くらい?」
「あ、頭いいのか恭輔君・・・」
「ふ、復習とかって」
「したことないっすね」
そんなことする時間あるならコロちゃんと遊んでたな。
「大体、学校の勉強って聞けばいいだけじゃないですか」
「頭いい子のセリフだ!」
「恭輔君・・・」
なんで俺はあんな目で三崎さんに見られているのだあろうか。
なんというか・・・仲間だと思ってた人に裏切られたみたいな・・・
 




