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191話

夜分です。

わからないと言えば、最近のダンジョン事情。特に中級の方ね。

あっちはボスのトレント倒し終わったところで調査が止まってる。なんでかというと、最初に現れたダンジョンで手一杯だから。

ぶっちゃけ俺が行く余裕ない。藤岡さんたちが行けばいいと思うだろうが、あっちだとボストレントに勝てないだろう。

あれはボスのコアの位置を把握できないと何時間も攻撃する羽目になる。


はてさて?なんでこんな話をしたか。

それは、あるお話から始めた方がいいだろう。



「神社に使う?」


「ああ、お前も知ってはいるだろ?」


「引っ越しする時とか、直す時とかに金が飛ぶって話?」


「引っ越しじゃなくて遷宮だな」



何が違うんだと思って後で調べてたら全然ちがった。神社建て替えだってさ。



「金は飛ぶのは間違ってない」


「具体的にどれくらい?」


「俺も詳しく知らないんだが・・・億単位だそうだ」


「うぇ」



想像できない値段だなぁ・・・何にそんな金使うんだ。



「あ、だから木か」


「そういうことだ。特に木曽ヒノキだそうだ」


「・・・いや、トレントにそんな上等そうな木材期待されても」


「まぁそうだな。だからトレントじゃない」


「おん?」


「お前、前にヤシの木の報告上げてきたの覚えてるな?」


「ああ、覚えてるけど」


「あの成長速度なら。数を集めるのも簡単になって安くできるって話でな?」


「おお~」



確かに、金がかかるのは育てるのとか集めるのが大変だから金がかかる。

これを解決するのに単純なのは数を用意して育てるのが簡単であればいい。


ダンジョンで植えた植物は何故かものすごい速さで育つ。

前に植えたヤシは、ダンジョン内では急成長したが、外では普通の速度でしか育たなかった。

だから、ダンジョン自体に植物の成長を促進する何かがあるって結論になっている。



「必要なのは、スペースと人?」


「そういうことだ。簡単に行けて、尚且つスペースが多く取れるのは?」


「中級ダンジョン1層。しかないよなぁ」



あそこの1層は単純。トレントが多く出てくることからものすごく広い。

敵が寄ってこない範囲でも結構広い。寄ってきても、あいつら遅いからどうにでもなるし。火炎放射器持ってれば余裕。



「とりあえず、一回目だから向かってくれないか?」


「・・・そういうのって藤岡さんたちじゃないの?」


「そうなんだがなぁ・・・まぁあれだ。ちょっと断りにくいとこからの要請でな」


「・・・お?」


「うちの上も、出来れば頼むってことでな」


「なーる。そういうこと」



うちの偉い人。スポンサーの千爺じゃなくて、国の機関としての親父の上司にあたる人だ。

俺名前知らないんだけど、かなり偉い人らしい。その人がそういうってことは、まぁ・・・そういうことなんだろう。



「まぁ好き勝手やらせてもらえてるし。行ってもいいよ」


「そうか!いや、よかったよかった」


「でも、連れてくのはコロちゃんとふーちゃんだけにするけど」


「ああ、その辺は任せる」



トレント相手に今更全員で向かうもんでもないし。

第一、知らない人間であるのにみんなを連れて行くのはリスクが高い。


全くリスク関係なく個人的な話をすると、皆に何かされそうになる。もしくはそういった考えを持たれた場合。

俺は容赦なくすべての問題を無視して殺しにかかる。特にフミについては。


・・・まぁ俺より先にフミがやっちゃいそうだけど。



「いつ行けばいいの?」


「明日」


「うちは何?余裕はなくした方がいいって教訓でもあるの?」



なんだその急な予定は・・・
























「護衛言うても暇やがな」


「ワン」


「まぁ、大門さんは最後の手段ですから」


「基本木植えてるだけですし、近く来たのもそっちが燃やせますし」


「クゥ」



ふーちゃんもこういっている。

あ、今話してるのは、この所沢ダンジョンの封鎖をしている隊の人だ。珍しく、何回かダンジョンに潜りレベルもある人。

他にも周りには何人かいる。もちろん火炎放射器装備。



「そういえば、隊長さん若いっすけど。藤岡さんとかの知りあいっすか?」


「同期ですよ」


「ああ、やっぱり」



なんとなくその辺のとしだろうなって気はしてた。


それにしても暇だ。間違ってミスが起きないようにって俺が来たのに。ちゃーんと他の人たちで対処できちゃってる辺り暇。

なんというか、手慣れてるんだよな。



「まぁ、何回か訓練はしていますから」


「全員で?」


「当然です」


「なんというか・・・」



真面目な人なんだなって感じ。

今現在ダンジョンに潜る人間は文字通り俺と藤岡さんたちだけ。

なんでそうなるかって、自衛隊の仕事はダンジョンに潜ることじゃないから。

これは前にも話したな。


にもかかわらず、この人は練習してたって言った。

何を警戒してか、簡単だ。ダンジョンの中からモンスターが出てこないかの確証がないからだろう。

その時に備えて、彼らは訓練はしていた。そういうことだろう。

まぁそれはこの先で十分役立ちそうですけど。



「隊長、そろそろ」


「速いな」


「やはり、想定より燃えません」


「やはりか」


「どうかしました?」


「ああ。大門さんは、火炎放射器がどういったものかご存じですか?」


「ええっと・・・」



大まかに分けて、炎を撃ちだすか、燃える液体を撃ちだすかの二択なんだっけ。

あと、自衛隊のは兵器じゃないんだっけ?



「はい。大体それであってます」


「・・・もしかして、弾切れ?」


「正解です」



弾ってか燃料切れなんだろうけど。

そうか、それもそうだよな。


先ほども言ったが、ここで訓練はできていた。しかし、時間が経つにつれてダンジョンからモンスターが出てくることはないのではないかって意見が主流になってきた。

その結果、ここのダンジョンに必要な火炎放射器の油はあんまり回ってきてないんだろう。

そもそも雪溶かしたりって扱いらしいしな。



「じゃあ。こっからは俺がやりますよ」


「お願いします」


「て言っても、近くによって来たのを倒すんでしたっけ」


「はい。範囲からは出ていないので攻撃は来ませんが、念のために」


「了解っす。コロちゃんふーちゃん行くよ」


「ワン!」


「クゥ!」



さぁ少し遊んでいこうか























「クゥ♪」


「ワン!」


「・・・結局俺は暇だ!!」


「あ、あはははは・・・」



トレントごとき、しかもあんまり寄ってこないから数もいない。

俺の出番がない!!



「なんか本でも持ってくるべきだったか?」


「余裕ですね」


「ああ~。まぁ知ってるでしょうから言いますけど、普段こいつらより面倒なのと戦ってるんで」


「なるほど」


「しかもこれの何十倍もでかいやつ倒してますし」



余裕ってか・・なんかもうね。



「それにしてもすさまじいですね。スキルというのは」


「・・・ああ、魔法ですか」


「はい。自分も藤岡から見せてもらったこともありますが。あれは危険です」


「本当。そう思いますよ」



個人が銃持ってるとか言うレベルの話じゃないしな。



「一応言っときますけど、世界でもあのレベルはいませんよ?うち以外」


「そうなんですか?」


「てか、そこのコロちゃん。間違いなく世界最強候補なんで」



そこで楽しそうにトレントを切り刻んでるコロちゃんがですよ。

候補と言った理由は、まぁ俺も強いし?



「他の国からなんか来たら、まぁ俺が相手することになってますし」


「・・・」


「・・・嫌です?」


「・・・ええ、自分は国を守るために自衛隊に入りましたから」


「まじめですね」


「藤岡にも言われましたよ」



子供の俺が、国を守るために人と戦う。最悪殺すことになるって状況がいやなんだろう。

戦争になるかもしれない。そういった時に、間違いなく俺は最前線に立つことになる。大人として、自衛隊員として、それは間違いであると。



「誰が来たって。負けませんよ」


「・・・そういう問題じゃないんだ」


「わかってますよ。十分わかってる」



そう勝てる勝てないじゃない。俺が人と戦わないように、そのために親父も千爺も頑張ってくれているのだ。

だけど、回避できない状況ってのはある。その時は、いつか来るかもしれない。


俺がダンジョンに潜り始めたのは趣味。興味があったから。

今はそんなこと言ってられないくらい忙しいけど、それでもその気持ちは変わってない。

自分が好きなことをできているのは、周りの大人が頑張ってくれているから。


だけど、最悪の状況が来たら、その時は自分でケリをつけなければ。



「まぁそもそもそんな状況にならなきゃいいんですけど!」


「・・・ハハ。そうですね」


「あれ。話かた戻っちゃった」


「ええ、仕事中ですから」


「まじめだ」



いやぁ・・・なんというか・・・

俺の周りの大人は、いい人ばっかりだ。

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