176話
お昼一話夜一話です
「うーん。『昇華』以外に変化なし」
「じゃあ発動できるスキルってことやな」
「そうなるねぇ・・・どうやって」
「知らん」
「だよなぁ。ヨミさん、なんかわかります?」
「いや、まったく読み取れなくて・・・」
「うーんお手上げ侍」
どうしようもないな。
ダンジョンからささっと撤退して家ですぐにカード確認。
フミには先に戻ってもらってメールでヨミさんを呼んでもらった。
人型ダンジョンは俺たちが帰る気になった途端にいなくなった。本当に俺にこのスキルを覚えさせるだけって感じだったな。
まぁいきなり殴ってきたのはともかく、フミを攻撃しようとしたのは許さんけど。
「それより、恭輔さんの今の状態の方が気になります」
「どこが?」
「なんというか、全部です」
「え」
「ええっと、身体能力も魔力も、精神状態もなんかぼやけて見えて・・・」
「ぼやけて」
「はい、一応見えるんですけど・・・なんか高速で変化してるっていうか」
「変化が速くてちゃんと見えないってこと?」
「まぁそうなんですけど。そもそも何もしてないのに変化が起きてるのはおかしいんですけど」
「・・・それもそうだな」
ていうかヨミさん、精神状態とかも見えるのね。どうやって見えるんだろ。
「あ、言葉で見えます」
「言葉!?」
「えっと、興奮とかそんな感じで」
「ああ~」
・・・いや、それが高速で変化してるってダメじゃね俺。不安定極まってない?
「止まる時ってないの?」
「・・・ありますけど」
「え、何その言いにくそうな感じ」
「・・・いや、ちょっと恥ずかしいといか」
「本当にどんな時に止まってんだ俺の精神状態」
「」(ワー ギュ
「やわらかーい・・・」(ムギュー
「・・・それなんですよ」
「え」
ロラちゃんに抱き着くのとヨミさんが恥ずかしいのになんの因果関係が
「えっと、私のしっぽを見てる時とか、耳とか・・・」
「あ」
俺が悪かった。
「うちを見てるときは?」
「・・・もっと言いたくないんですけど」
「ええ!?」
「一体俺は(ry」
本当に俺どうなってんの?
ていうか、発動スキルの癖にずっと効果で続けてるのかこれ。
その割に魔力消費はない・・・疲れもなし。うーん、消費のないタイプのスキルなのか?
うちだとそういったスキル持った子はいないけど、まぁあってもおかしくはないか。
「・・・ちなみに聞きますけど、お姉さま、恭輔さんに精神変化させるスキルって使ってないですよね?」
「いやないけど!?」
「それ疑われる状態ってなに」
「いや、この間までとは全然違う状態なので・・・」
「ちなみにこの間まではどんな?」
「親愛を向けている状態でした」
「お、普通だ」
「・・・むー」(プクー
「どうどう」
いいじゃんか親愛。多分他のみんなにも同じ状態だろうし。
みんなに差がなくっていい感じだ。
「で、今は」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・執着です」
「は」
「え」
「だから!執着してるんです!!」
「は」
「え」
「ずっとじゃないですけど!時々結構高頻度で出てくるんですよ!!」
「ほ、他にもあるんだよね?」
「ありますけど・・・情愛を向けているとか」
「うーん。どれでもいかん」
「////」(カァー
「聞いて顔真っ赤だ」
「これ伝える私も恥ずかしんですけど。なんで人の恋愛事情を本人に教えなきゃいけないんですか」
「ニホリのクッキー持って帰っていいから許して」
「なんでも教えますよ」
「現金」
それにしても執着してるって・・・それ精神状態なのか?
多分、本来はもっと細かく書いてあるんだろう。なんか、だれだれに興奮してるとか。
・・・いや、その書かれ方も問題だな。
てか、それ本当にスキルか?『昇華』の影響が変に出てるっていうならよく知らんことだしまぁいいけど。
ん~フミがやられそうな時は本気になってたけど。
今の状態でもそれが出てくるのか?
「その結果ってさ、ちょっと前の状態も影響ある?」
「そうですね。そもそも、生きている上で精神状態って変化がない時ってほとんどないんですよね」
「うん?」
「常になにかしらの動きがあるんです」
「・・・さっき言葉で出てくるって言ってなかったか?」
「詳しく見ると言葉以外も見えるんです。折れ線グラフみたいに」
「ほほー?」
「言葉の表記がない時はあるんですけど、このグラフは常に動いてるんですよ」
「俺も?」
「恭輔さんの場合、戦闘してすぐ後ですから安定してないのは理解できるんですよ」
「それはまぁ俺もわかる」
「だけどお姉さま相手に一気に変わるって戦闘関係ないですよね?」
「・・・今回はある」
「え?お姉さま何かあったんですか」
「実はな・・・」
そこでようやくヨミさんに先ほどの戦闘の詳細を話す。
ダンジョンを名乗る人型が再び現れたこと。その人型を戦闘になり、俺はあっけなくやられ、フミもやられそうになったこと。
その時に、『昇華』を手に入れて戦ったこと。戦闘力の上昇と共に、俺自身に変化があったのを自覚したことを。
「なるほど・・・」
「まぁ、俺は『昇華』を取った気はないんだけど」
起きたら勝手に取れてたし。
ていうか、俺があの時のフミを見た瞬間に取れた?
「だったら簡単ですね」
「おお!」
「恭輔さん。お姉さまが誰かに無理やり取られそうだったらどうします」
「相手をぶち殺す」
「ほら」
「いや、前でもこういったぞ」
「そうですか?フミならどうにでもなるっしょっていうんじゃないですか?」
「・・・ああー言うかも」
「じゃあコロちゃん達は?」
「殺す」
「一緒になってますね」
「・・・え、そういうこと!?」
「おそらく」
何?今まで俺はフミの事をみんなと同じに思ってなかったと?
「そうは言いませんけど、特別扱いというか」
「・・・そうだな。それはある」
フミは強い。間違いなく俺の中での最強とはフミのことだった。
だからこそ、俺が守らなくても大丈夫。いいんじゃないかと思ってた節はある。
それが、今回の戦闘で覆ってしまった。
フミだって負けるのだ。それも、相手は理不尽の塊みたいなものだった。
でも、フミが強いからって大事な存在であることに変わりはない。
その感情はフミの強さがあるから表に出てなかっただけで、今の状態が本来の俺ってわけか。
「まぁ人間の感情なんて本来は一言で言える物じゃないですし」
「台無しじゃん」
「いずれにせよ、恭輔さんがお姉さまを大事にしてることに変わりはありません。そこは大いに自信を持っていただいて」
「自信持つ内容なのかそれ・・・?」
「ぜひとも持っていただいて。是非とも早めに抱いていただいて」
「妹さん!?」
「あんまりにも大事にしすぎると、女性に飽きられちゃいますよ~」
「んんんん~」
そういわれると俺はなんの反論もできないんだけど。
俺そういう経験ないし。
・・・フミに飽きられるか
「・・・」
「・・・ど、どうしたん?」
今に顔に赤みが残っている。
今のフミは、俺が好意的に思ってることがダイレクトに伝えられて照れてる・・・のか?
でも、照れてるってなら、まだ俺の事が好きなんだろうな。
「あ、すっごく照れてますよ」
「ヨミィィ!!!」
「お盆ガード!!」
「ずるいわそれ!」
「ふっふっふ。これを壊したらニホリちゃんに怒られますからね。これは突破できないはず!!」
「小癪な手を考えよったな・・・」
・・・そうすると、フミは俺がOKってことで。
え、でもOKってだけで手を出すってどうなの?でもフミに嫌われたら多分どうにかなるんじゃ・・・
じゃあ速い事ちゃんとしっかり答えを出すって意味でも・・・ああ、でも。
「・・・むっちゃ悩んどるな」
「元々不安定だったんですよ。ここらで一回混乱させといた方が戻るの速いですし」
「わざとやったんか」
「まぁ八割本気ですよ」
「そんなか!?」
「お姉さまもお姉さまで、さっさと夜這いするなりすればよかったのに」
「・・・やって、恭輔に嫌われたくないもん」
「もんって」
そうだ、フミは間違いなく大事だ。それはみんなと同じでずっと俺のそばにいてほしい存在って意味だ。
だから今の関係・・・でもそれがダメになるかもしれないって可能性もあるって話をしてもらったわけで。
じゃあ間違いなく離れさせないようにするのはフミの望む形に・・・、でもそういう風に受け入れるってどうなの。
いや別に嫌いじゃない。むしろ俺もうれしいし・・・じゃあ大丈夫なん
あああああああ、纏まらない!!!!




